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情シス担当者が知っておくべきITトレンド”AI”

情シス担当者が知っておくべきITトレンド”AI”

2016年頃から、にわかに盛り上がりを見せているAI(Artificial Intelligence:人工知能)は、社会の構造を大きく変えてしまうほどのインパクトがあるとも言われています。AIの普及で日々の生活が便利になる一方で、仕事にも大きな影響があると言われ、2045年には人間の仕事の99%がAIに奪われるという「シンギュラリティ(技術的特異点)」が訪れるという懸念もささやかれています。

シンギュラリティが起こるかどうかは置いておいても、昨今のAIの進化は眼を見張るもので、この波は情シス部門でもいずれ押し寄せてくることは間違いなさそうです。
そこで今回は情シス担当者が知っておくべきITトレンドとして「AI」について、「AIとは?」「AIとうまく付き合っていくにはどうすればよいのか?」「AIが普及したあとの情シスの業務は?」といった疑問を解決していきたいと思います。


【目次】
 AIとは
 ・シンギュラリティ
 AIが注目される理由
 ・第一次AIブーム
 ・第二次AIブーム
 ・第三次AIブーム
 AIは魔法の杖ではない
 ・AIによるサーバー等の障害予兆検知
 情シスが活用可能なAIとは
 ・セキュリティ対策
 ・サーバーやネットワークの障害予兆検知
 ・ヘルプデスク対応
 まとめ

AIとは

AIとは「人間の持つ学習能力を機械(計算機)に持たせること」をいいます。AI(人工知能)のほかにも、「機械学習」や「ディープラーニング」というキーワードも聞いたことがあるかもしれません。これらの関係性は次のようになります。
AI、機械学習、ディープラーニングの関係性の図
※AI、機械学習、ディープラーニングの関係性

機械学習やディープラーニングは、人工知能とは別物ということではなく、人工知能の要素技術の一つです。

AIは「人間の持つ学習能力を機械(計算機)に持たせること」という説明をしましたが、その中には映画のターミネーターのように、人間の知能そのものを持つ機械を作ろうとする研究(強いAI)もあれば、Googleが開発した囲碁プログラム「AlphaGo」のような、人間が知能を使ってすることを機械にさせようという研究(弱いAI)などさまざまです。現時点のAI研究は、人間の知的な活動の一部と同じようなことをする弱いAIがほとんどです。

・シンギュラリティ

シンギュラリティとは日本語で「技術的特異点」というもので、どこかのタイミングで「人工知能が人間の知能を超える」という考えです。
今はまだ「弱いAI」の研究がメインですが、いつか「強いAI」の研究が進み、人工知能が人間の知能を超える日が来るというもので、その日は2045年と予測されています。

シンギュラリティが訪れると、人間の仕事の99%が人工知能に奪われる可能性があると言われています。

週刊ダイヤモンド」で特集されていた、機械が奪う職業ランキング(米国)の上位10位は次の通りです。

1.小売店販売員
2.会計士
3.一般事務員
4.セールスマン
5.一般秘書
6.飲食カウンター接客係
7.商店レジ打ち係や切符販売員
8.箱詰めや積み降ろしなどの作業員
9.帳簿係などの金融取引記録保全員
10.大型トラック・ローリー車の運転手
※引用「機械に奪われそうな仕事ランキング1~50位 | ダイヤモンド・オンライン

AIが注目される理由

2018年5月に開催されたGoogle I/O 2018では、多くのAIを活用したサービスが発表されています。その中で発表された「Google Duplex」というサービスは、レストランやホテル、ヘアサロンなどに、AIが電話してユーザーのかわりに自然な会話で日時や人数などを伝え、全自動で予約をスケジュールに入れてくれるという近未来のサービスです。

いかにも機械的な話し方で相手が不快に思うようなサービスかと思いきや、普通に聞いているだけではAIが会話しているとは思えないほど自然な話し方なのが大きな驚きでした。


※Google Duplexのデモ動画

電話の相手は人間ですので、事前に会話の内容が想定できないにもかかわらず、すべてのやり取りに対して自然に応答しています。AIの進化がついにここまで来たかと考えさせられる発表でした。

ここまで注目されているAIですが、現在のAIは第三次AIブームと言われていて、AI自体は1950年代から存在している技術です。

・第一次AIブーム

1950年代に第一次AIブームがあり、ゲームや迷路、パズルの回答が可能なAIが開発されました。あくまでも事前に決められた道筋と回答が用意されるものに対して、AIが回答できる程度のものでしたが当時は驚きを持って迎えられました。
これだけでは対応範囲も狭く、課題解決などの応用することができずにブームは収束しました。

