高い専門性を生かした治療と治療プログラムを実施する特定医療法人 大阪精神医学研究所 新阿武山病院は、地域の中核となる病院として、最新の医療情報の発信も行っている。
同院のネットワーク環境は、電子カルテなどの患者の機微な医療情報を取り扱うHIS(Hospital Information Systems)系と呼ばれるネットワークと、医療情報を検索する際などに利用する情報系ネットワークで、両者は分離するセキュリティ対策が取られている。和田氏は、「医師が医療情報や医薬情報の検索などに利用する端末は、インターネットに接続している一方、電子カルテなどの重要な情報を扱うHIS系ネットワークは、外部からのサイバー攻撃などのリスクに備えるため、直接インターネットに接続できない環境となっている」と説明する。
一方、情報系ネットワークにあるエンドポイント端末は、これまで、個々にアンチウイルスソフトを導入していたものの「個々の端末を統合管理することができない」状態だった。そのため「パターンファイルが最新になっているかなどを把握できていなかった」と和田氏は説明する。
個々のクライアント端末によってセキュリティ状態がバラバラであることに加え、管理者権限付きのユーザーで必要なソフトを自由にインストールできる環境でもあった。「Emotetなどの被害が拡大していた時期でもあり、エンドポイント対策の検討が急務となっていた」ことから、ネットワーク環境構築を行うパートナー企業の推薦もあって、約1年前に導入したのがAI(人工知能)を用いた次世代アンチウイルスソフトだった。
AIを活用した次世代アンチウイルスソフトは、エンドポイントセキュリティの統合管理の点で有効であると考えて導入。その後も安定的な運用を続けていたが、契約更新のタイミングでディープラーニングを活用している製品の中でも、より安価に利用できるDeep Instinctを検討したという。
「ディープラーニングを利用し、未知のウイルスにも対応できるソフトという説明だったため、Deep Instinctを試しに利用してみようということになった。」(和田氏)
2021年の11月頃から検討がはじまり、提案、機能などの使い勝手の検証を2〜3週間ほど実施し、2022年1月末頃にDeep Instinctの導入が決定した。