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BitLocker回復キーの取得・確認方法とは?求められる理由や対処法を解説

Written by WizLANSCOPE編集部

BitLocker回復キーの取得・確認方法とは?求められる理由や対処法を解説


BitLocker(ビットロッカー)とは、Windows OS に標準搭載されている「ドライブ暗号化機能」です。

有効化することで、PC内のハードディスクやSSDなどが暗号化され、万が一デバイスを紛失・盗難した際も、情報漏洩リスクを大幅に低減できます。

また、BitLockerでは有効化と同時に、48桁のランダムな数字で構成された「BitLocker回復キー」が発行されます。これは、暗号化されたデータへのアクセスが必要になった際に使用する重要な情報です。

そのため、この回復キーを紛失してしまうと、正当な利用者であってもデータにアクセスできなくなる可能性があります。

本記事では、BitLockerの回復キーが求められる原因や、回復キーの保存・確認方法などを解説します。

▼本記事でわかること

  • BitLocker回復キーの入力を求められてしまう原因
  • BitLocker回復キーの入力を求められた際にやってはいけないこと
  • BitLocker回復キーの保存方法
  • BitLocker回復キーの確認方法

「どういった場面で回復キーの入力が求められるのか」「どのように管理すべきか」などを知りたい方はぜひご一読ください。

BitLockerとは


BitLockerとは、Windows 10・11のOSに標準搭載されている「ドライブ暗号化機能」です。

BitLockerを有効化することで、PC内のハードディスクやSSDなどが暗号化され、万が一デバイスを紛失・盗難した際も、情報漏洩リスクを大幅に低減できます。

また、内蔵ストレージに加えて、USBメモリや外付けハードディスクなどにも適用でき、持ち出しデータの保護も可能です。

BitLockerはOSに標準搭載されている機能であることから、手軽にセキュリティ強化を実現できるという利点があります。

ただし、「回復キー」を紛失してしまうと、データにアクセスできなくなってしまう可能性もあるため、管理には細心の注意が必要です。

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BitLocker回復キーとは


BitLockerを有効化すると、48桁のランダムな数字で構成された「BitLocker回復キー」が発行されます。

この回復キーは、暗号化されたドライブにアクセスできなくなった際に必要となる非常に重要な情報です。

BitLockerが有効な状態で、システム異常やハードウェア構成の変更、Windowsログインパスワードの連続入力ミスなどが発生した場合、データ保護のために回復キーの入力を求められるケースがあります。

しかし、この回復キーを紛失してしまうと、暗号化されたデータを復号できず、ストレージ内の情報へアクセスすることができなくなります。

そのため、回復キーは安全かつ確実に保管する必要があります。

BitLockerに関連するキー

BitLockerのキーには、回復キーのほかに、暗号化キーや回復キーIDなど、複数のキー情報が存在します。

まず、暗号化キーは、ストレージ内のデータを暗号化・復号化する際に使用されるキーで、TPMなどのハードウェアによって自動的に管理されるため、ユーザー側で管理する必要はありません。

回復キーIDは、複数の回復キーを識別するためのもので、こちらもシステムによって自動生成され、ユーザー側で管理することはありません。

このように、BitLockerに関連するキーのうち、ユーザー側で管理が必要なものは、回復キーのみです。

BitLocker回復キーが求められる原因


BitLockerの回復キーが求められるタイミングは、いくつのパターンがあります。

主な例としては、以下のケースが挙げられます。

  • Windowsアップデートの不具合
  • 不正アクセスの検知
  • PCの初期設定
  • BIOS・UEFIの更新・変更
  • ハードウェア・ファームウェアの変更

これらは、 BitLockerが、通常とは異なる動作があったと判断した際に、データ保護のために回復キーの入力を求めるものです。

想定していないタイミングで回復キーが要求されると、すぐに用意できずに、業務が一時的に中断してしまう可能性もあります。

具体的にどのようなタイミングで求められるのかを、あらかじめ確認しておきましょう。

Windowsアップデートの不具合

Windowsのアップデートは、OSの安全性や機能向上に必要なものですが、更新内容によってはBitLockerの動作に影響を及ぼすことがあります。

過去には、脆弱性対策を含む更新プログラム「KB5012170」によってBitLockerが誤作動し、回復キーの入力を求められる事例が確認されています。

これは、セキュアブート関連の仕組みが更新されたことで、BitLockerが「システム構成が変わった」と認識したために発生しました。

不正アクセスの検知

Windowsログイン時にパスワードの入力ミスを繰り返した場合、BitLockerは不正アクセスの可能性があると判断し、回復キーの入力を求めるケースがあります。

誤入力の原因が操作ミスであっても、BitLocker側では区別ができません。

そのため、操作しているのが正当な利用者であったとしても、セキュリティ保護の観点からロックがかかってしまいます。

PCの初期設定

Windows 11 バージョン 24H2以降のデバイスでは、初期セットアップの段階でBitLockerが自動的に有効化されている場合があります。

特にMicrosoftアカウントでログインする構成の場合、回復キーは自動的にアカウントへ保存されるため、ユーザーは暗号化されていることを意識しないまま、利用を開始しているケースが少なくありません。

