1983年に設立され、沖縄県において各種印刷や印刷加工物、Web制作などを幅広く手がける丸正印刷株式会社。同社では、社内のDX推進によりビジネスや働き方が著しく変化している中で、業務PCやスマホといったIT資産の管理やセキュリティ対策の強化を急務としていた。そこで導入したのが「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版(以下エンドポイントマネージャー)」だ。導入の経緯や導入後の効果などについて、同社 総務部の比嘉 エウデル 氏に話を聞いた。
同社では、従業員が200名を超え、従業員が利用するPCや、営業担当者に支給されているスマホのIT資産管理に課題を抱えていた。
これまではオンプレミス型のIT資産管理ツールを利用してPC管理を行ってきたが、「既存のツールは、ある程度のITリテラシーがないと利用できないと感じており、社内であまり活用できていなかった。そのため、誰でも使いやすい直感的な操作性があり、使い勝手の良いソリューションを探していた」と比嘉氏は話す。
また、同社では、多い時で全従業員の3割程度がリモートワークを行っている。比嘉氏は「従来のオンプレミス型のIT資産管理ツールでは、社内ネットワーク外にある端末の管理や利用状況が可視化できず、課題となっていた」と振り返った。
リモートワーク時、すべての端末がVPN経由で社内ネットワークに接続する環境にはなっていないことから、今回、インターネットに接続されていれば端末情報などを収集できるクラウド型のIT資産管理ツールを選定することで、端末の所在を問わずPCやスマホを管理できる環境構築を目指した。
新たなIT資産管理ツールの選定にあたって、比嘉氏は「エンドポイントマネージャーを導入している他の企業からも使い勝手がよい製品だという評判を聞いており、管理コンソールのUI(ユーザーインターフェース)や使い勝手、取得できる操作ログの内容といった大枠を把握できていたので、かなり前向きに検討を進めることができ、選定時の第一候補だった」と話す。
エンドポイントマネージャー採用の決め手は、取得した操作ログからPCの利用状況をレポート形式で把握できるといった直感的な管理コンソールにあったという。
「特に、経営層に対してエンドポイントマネージャー選定の経緯や導入メリットを説明する際に理解を得られやすかった」と比嘉氏は述べる。
Androidスマホについても、PC(Windows・macOS)と一元管理するとともに、「位置情報の取得や、遠隔でのリモートロック・ワイプなどにより、万が一の紛失時、情報漏洩対策がスピーディーに行える」点に期待したという。
また、前述の通り、デバイスの所在を問わず管理が可能な「クラウド製品(SaaS)」であることも選定ポイントとなった。社内ネットワーク外にあるリモートワークや外出中の従業員が利用するPCを管理できることに加え、クラウド製品を選定することは、サーバー管理負荷の軽減や固定費削減を目指す同社の方針にも合致していたという。
エンドポイントマネージャーの導入効果について、比嘉氏は「PCの利用状況の可視化など、確認したいデータをすぐに確認できるようになった」点を挙げた。
さらに「エンドポイントマネージャーの導入後は、システム管理者だけでなく現場の責任者も、自部署の端末の状況を確認して把握できるようになった。リモートワークを行っている従業員の勤怠管理は、日報で勤務時間を把握することに加え、PCの利用時間が日報と一致するかを各部署の管理職が確認するルールとなっており、さまざまな人がエンドポイントマネージャーを利用している」と話し、エンドポイントマネージャーのITリテラシーに依存しない使いやすさを評価した。
また、エンドポイントマネージャーで取得した操作ログなどの情報を、直感的な操作で確認できる点は、経営層の満足にもつながっていると比嘉氏は述べる。「一般的なIT資産管理ツールは操作が難しく、運用に専門知識やノウハウが必要で取得した情報がなかなか活用できないというイメージがあったが、エンドポイントマネージャーでは取得した情報の把握が行いやすく、PCやスマホの稼働状況も簡単に把握できていることから導入効果を実感できている」ということだ。
さらに、万が一の紛失対策のために取得しているPCやスマホの位置情報は、営業活動の効率化にも貢献しているという。
「急遽、お客様先への訪問が必要になった際に、誰がどこにいるかを確認することで、近くにいる営業担当に対応に向かうよう指示を出せるので、スピーディーな顧客対応が可能になっている」と比嘉氏は話す。
なお、エムオーテックスのサポートについては、「導入時には営業担当者に質問・相談して対応してもらうことがあり、問題なく導入することができた。その後、弊社での運用が始まってからも管理者自身で問題なく運用できている」と比嘉氏は話す。前述の直感的な操作で利用できる点が大きく、日々実際に操作しながら利用方法を覚えていくことができており、基本的な操作について細かく窓口に問い合わせをしなくても運用ができているとのことだ。
比嘉氏は、「今回の製品導入によってまずはIT資産管理ツールを運用する体制は整った」とした上で、「さらに今後は、エンドポイントマネージャーで取得した操作ログなどを活用して、従業員の業務状況を分析・見える化し、稼働が多い業務や負荷が多い組織・従業員の業務を分散させるといった業務効率化にも取り組んでいきたい」と話した。
加えて、エムオーテックスには、セキュリティセミナー・イベントの開催など、沖縄県全体を巻き込んだセキュリティ意識向上への取り組みを期待したいという。
昨今、同社の取引先から「丸正印刷をかたる怪しいメールが届いた」という連絡が来ることがあるという。「そのような際、ウイルス対策ソフトの導入などをアドバイスすることは可能だが、実際にはセキュリティ対策に何から取り組んだら良いのか分からないという地場企業・中小企業も多い」と比嘉氏は話す。
「弊社は沖縄でビジネスを展開しており、その中で日々感じているのは、県全体でセキュリティレベルを高めていかないと、弊社のセキュリティが保てても、取引先全体の安全は守ることができないということだ。」比嘉氏はそのように述べ、セキュリティ意識の向上につながる情報取得の機会について、エンドポイントに関してはIT資産管理や情報漏洩対策、ウイルス(マルウェア)対策まで知見のあるエムオーテックスに、引き続き支援をいただきたいとして締めくくった。
※本事例は2023年6月取材当時の内容です。