遠藤科学株式会社は、1952年設立、従業員数240名を擁し、科学機器の販売を行う企業である。同社ではセキュリティ強化のため、パターンファイル型アンチウイルスからAIを活用したアンチウイルスに変更し、約5年間運用していた。AIアンチウイルスの有用性は実感していたが、さらなるセキュリティ強化のため、次世代AIアンチウイルス「LANSCOPE サイバープロテクション powered by Deep Instinct(以下Deep Instinct)」を導入した。導入の経緯や効果などについて、同社 総務課の古橋 直久 氏に話を聞いた。
同社では以前、パターンファイル型のアンチウイルスソフトを利用していたが、未知のマルウェアへの対応に課題を感じ、セキュリティリスクを懸念していた。また、管理サーバーの設置や運用にかかるコストも課題となっていたため、5年ほど前にパターンファイル型のアンチウイルスからAIを活用したアンチウイルスに切り替え、運用を行っていた。
AIを活用したアンチウイルスは、パターンファイル型のアンチウイルスでは検知することができなかった未知のマルウェアに対しても検知率が高く、セキュリティの強化には十分な効果を発揮していた。
加えて、クラウド型の製品であるため自社でサーバーの管理を行う必要もなく、AIアンチウイルスの有用性を実感していた。
そんな中、ディープラーニングを活用し、より高度な検知モデルを搭載する次世代AIアンチウイルスとしてDeep Instinctがリリースされたことを知った。
利用していたAIアンチウイルスに対する喫緊の課題や大きな不満はなかったものの、Deep Instinctは高い検知率を誇りながら低コストでの導入が可能な点が魅力的であったと古橋氏は振り返った。
Deep Instinctを選定した最大のポイントとして古橋氏は、それまでのAIを活用したアンチウイルスに比べ、未知のマルウェアへの対策強化が期待できる点を挙げた。
古橋氏は「標的型攻撃の手口などで見られる、実行ファイル以外の拡張子ファイル(WordなどのOffice文書や文書内に仕込まれたマクロ機能など)を使った攻撃にも対応できるようにしておきたかった」と振り返る。
Deep Instinctは多様なファイル形式のマルウェアを検知することが可能なため、実行ファイルだけでなくExcelやWord、PDF、zipなどに対応できる点が評価された。
また、クラウド型の製品であるため、社内に管理サーバーを設置する必要がなく、運用コストの面でも負荷が少なく、コストパフォーマンスの高いソリューションとしてDeep Instinctが選定された。
Deep Instinctの導入については、同社ではこれまでもAIを活用したアンチウイルスの運用経験があったことから、導入初期の全ファイルスキャンの実行や検知から防御へのポリシーの切り替えなども含め、大きな問題なく移行できたという。
また、Deep Instinctの展開についてはエムオーテックスが推奨する展開方法の案内があったため、こちらも大きな問題なく円滑に社内展開することができた。
現在、同社におけるDeep Instinctの管理は2名体制で行われている。マルウェアを検知した際にアラートメールを受け取る設定となっているため、アラートメールを受信したタイミングと定期的なタイミングで管理コンソールを確認し、マルウェアの検知がないか確認する運用となっている。
古橋氏は、Deep Instinctの導入効果として、セキュリティ対策がより強化され、安定した運用が可能になっており、次世代AIアンチウイルスの効果を十分に享受できている点を挙げた。
具体的には、パターンファイルをアップデートし、定期的に端末をフルスキャンする必要がなくなったことや、それに伴い、端末やネットワークへの負荷が軽減された点が挙げられる。
「Deep Instinct導入前からAIを活用したアンチウイルスを運用していたため、運用が変わったということはほとんどありません。また、導入がスムーズで、従業員がアンチウイルスの変更があったことを意識することなく、円滑に業務が行えている点も大きなメリットだと感じています」と古橋氏は補足した。
そして、今回Deep Instinctの導入効果を実感できたこともあり、営業職向けにモバイルPCを導入する際も、アンチウイルスとして実績が十分なDeep Instinctが選定されたという。これにより、外出先でも安心して業務を行える環境が整備できたと古橋氏は評価する。
「Deep Instinctは管理サーバーがクラウド上にあるため、社外に持ち出して利用するモバイルPCに導入しても常に管理できる安心感があります。またオフィスに設置されたデスクトップPCと合わせて一元管理できるので、管理工数の低減にもつながっています。」(古橋氏)
運用している中で不明点などがあった際には、エムオーテックスのサポートサイトを確認しているという。
サポートサイトでは、海外製品であるDeep Instinctのドキュメントを日本語で参照できるため、運用において困ったことはないと説明した。
「昨今、取引先から求められる自社のセキュリティ対策状況はますます高度になっています。期待に応えられるように着実に必要な対応やさらなるセキュリティ対策強化を進めていきたいと考えています」と古橋氏は述べ、締めくくった。
※本事例は2025年2月取材当時の内容です。