Written by WizLANSCOPE編集部
2026年7月は、6月に引き続き、不正アクセスや端末の紛失など、さまざまなセキュリティインシデントが公表されました。
不正アクセスによって、クレジットカード情報や個人情報が漏洩した、または漏洩した可能性のある事案も報告されています。
本記事では、7月に公表・報道された主なインシデントに加え、政府や業界の動向を整理し、今後のセキュリティ対策に役立つ情報を紹介します。

「認証情報の悪用」を防ぐには?
ID・パスワードの適切な管理に加え、多要素認証(MFA)などを活用した認証強化も重要です。複雑なID・認証の運用を効率化する「ID アクセスマネージャー」について、3分でわかりやすく解説します。
主なセキュリティインシデント
生成AIを利用して作成したプログラムによる不正アクセス
生成AIで作成したプログラムを利用し、アニメ配信サービスの会員約4万6,800人を無断退会処理
2026年7月、アニメ配信サービス運営会社に対するサイバー攻撃により業務を妨害したとして、警視庁は男子高校生を偽計業務妨害容疑で再逮捕しました。
男子生徒は2025年11月、自作したプログラムを使ってサービスに不正アクセスし、会員約4万6,800人分のアカウントを無断で退会させ、サービスを一時停止させたとされています。なお、プログラムの作成には、生成AI「ChatGPT」を利用していたと供述しています。また、男子生徒の通信履歴からは、会員のメールアドレスや支払い方法、ニックネームなどの情報を入手する別のプログラムを実行した形跡も確認されています。 [1]
生成AIを利用したプログラムによる不正アクセスで約725万件の会員情報が流出した可能性
2026年7月、あるインターネットカフェ運営会社へのサイバー攻撃に関与したとして、警視庁は18歳の会社員の男を、偽計業務妨害および不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕しました。
男は2025年1月、会員情報を窃取するプログラムを使い、公式アプリのサーバーへの不正アクセスを繰り返していたとされています。
このサイバー攻撃では、約725万件の会員情報が不正に取得されたとされ、このうち約300万件を今回逮捕された男が集めたとみられています。
また、この事件を巡っては2025年12月にも、大阪市の男子高校生が偽計業務妨害および不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕されています。
男らはSNS上のグループ内でプログラムを共有し、会員情報を不正に取得するとともに、サービスの一部を停止させたとされています。 [2]
不正アクセスに関連する情報漏洩・業務停止事例
食品関連企業:システムへのサイバー攻撃による業務停止
2026年7月、ある食品関連企業グループのサーバーがサイバー攻撃を受け、システム障害が発生しました。
本事案では、被害拡大を防ぐためにシステムを遮断したことで、冷蔵倉庫の入出庫業務や冷凍食品の出荷業務などに影響が生じました。
その後の調査により、攻撃を受けたサーバーの一部に個人情報が保管されており、漏洩の恐れがあることが判明しました。
対象となる情報には、国内グループ会社の従業員の氏名、生年月日、会社メールアドレス、従業員番号、人事・労務管理に関する情報などが含まれています。
なお、現時点では個人情報の不正利用は確認されていません。
同グループでは、外部のセキュリティ専門会社や警察・関係機関と連携して調査を継続するとともに、対象者への通知を実施しています。
また、システムの遮断やセキュリティ対策を講じたうえで業務を順次復旧し、2026年7月24日には入出庫業務および冷凍食品出荷業務が全拠点で通常稼働に移行しました。 [3]
メディア関連企業:不正アクセスによるマイナンバー情報の漏洩の可能性
2026年4月28日、あるメディア関連企業において、サーバーへの第三者による不正アクセスが発生しました。
その後の調査により、6月19日に、サーバー上のファイルに含まれる個人データが外部に漏洩した可能性があることが判明しました。
対象となる情報は、従業員に関する情報1,343件、採用応募者に関する情報2,786件、個人取引先に関する情報414件で、氏名、生年月日、住所、電話番号などが含まれていました。
また、従業員情報にはマイナンバーや銀行口座番号なども含まれていました。
不正アクセスの原因については、サーバーへの認証連携に使用するアカウントの認証情報が窃取・悪用された可能性があるとされています。
現時点では、個人データの不正利用などの二次被害は確認されていません。
同社では、個人情報保護委員会などの関係機関への報告を行うとともに、システムのセキュリティ体制および監視体制を全面的に見直し、強化することで再発防止に取り組んでいます。 [4]
交通関連企業:不正アクセスによる社内システムの一時停止と情報漏洩
2026年7月、ある交通関連企業の社内システムが外部からの不正アクセスを受け、マルウェアに感染したことが判明しました。
被害拡大を防ぐためシステムを遮断した結果、電話によるタクシー配車やハイヤーのWeb受注・予約管理、一部の社内システムなどが一時的に利用できない状態となりました。
