目 次
ファイルサーバーのクラウド化と目的とは
クラウドストレージ選びで確認すべきポイント
ファイルサーバーをクラウド化する6つのメリット
ファイルサーバーをクラウド化する4つのデメリットと対策
ファイルサーバーのクラウド化によるセキュリティリスクと対策
ファイルサーバーをクラウド化するなら、LANSCOPE によるセキュリティ対策がおすすめ
まとめ
近年の働き方の多様化(リモートワークの導入・オフィスの縮小)や 企業のDX化(デジタル・トランスフォーメーション)推進により、自社のファイルサーバーを、従来の「オンプレミス型」から「クラウド型」へ移行する企業が増加しています。
ファイルサーバーのクラウド化には、下記のような導入メリットがあります。
・場所を問わず仕事できる
・情シスの運用工数を削減できる
・自社サーバーの設置場所が不要
・システム拡張やストレージ追加が行いやすい
・バックアップが容易・BCPにも対策できる
・社外とのファイル共有・共同編集がしやすい
一方で「個人の通信環境に依存しやすい」「オンプレミス型とは異なるセキュリティリスクを伴う」といった、クラウド型ならではのデメリット(課題)もあります。
本記事では「ファイルサーバーをクラウド化を検討」されている皆様に向けて、オンプレミス型との違いやセキュリティリスクなど、クラウド型の導入に役立つ情報を解説します。

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ファイルサーバーのクラウド化と目的とは
近年では、ファイルサーバーのクラウド化を推進する企業が増加しています。ここでは、ファイルサーバーのオンプレとクラウドの違いを解説するとともに、働き方の多様化から見るクラウド移行推進の背景を解説します。
ファイルサーバー オンプレミス型とクラウド型の違い
ファイルサーバーをオンプレミスとクラウドで運用する場合の違いは、下記の通りです。
オンプレミス | クラウド | |
---|---|---|
コスト | × サーバーの購入費用など、 初期投資が大きい。 リソースを追加する場合は 買い替えが必要 |
〇 低コストで利用できる。 必要な分のリソースを 契約することができるので、 コスト最適化につながる |
導入開始までの期間 | × 導入開始までの期間は長く、 数ヶ月~1年程度 かかる場合もある |
〇 既に完成されている サービスを利用するため、 導入開始までの期間が短い |
セキュリティ | 〇 社内の独立した ネットワーク内に構築するため、 セキュリティ面に強い |
△ インターネット接続を伴うため、 セキュリティソフトの導入などの セキュリティ対策が必須 |
カスタマイズ性 | 〇 自社専用のサーバーを 構築するため、 カスタマイズ性は高い |
△ ベンダー側が提供している 統一されたサービスを 利用するため、 カスタマイズ性に制限がある |
サポート | × 基本的に自社で復旧対応する 必要がある(ケースによっては、 ベンダーのサポートを 受けられることも) |
△ ベンダーによって 質や内容が異なるが、 サポートを受けられる機会が多い |
両者それぞれに強みがあるため、上記を参考にしながら、自社に適した運用形態を選択することが大切です。
働き方の多様化に伴い、ファイルサーバーのクラウド移行が進んでいる
働き方の多様化が進み、リモートワークが普及している背景を受け、ファイルサーバーのオンプレミスからクラウドへの移行が進んでいます。
実際、令和4年に総務省が発表した「クラウドサービス市場の動向調査」によれば、2021の日本のパブリッククラウドサービス市場は 1兆5,879億円(前年比 28.5%増)にのぼります。
従来のオンプレミス環境では、社内のネットワークに接続できる環境・端末でなければ、ファイルサーバー上のデータが参照できませんでした。サーバーをクラウドへ移行することで、オフィスに出勤しなくても、自宅や外出先などから社内のデータを参照できるようになります。
またPC端末に限らず、スマートフォンやタブレットから自社のファイルサーバーへアクセスし、データを閲覧することも可能です。
クラウドストレージ選びで確認すべきポイント
クラウドストレージサービスを選ぶ際に「確認すべきポイント」は、下記の6点です。
・料金体系
・対応OSやアプリケーション
・サポート体制
・セキュリティ機能の有無
・ストレージ容量
・通信速度 / 搭載するCP
各項目ごとの「チェックすべき内容」や「注意点」について、下記の表へまとめました。
選ぶポイント | 概要 |
---|---|
1.料金体系 | ・クラウドサーバーの料金形態は従量課金制あるいはユーザー数に応じて 課金されるケースの主に2パターン。 前者に関しては、サーバーのアクセス量に応じて料金が決まるケースが多 ・目先の価格だけでなく、将来的に見込まれるアクセス量や ランニングコストを踏まえて、適切なプランを選ぶことが大切 |
