「日本企業の生産性を向上させる」がミッション。国内法人クラウドストレージ市場参入で始動した新たなチャレンジ。

Dropbox Japan株式会社 代表取締役社長 河村浩明 氏

Dropbox × LanScope Cat

2015年12月現在ストレージサービスで国内シェアトップを誇るDropbox。
2014年10月に日本法人を設立したドロップボックス・ジャパンは1年間が過ぎた。これまでソフトバンク コマース&サービス株式会社との提携など周知拡大に向けて積極的に取り組んできたドロップボックス・ジャパン代表取締役の河村浩明氏にこれまでの取り組みを振り返っての所感と、これからの展開についてのビジョンをお伺いした。

まずは1人でも多くの日本人に
Dropboxの使いやすさを実感してもらいたい

日本法人を2014年10月に立ち上げてからのこれまでの1年間の歩みをどのように振り返りますか?

我々のオンラインストレージ市場の立ち上がりは、アメリカ本国と比べると遅れているというのが率直な実感です。ただそうした中でも、日本のオンラインストレージ市場で、シェアトップを獲得することができましたし、日本に拠点を構えてからパートナー様やお客様と話をさせていただく中で、もう少し粘り強く弊社の商品を宣伝していくことができれば、そう遠くない将来にキャズムを超えて大々的に広がっていくフェーズに差し掛かるのではという印象です。

その1つの具体的根拠として、日本の利用者のDropbox利用率(ファイルの数や容量など)はアメリカ本国と比較して2倍近いということが挙げられます。このことは、一度Dropboxを使って慣れ親しむと、日本人はすごく積極的に利用してもらえるということの証左でもあります。

そうした傾向が見えたからこそ、まずは多くの人に認知してもらっていくことが目下の課題であると認識しています。そしてその課題をクリアすることは、日本の企業の生産性を上げる上で重要な役割だと思っています。

今はE-Mailに資料を添付して送り、メールでコミュニケーションするのが当たり前ですが、Dropbox Businessを使うと、Dropbox上にあるファイル対して複数人で同時に編集し、コメントすることができます。
まずは直属の上司にメールで資料を送り、返信をもらって資料を編集、その後また部長にメールで添付して提出・・といったやり取りの仕方ではなく、ファイルを軸にコミュニケーションしていくことで、リアルタイムに課題を解決し生産性をあげていく。そんな仕事の仕方が一般的になっていくと思います。

キャズムを超えるためにどのようなビジネス戦略を立てているのでしょうか?

日本の大企業はセキュリティの基準も厳しいですし、非常にコンサバティブ(保守的)な部分もありますので、何かしらブレイクスルーのきっかけがない限り、割って入っていくのは難しい部分があります。一方、中小規模の企業は新しいものや便利なものを積極的に導入する傾向にあたります。

統計的にいうと、日本の全企業のうち99.7%が中小企業です*。つまり、まずは中小企業に受け入れられることがキャズムを超える上で大きなポイントになります。そのためには、潜在顧客層に直接的なアプローチをすることは重要です。同時に、中小企業が利用しているサービスのソリューションとDropboxが連携することができれば、参入障壁がなくなると思うので、提携の側面でも積極的にアプローチを続けていきたいと思っております。

企業の意識を変えるには
セキュリティが欠かせなかった

具体的な国内の利用者数の数値目標があれば、お伝えできる範囲で教えてもらえますでしょうか?

イギリスやカナダ、アメリカのネットユーザーの4割強にものぼる人がDropboxの利用者であるというデータがありますが、日本の場合、まだネットユーザーのわずか1割ほどしか利用者がいません。一方同じアジアでもITビジネス業界が盛り上がっているシンガポールではインターネットユーザーの7割近くの人がDropboxを利用しています。

日本とシンガポールは政治的・経済的背景も随分違いますが、2020年の東京オリンピックの頃までは、その次元まで持っていくことを目指していきたい気持ちがあります。

そのためにはどんなことが必要だと思いますか?