その後の調査により、同社が保有していたファイルの一部が外部に流出していることが判明し、インターネット上でも、同社から流出した疑いのある情報が確認されました。
漏洩した情報の内容や影響範囲については、引き続き調査が進められています。
同社では、外部のセキュリティ専門機関と連携して原因や影響範囲の調査を行うとともに、安全対策を講じながらシステムや業務の復旧を進めています。
また、今後の調査で情報の漏洩が確認された場合には、対象者への連絡と関係法令に基づく対応を行うとしています。 [5]
日用品関連企業:不正アクセスによるクレジットカード情報の漏洩の可能性
2026年6月、ある日用品関連企業のオンラインショップにおいて、Webサーバー環境の脆弱性を悪用した第三者による不正アクセスが発生し、不正プログラムの設置によるファイルの改ざんが行われていたことが判明しました。
本事案は、警視庁サイバー犯罪対策課から、クレジットカード情報が流出している疑いがあると指摘を受けたことで発覚しました。
対象となるのは、2017年11月9日から2026年6月30日までにクレジットカード決済を利用した顧客の情報で、件数は912件にのぼります。また、漏洩した可能性がある情報には、カード名義人名、カード番号、有効期限、セキュリティコードなどが含まれています。
なお、ログインID・パスワード等については、現時点で漏洩の形跡は確認されていません。
同社では、事案発覚後、直ちにWebサイトを停止し、外部からのアクセスを遮断するともに、警視庁や個人情報保護委員会への報告、クレジットカード決済代行会社との連携を進めました。
また、従来のサーバー・システム環境を廃止し、新たなシステム環境への移行や運用・監視体制の強化を進め、再発防止に取り組んでいます。 [6]
ICT関連企業:クラウドストレージへの不正アクセス
2026年7月、あるICT関連企業において、社外関係者との情報共有に利用していたクラウドストレージサービスの共有フォルダへの不正アクセスが発生しました。
その後の調査により、不正アクセスは第三者による認証情報の不正利用によって発生したことが判明しました。なお、認証情報が不正利用された具体的な経路は特定されていません。
不正アクセスを受けた共有フォルダには個人情報を含むファイルが保存されており、取引先の顧客や担当者の氏名、住所、電話番号など2万6,489件が漏洩した可能性があります。
なお、銀行口座番号やクレジットカード情報などの決済関連情報は含まれておらず、現時点では個人情報の不正利用などの二次被害は確認されていません。
同社では、発覚後直ちに共有フォルダへのアクセスを停止し、関係アカウントの削除やアクセスログの調査を実施するとともに、個人情報保護委員会への報告や対象者への個別連絡を行っています。
また、再発防止に向けて、クラウドストレージの外部利用者への多要素認証(MFA)の導入やパスワードポリシーの強化、外部共有フォルダの管理・運用ルールの見直し、定期的なアカウント点検などを実施しています。 [7]
その他
自治体:業務用USBメモリからマルウェアを検知
2026年6月から7月にかけて、ある自治体が庁内で業務に使用するUSBメモリを調査したところ、10,757個のうち47個からマルウェアが検知されました。
検知されたマルウェアはいずれも活動しておらず、USBメモリの感染や被害は確認されていません。
検知された47個の内訳は、過去に保存したメールデータに由来するものが29個、外部端末で使用した際に混入したと推定されるものが18個でした。
原因として、USBメモリ使用時のウイルスチェックが徹底されていなかったことが挙げられています。
今後は、USBメモリの利用を必要最小限に抑え、私物USBメモリを禁止するとともに、利用を許可する媒体を登録・管理するなど、使用制限を基本とした運用を徹底します。
そのうえで、利用時のウイルス検査を自動化し、外部から受け取ったUSBメモリを専用端末で検査する仕組みを整備します。
さらに、職員教育を通じてルールの周知・徹底を図るなど、運用面での対策も強化するとしています。 [8]
貨物関連会社:サポート詐欺による情報漏洩の可能性
2026年6月、ある貨物関連企業と契約する有機JAS認証審査員が「サポート詐欺」の被害に遭い、貸与PCが第三者から遠隔操作される事案が発生しました。これにより、PC内に保存されていた顧客の個人情報が外部に漏洩した可能性があることが判明しました。
対象となる情報は、氏名924件、住所16件、生年月日25件、職歴183件、電話番号4件、メールアドレス36件、最終学歴7件です。
なお、当該PCは社内ネットワークに接続していない単独環境であったため、被害は当該PCのみにとどまり、社内システムへの影響は確認されていません。
当該企業では、本事案発覚後に対象PCのネットワーク遮断や個人情報保護委員会への報告、警察への相談を行うとともに、外部専門機関による調査を実施しています。
現時点で個人情報の不正利用は確認されていませんが、情報を悪用した不審な連絡の可能性を踏まえ、ダークウェブサイトの調査を継続するとともに、システムのセキュリティ対策の強化や、従業員・契約審査員へのセキュリティ教育を進めています。 [9]
玩具メーカー:技術的な脆弱性による情報閲覧の可能性