また、企業向けに出荷されたデバイスでは、情報システム部門などが定めたセキュリティ方針により、初期からドライブ全体の暗号化が必須とされ、BitLockerが有効化されていることもあります。

その状態でOSアップデートや設定変更を行うと、BitLockerが異常と判断し、突然回復キーの入力を求める可能性があります。

BIOS・UEFIの更新・変更

BIOSやUEFIは、システム起動時にハードウェアを制御する重要な領域であり、その構成が変わると、BitLockerは「システムが改ざんされた可能性がある」と判断します。

特に、TPM関連設定の変更、Secure Bootの有効・無効の切り替え、UEFIファームウェアのアップデートは、BitLockerに影響しやすい要素です。

これらの操作が行われると、BitLockerが安全性を確認するために回復キーの入力を求める可能性があります。

ハードウェア・ファームウェアの変更

SSDやHDD、メモリ、マザーボードなどのハードウェアを交換した場合、BitLockerはシステム構成の変更をセキュリティリスクとみなし、回復キーの入力を要求する可能性があります。

特にマザーボード交換はTPMの識別情報が変わるため、回復キーの要求が発生する可能性が高いです。

BitLocker回復キーが求められた際のNG行動


BitLockerの回復キーの入力を求められた際に、回復キーがわからないからといって、以下の行動を取ることは絶対に避けましょう。

  • PCをリセットする・初期化する
  • 適当なキーを入力し続ける
  • Windowsを再インストールする
  • 非公式な解除ツールを使用する

なぜ上記の行動を避けるべきなのかを解説します。

PCをリセットする・初期化する

回復キーがわからない場合でも、PCをリセットしたり、初期化したりすることは避けましょう。

PCの初期化は、ドライブ上のデータを上書きする仕組みになっています。

そのため、一度初期化によって物理的に上書きされてしまうと、暗号化有無に関わらず、復旧の可能性は極めて低くなります。

適当なキーを入力する

回復キーがわからないからといって、適当な数字を入力して試すことは避けましょう。

BitLockerには、セキュリティを保護するために試行回数の制限が設けられています。

誤ったキーを何度も入力し続けると、システムは不正アクセスと判断し、セキュリティ保護機能が作動する可能性があります。

このセキュリティ保護機能が動作すると、ドライブが完全にロックアウトされ、一時的にすべてのアクセスがブロックされます。

この状態になってしまうと、たとえ正規の回復キーが用意できたとしても、すぐに解除できなくなる可能性があるため注意しましょう。

Windowsを再インストールする

Windowsを再インストールするプロセスでは、暗号化されているドライブのパーティションがフォーマット(初期化)されます。

この処理が行われると、パーティションに保存されていた暗号化データはすべて上書きされ、完全に消去されてしまいます。

そのため、回復キーがない状態でWindowsを再インストールすると、ドライブ内に保存されていた重要なファイルやドキュメントがすべて失われる可能性が非常に高く、復元もほぼ不可能になる危険性があります。

非公式な解除ツールを使う

インターネット上には、BitLockerを回復キーなしで解除できると謳う非公式ツールが存在します。

しかし、これらのツールを使用すると、データが損傷する恐れがあるほか、マルウェアへの感染リスクも伴います。回復キーがわからないからといって、安易に使用することは避けましょう。

BitLocker回復キーの保存方法


BitLockerの回復キーを紛失すると、暗号化されたデータにアクセスできなくなる恐れがあるため、安全かつ確実に保管する必要があります。

回復キーの保存は、以下の手順で行うことができます。

  1. Windows スタートメニューで「BitLocker」と検索し、表示された「BitLockerの管理」をクリックする
  2. 表示された画面から「回復キーのバックアップ」を選択する
  3. バックアップ先を指定し、完了ボタンを押して保存を実行する

回復キーの保存先としては、Microsoftアカウントへの紐付け、USBメモリ等の外部デバイスへの保存、またはテキストファイル形式での保存などを選択できます。

BitLocker回復キーの確認方法


使用中のデバイスでBitLockerの回復キーを求められた場合は、事前に保存しておいた場所から回復キーを確認しましょう。

MicrosoftアカウントやUSBに保管している場合は、別のデバイスを使ってアクセスする必要があります。

ここでは、Microsoftアカウントに保存したキーを確認する手順を紹介します。

  1. 別のデバイスで自分のMicrosoftアカウントへサインインする
  2. アカウントメニューから「デバイス」を選択する
  3. 「回復キーの管理」を選択する
  4. 該当デバイスの回復キーが表示されるので、メモまたはコピーする