・第二次AIブーム

第二次AIブームは1980年代に起きました。ブームのきっかけは、エキスパートシステム(MYCIN)と呼ばれる感染症診断治療支援システムが新米医師よりも診断成績が良かったことによります。
コンピューターの性能が上がり、コンピューターに知識を入れれば入れるほどAIが賢くなり、この結果を受けて、様々な商用・産業システムへの応用が始まりました。
しかし、当時はコンピューターが必要な情報を自ら収集して蓄積することはできなかったため、必要となる全ての情報について、人がコンピューターにとって理解可能なように内容を記述する必要がありました。このような現実的な限界から根本的な問題に直面しブームが収束しています。

・第三次AIブーム

第三次AIブームは2000年代から現在まで続いています。ブームのきっかけは「ビッグデータ」といわれる大量のデータを用いることでAI自身が知識を獲得することが可能になったこと、知識の要素をAI自身が習得する「ディープラーニング」という技術が登場したことが背景にあります。
さらにAIを開発するためのツールやサービスが多くの企業からリリースされ、充実かつ手軽にAIの開発をすることができるようになったこともブーム要因の1つとなっています。

AIは魔法の杖ではない

AIの本質を理解していない人は「AIを導入すればなんでもできる」とか「勝手にやってくれる」と思いがちですが、残念ながらAIは魔法の杖ではありません。現時点では、AIと人間のそれぞれに役目があり、AIを導入したとしても人間がやらなければいけないことがありますし、AIを導入するよりも人間がやった方がよいものもあります。

具体的にAI技術を活用する場合の流れについてみていきましょう。基本的に次の5つのフェーズに分けて学習フェーズと結果フェーズを繰り返すことでAIの精度を高めていきます。

・AIによるサーバー等の障害予兆検知

例としてサーバーやネットワークの障害予兆検知でAIを使った基本的なアプローチ方法を見ていきます。

▼データ取得
サーバーやネットワークのシステムログや各種ログ情報を集めます。
▼データの前処理
集めたログをAI学習に合わせたデータに加工します。
▼学習
AIに学習させるための各種パラメータ(学習方法やアルゴリズム、データの数など)を設定します。
▼結果確認
学習の結果、障害予兆の検知精度や再現率が想定通りかを確認します。想定通りではない場合は、再度学習フェーズに戻って、各種パラメータを変更し結果を確認することを繰り返します。
▼導入
満足のいく結果になったら、実際に商用への導入を検討していきます。

このようにAIを活用する場合でも、人間がやらなければいけないことがあり、AIだけにすべてを任せておけば何でもやってくれるという世界ではありません。

情シスが活用可能なAIとは

では、情シス部門が活用可能なAIにはどのようなものがあるのでしょうか。情シスがAIを活用するシーンとして次の3つをご紹介します。

・セキュリティ対策

正常なファイルとマルウェアなどの不正プログラムの特徴をAIで学習させて、新種のウイルスやマルウェアが侵入した際に防御の自動化を行うことが可能になります。

AIを使わないマルウェア対策ですと、マルウェアやウイルスを見つけて、通信パターンを特定し、その情報をセキュリティシステムにインポートして初めてそのマルウェアやウイルスを防御することができるため少なからずタイムラグが発生してしまいます。AIを活用することで、新種のウイルスやマルウェアであっても正常なファイルとマルウェアなどの不正プログラムの特徴を学習させておけば、即時にウイルスやマルウェアを検知することが可能になります。

・サーバーやネットワークの障害予兆検知

情シスではサーバーやネットワークの監視を監視装置等でPingやSNMPを使って定期監視していることが多いと思います。一般的に定期監視では、障害が発生してから検出しますので、場合によってはシステム障害が発生することもあります。
もし障害の予兆検知ができれば、システム障害が発生する前に機器の交換が可能になりますし、その分運用コストも下げることができます。

この障害予兆検知にAIが活用できるのではと言われており、サーバーやネットワーク機器に各種ログをAIで分析させて、通常とは違う異常検知パターンを発見させることで、障害の予兆検知が可能になります。

・ヘルプデスク対応

情シスは日々ユーザーからのユーザーIDやパスワードに関する問い合わせや、システム不具合に関する問い合わせに追われているのではないでしょうか。この問い合わせ対応にAIを活用することで問い合わせ対応に費やしていた業務を削減することができます。

ユーザーからの問い合わせ対応をAIを活用したチャットボットサービスにすることで、簡単な問い合わせであればAIが回答し、AIでは対応できない問い合わせだけを人間が対応するようにすれば問い合わせ対応に費やしていた時間を削減することができるでしょう。

まとめ


以上、情シスが理解しておくべきAIについて解説してきました。AIを業務で活用出来る領域はまだまだ少ないと思われている方も多いかも知れませんが、AI技術はドッグイヤーで進化しており、想像以上の速さで情シス部門のさまざまな業務に取り込まれてくると思います。

その時にAIをうまく活用できない会社と、AIと上手に付き合って業務効率を上げる会社とでは、業績に大きな差となって見えてくるかもしれません。
この記事をきっかけに一度AIについて勉強してみるのも良いかも知れません。

※未知マルウェアも99%隔離するAIアンチウイルスについては、以下のホワイトペーパーもご覧ください。