1881年(明治14年)に服部時計店を創業以来、ウォッチ事業をはじめ常に先進的・革新的な製品、サービスを世に送り出してきたセイコーホールディングスグループ。昨今のサイバー攻撃の被害が増えている状況に鑑み、業務システムのクラウド化やさらなるデジタル化、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいく中で、グループ全体としてサイバーセキュリティ強化は大きな課題だ。
特に、2020年4月の緊急事態宣言前後より、在宅勤務をはじめとするテレワークの実施率が高まっており、根本氏は「これまでのエンドポイントのセキュリティだけではゼロデイ攻撃、未知のマルウェアに対する脅威に対して、対応しきれないと考えていた」と述べる。
在宅勤務の実施率は、「東京では昨年のピーク時に約70%に達していた」ということで、たとえば、社員同士がWeb会議システムなどを使ったオンライン会議の機会が増える。しかし、根本氏は「従来のアンチウィルス製品は、特定の時間にウィルススキャンが始まるため、パソコンへの負荷が高くなり、思うように動かない不具合が発生することがあった」と話す。
また、増田氏は「これまで使ってきたアンチウィルス製品は、シグネチャベースで検知を行うため、定義ファイルの更新が必要だった」と話す。オフィスワークの環境であれば社内の配布サーバーから適用が可能だが、「在宅勤務ではインターネット経由で更新を行う必要があるため、どうしても在宅勤務の業務端末のアップデート状況が管理しきれなかった」というのだ。
そして、従来のエンドポイント対策は、アンチウィルスソフトに加え、URLフィルタやファイアウォール型のプロキシサービスによる社内外のネットワークの境界における入口、出口対策を行っていた。
しかし、テレワーク実施率が高まるのに伴い、これまでの境界防御は通用しない状況が生まれている。テレワークで利用する業務端末を様々な脅威から保護するとともに、利用者の業務の利便性を損なわない使い勝手の良さと、パターンファイルの更新などのアップデートの適用状況の管理など、IT部門の管理負荷軽減を実現するエンドポイント保護の仕組みが求められていたのだ。