取得した回復キーを、回復キー入力画面で正確に入力することで、ドライブのロックを解除できます。

BitLocker回復キーが求められた際の備え


前述の通り、BitLockerの回復キーは、予期せぬタイミングで求められる可能性があります。

いざというタイミングで、焦らず対応できるように、日頃から次のような備えを行っておくことが重要です。

  • バックアップをとる
  • 管理者が一元管理する

特に、業務でWindows PCを使用している場合、回復キーの紛失は、業務の中断につながる恐れがあります。

必要なタイミングで適切に対応できるように、信頼性の高い管理方法を検討し、運用体制を整備しましょう。

バックアップをとる

回復キーの入力を求められた際にすぐ対応できるように、事前にバックアップをとっておくことが重要です。

回復キーは、前述したMicrosoftアカウントへの保存に加え、コントロール パネルから印刷したり、ファイル形式で保存したりすることが可能です。

また、バックアップはオフライン環境や外部ストレージなど、複数の場所に確保しておくことで、トラブル発生時にも迅速に復旧できるようになります。

管理者が一元管理する

業務用としてWindows PCを利用する企業で、 「BitLocker回復キーの管理を従業員に任せていたら、紛失・盗難してしまった」というトラブルが発生するケースは少なくありません。

回復キーを安全に確実に保管するためには、管理者側で一元管理する仕組みを整えることが重要です。

特に保有するPCの数が多い場合、管理者が手作業で収集・管理する方法は現実的ではないため、回復キーを自動取得・一元管理できるようなツールの導入が強く推奨されます。

BitLocker回復キーの無効化

BitLockerの回復キーを求められる事態を避ける方法として、そもそも BitLockerの機能自体を無効化するという選択肢もあります。

無効化は、以下の手順で行うことができます。

  1. タスクバーの検索欄に「コントロール パネル」と入力し、起動する
  2. 「システムとセキュリティ」を開く
  3. 「BitLocker の管理」をクリックする
  4. 「BitLocker を無効にする」を選択する

再び有効化したい場合も、同じ手順で管理画面を開き、「BitLockerを有効にする」を選ぶだけで元に戻せます。

ただし、 BitLockerを無効化すると、データの暗号化保護が失われる点には十分な注意が求められます。

データの暗号化が無効化されると、デバイスの紛失や盗難時の情報漏洩リスクが高まります。

セキュリティと利便性のバランスを考慮した上で判断するようにしましょう。

BitLocker回復キーの効率的な管理に「LANSCOPE エンドポイントマネージャークラウド版」


前述の通り、BitLockerを安全かつ確実に管理するためには、回復キーを自動取得し、一元管理できるツールの導入が推奨されます。

本記事では、 BitLockerの効率的な管理に役立つクラウド型のIT資産管理・MDMツール「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」を紹介します。

「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」には、以下の機能が搭載されています。

BitLockerの回復キー管理 ・デバイスごとに回復キーを自動取得し、安全に保存・管理できる
暗号化状況の一元管理 ・BitLockerが有効化されているデバイスを、管理画面上で一覧表示して把握できる
回復キーの遠隔削除 ・デバイス紛失時に回復キーをリモートで削除し、デバイスの起動を無効化できる

「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」を活用することで、BitLockerの設定漏れや回復キーの管理漏れを防げ、企業・組織のセキュリティ体制の強化を目指せます。

詳細については、以下の製品ページをご参照ください。

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まとめ

本記事では「BitLockerの回復キー」をテーマに、入力を求められる理由や、回復キーの保存・確認方法などを解説しました。

▼本記事のまとめ

  • BitLockerとは、Windows 10・11のOSに標準搭載されている「ドライブ暗号化機能」で、有効化と同時に、「回復キー」が発行される
  • BitLockerの回復キーの入力を求められる原因としては、「Windowsアップデートの不具合」「不正アクセスの検知」「PCの初期設定」「BIOS・UEFIの更新・変更」「ハードウェア・ファームウェアの変更」などが挙げられる
  • BitLockerの回復キーの入力を求められた際に「PCの初期化」や「適当なキーの入力」などを行うと、データが失われる危険性がある
  • 業務にWindows PCを利用している場合は、回復キーを自動取得・一元管理できるようなツールの導入が推奨される

BitLockerはOSに標準搭載されている機能であることから、手軽にセキュリティを強化できる反面、回復キーを紛失してしまうと、データにアクセスできなくなってしまう危険性があります。

特に企業においては、回復キーの管理を従業員に一任してしまうと、紛失や盗難などのトラブルが発生し、機密情報を失うことも懸念されます。

こうした事態を避けるためにも、管理者側で回復キーを一元管理しておくことが推奨されます。

本記事で紹介した「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」は、デバイスごとに回復キーを自動取得し、管理コンソールで一元管理できるIT資産管理・MDMツールです。

BitLockerの管理のほかにも、Windows アップデート・更新プログラムの効率的な管理や、操作ログの取得などが可能です。

ぜひ「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」を活用し、効率的かつ確実な BitLockerの管理を目指してください。

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