2026年7月、ある玩具メーカーが運営するサポートアプリにおいて、ユーザー認証に関する処理の不備により、特定の条件下で、第三者が他のユーザーの情報を閲覧できる可能性があったことが判明しました。
本サービスの利用者最大約15万5,000人について、氏名、住所、電話番号、生年月日、メールアドレス、本サービスIDなどが閲覧された可能性があります。
原因は、アプリ開発段階におけるユーザー認証機能の設計・実装上の脆弱性とされています。
現在は当該脆弱性の改修を完了し、サービスの利用を再開しています。あわせて、アクセスログの確認や対象ユーザーへの通知など、影響調査を進めています。 [10]
業界動向
JPCERT/CC:2026年4月~6月「2026年度四半期レポート」を公開
2026年7月、JPCERT/CCは2026年4月から6月までの「2026年度四半期レポート」を公開しました。
期間中に寄せられたインシデント報告は14,056件で、前四半期と比べて報告件数は8%減少し、JPCERT/CCが関係組織との調整を行った件数は7%増加しました。 [11]
IPA:2026年4月~6月「サイバーセキュリティ相談窓口の相談状況」を発表
2026年7月、IPAは2026年4月から6月までの「サイバーセキュリティ相談窓口」の相談状況を公開しました。
期間中に企業・組織から寄せられた相談は302件で、前四半期から約6.7%増加しました。
302件の相談のうち、インシデント対応に関する相談は65件でした。
その内訳として、不正アクセス11件、ランサムウェア感染6件、マルウェア感染5件などが寄せられました。
また、国税庁を装った電話とメールを通じて遠隔操作ソフトを導入させる事例も紹介されており、技術的対策に加えて従業員教育や相互確認など、業務プロセス上の対策の重要性が示されています。 [12]
[1] バンダイチャンネル攻撃の男子生徒「企業に恨みはない」、趣味の通信解析中に「偶然会員情報が見えた」
(2026/7/6)‐読売新聞オンライン‐
「バンダイチャンネル」運営会社にサイバー攻撃、4万6800人を勝手に退会させた疑いで高1男子逮捕
(2026/7/6)‐読売新聞オンライン‐
バンダイチャンネル攻撃か 15歳、4万人退会処理疑い
(2025/9/8)‐Yahoo!ニュースJapan‐
「バンダイチャンネル」会員情報の漏えい等のおそれに関するお詫びとお知らせ
(2025/11/19)‐株式会社バンダイナムコフィルムワークス‐
[2] 「快活CLUB」サイバー攻撃、新たに18歳を不正アクセス容疑で逮捕…高校生らと共謀
(2026/7/9)‐読売新聞オンライン‐
快活CLUBにサイバー攻撃疑い 18歳男、724万人情報取得か
(2026/7/9)‐Yahoo!ニュースJapan‐
「快活CLUB」サイバー攻撃、AI悪用し会員情報盗んだ疑いで高2を再逮捕へ…自作プログラムを「チャットGPT」で改善か
(2025/12/4)‐読売新聞オンライン‐
不正アクセスの発生及び個人情報漏えいの可能性に関するお知らせ (第五報)
(2025/3/17)‐株式会社快活フロンティア‐
本年1月に発生した当社サーバーへの不正アクセスに関する容疑者逮捕の件について
(2025/12/4)‐株式会社快活フロンティア‐
[3] 当社グループでのシステム障害発生について(2026/6/30)-株式会社ニチレイ-
第一報・第二報・第三報・第四報・第五報・第六報
[4] 【重要】当社サーバへの不正アクセスに関するお知らせとお詫び(2026/7/3)‐株式会社テレビ朝日メディアプレックス‐
第一報・第二報
[5] 弊社システムへの不正アクセスによるシステム停止に関するお詫びとご報告(2026/7/13)‐日本交通株式会社‐
第一報・第二報・第三報・第四報
[6] 弊社ECサイトにおける不正アクセスによる、個人情報流出の可能性に関するお詫びとお知らせ
(2026/7/27)‐ファイン株式会社‐
[7] 当社が利用するクラウドストレージへの不正アクセスについて(2026/7/22)‐日本交通株式会社‐
第一報・第二報
[8] USBメモリの庁内調査結果について
(2026/7/8)‐三重県‐
[9] 個人情報漏洩のおそれに関するお知らせとお詫びについて
(2026/7/14)‐海外貨物検査株式会社‐
[10] 「デュエル・マスターズ サポートアプリ」における お客様情報の漏洩可能性に関するお詫びとお知らせ
(2026/7/28)‐株式会社タカラトミー‐
[11] 四半期レポート[2026年4月1日~2026年6月30日]
(2026/7/16)‐JPCERT/CC‐
[12] サイバーセキュリティ相談窓口の相談状況[2026年第2四半期(4月~6月)]
(2026/7/22)‐独立行政法人情報処理推進機構‐
最後に
本記事では、2026年7月に報道されたセキュリティニュースの中から、特に注目すべき情報を厳選して掲載しています。
まとめてご紹介することで、読者の皆さまがセキュリティへの関心を高め、日々の対策に役立てていただく一助となれば幸いです。

「認証情報の悪用」を防ぐには?
ID・パスワードの適切な管理に加え、多要素認証(MFA)などを活用した認証強化も重要です。複雑なID・認証の運用を効率化する「ID アクセスマネージャー」について、3分でわかりやすく解説します。