企業の生産性の向上に、どのくらいDropboxが寄与することができるかをきちんとお伝えする必要があるように思えます。
また、Dropboxを導入する際に最も企業様が懸念されるのが、セキュリティについてです。

実際のところ、企業様が導入を検討する段階で、不正行為を監視する『操作ログ』がきちんと取れるのか確認を受けることが多々あります。自社でどのセキュリティ対策ツールを利用しているかヒアリングさせていただいたところ、MOTEXの『LanScope Cat』で操作ログを取っている、という企業様が多いことを知りました。

そこで、弊社からMOTEXさんに『LanScope Cat』をDropboxに対応してもらえないか相談をさせてもらったのが、今回の協業のきっかけです。MOTEXさんで検証・機能改良をして頂いたことで、年明けにリリースされる最新バージョンでは、Dropboxへのアップロード・ダウンロードのログを取得することができるようになります。Dropbox Businessでは、Dropbox上での操作の履歴を取得することができますが、アップロードされる前、ダウンロードされた後のローカルでの操作は取得できません。ですので、LanScope CatとDropboxを組み合わせることで、セキュリティレベルをUPさせることができるというわけです。

情報漏えいのリスクマネージができるツールが導入されたことで、Dropbox Businessへの信頼度があがったということですね。

はい。しかしまだまだ、情報漏えいのリスクに対して説明を果たしていかなくてはいけない部分もあると思います。といいますのも、企業によっては機密情報や個人情報の情報漏えいのリスクを防ぐために、独自のクラウドストレージやシステムを構築されていることもありますが、そのシステムの使い勝手の悪さから、個人的にDropboxをはじめとした個人向けのクラウドストレージを利用しているケースも少なくありません。

企業の情報システム担当者からすれば、『なぜせっかく作り上げた自社のシステムを使わず、そのほかのクラウドサービスを利用するか』と不満に思われるかもしれませんが、利便性のよくないものは使われなくなるのは、至極当然です。

Dropboxは今回のMOTEXとの協業でセキュリティ面での担保ができるようになりましたので、セキュリティ対策の部分を懸念されている企業さまにおいても前向きに検討していただいている事例が増えていますし、シンプルな操作性は、必ずや気に入ってもらえるのではと自負している次第です。

現場の社員が気持ちよく
仕事できる環境を提供したい

これからのDropboxの展開という部分で、どの辺りを強化するつもりでしょうか?

今までは中小企業での利用拡大にフォーカスし、その仕組みの土台を作ってきました。来年からは大企業向けの営業を加速させ、カスタマーサービスエンジニアのフォローも強化できれば思っております。その両軸を重視することで、Dropbox Businessを検討していただいている企業さまの利用を後押しできるでしょう。そして製品の大前提である利用者にとって利便性のさらなる向上、洗練性の向上に役立てたいと思います。

また現時点でDropboxユーザーの多くが生活圏としている都市部のみならず、地方にもきちんとアプローチをかけていくための人員を確保していきたいと思っております。私としてはむしろ地方にこそ、弊社の製品を導入することで生産性の向上に寄与できると思っております。具体的な事例としては、外回りの不動産の営業担当の方や建築関係の現場作業従事者が、本部組織とデータ共有するうえで、Dropboxが導入されたことで、『わざわざ帰社してデータを出力する必要がなくなった』、『仕事の効率が格段にあがった』という嬉しいお声を頂いております。このような事例を増やし、日本企業の生産性の向上に寄与するために、幅広い業種の企業さまにアプローチができたらと思っております。

取材・文 冨手公嘉/撮影 三宅英正

Dropbox × LanScope Cat

管理画面のイメージ

LanScope Cat Ver.8.3はDropboxに対応!

オンラインストレージサービスの代表格であるDropboxは、その普及とともに業務の中で活用されるケースも増しています。利便性があがる反面、重要なデータを扱う場合にはセキュリティの「抜け穴」になってしまうことが懸念されていました。

LanScope Cat Ver.8.3はDropboxサービスにおけるアップロードログの取得が可能になりました。「どのPCで」「誰が」「いつ」「どんなファイルをアップロードしたのか」を記録し、不正操作を抑止します。これにより、よりセキュアな環境で安心してサービスを利用することができます。

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