2. 対応OSやアプリケーション | ・対応しているOSやアプリケーションをチェックしておくことが重要 ・ファイルサーバーへのアクセスはブラウザが中心になるため、 どのブラウザに対応しているかにも注目 ・スマートフォンやタブレットで使用したい場合は、 iOSやAndoroidに対応しているかも確認する必要がある |
3. サポート体制 | ・契約前に、サポート体制が充実しているかをチェック ・メールだけでなく、音声やオンライン・直接訪問・遠隔操作等、 環境に応じてサポートしてもらえる サービスを選ぶのがおすすめ |
4. セキュリティ機能の有無 | ・クラウドはインターネット接続により、オンプレサーバーに比べ 情報漏洩等のセキュリティリスクが高い。 セキュリティ機能が備わったサービスを選ぶ |
5. ストレージ容量 | ・自社が利用するストレージ容量を見極めて、適切なプランを契約することが大切 ・必要に応じて柔軟に増減できるため、業務拡大や人数減少の場合も 臨機応変に対応しやすい点は強み |
6. 通信速度 / 搭載するCPU | ・インターネット接続が必須になるため、 高速かつ安定したインターネット環境を用意するのが理想的 ・ベンダー側のサーバーに依存するため、 事前に搭載されているCPUを確認しておく必要がある |
容量制限や価格帯・共同編集作業の可否など、提供企業によって、クラウドストレージサービスの特徴や仕様も異なります。自社の体制やニーズに合わせて、適切なサービスを選択してください。
また企業で使用するのであれば、基本的にセキュリティ機能やストレージ容量が充実した、法人向けの有料サービスを利用するのが望ましいでしょう。
ファイルサーバーをクラウド化する6つのメリット
ファイルサーバーをクラウド化することには、さまざまなメリットがあります。知っておきたい、ファイルサーバーのクラウド化がもたらす「6つのメリット」について解説します。
1.自宅や外出先など、場所を問わず利用できる
1つ目のメリットは、「自宅や外出先など、場所を問わずに利用できること」です。クラウド化されたファイルサーバーはインターネットを通じて提供されるため、インターネットに接続できる環境を用意できれば、基本的にはどこからでも接続が可能です。
オフィス外からでもファイルサーバーのデータを参照できるため、自宅やサテライト拠点からリモートワークを行う場合にだけでなく、営業先から社内のデータを参照したい場合などにも役立つでしょう。またデータ参照や受け渡しのためだけにオフィスへ足を運ぶ必要もなくなるため、業務効率化にも貢献します。
2.アップデートやメンテナンス等、情シスの運用工数を削減できる
2つ目のメリットは、アップデートやメンテナンス等、情報システム部門の運用工数を大幅に削減できる点にあります。
社内にファイルサーバーを設置して運用するオンプレミス型は、構築のために長い時間と手間を要するだけでなく、構築後の運用にも一定のリソースを割り当てる必要があります。セキュリティを維持するためには定期的なメンテナンスが必要であり、メーカーから最新のプログラムが発表された場合は、速やかにアップデート対応を行わなければなりません。
しかし、クラウド化されたファイルサーバーであれば、アップデートやメンテナンスはサービスを提供するベンダー側が行うため、自社の運用の手間を削減できます。
3.自社サーバーが不要なため、設置場所を取らず導入もしやすい
3つ目のメリットは、自社サーバーが不要になるため、サーバーの設置スペースを削減できることです。
自社でサーバーを設置する場合は、セキュリティが確保されており、耐熱や耐震に配慮された空間を確保しなければならないなどの制約が発生してしまいます。
しかし、ファイルサーバーをクラウド化すれば、ベンダーが提供するサーバーを利用できるため、自社にサーバー室を設け管理する必要がなくなります。
4.システム拡張やストレージ追加が行いやすい
4つ目のメリットは、システム拡張やストレージ追加が行いやすい点です。
オンプレミス型では、サーバーのスペックを指定して購入するため、導入後にCPUを変更したり、ストレージを追加したりすることはできません。スペックを変更する場合は新たにサーバーを購入する必要があります。
一方、クラウド型のファイルサーバーは、スペックの変更やストレージの追加が容易で、自社の運用に合わせて自由に拡張できます。必要な容量が増えれば随時追加購入し、不要な場合はプランを変更することで、コストパフォーマンスの最適化が図れます。
5.クラウドへのバックアップ機能で防災・BCPにも対策できる
5つ目のメリットは、サーバーのクラウド化により防災やBCP対策もカバーできる点です。
BCP対策とは、自然災害やシステム障害といった緊急事態が発生した際、事業の損害を最小限に食い止めるために実施する手段を指します。オンプレミス環境ではサーバーを社内に設置するため、被災した場合はサーバーが破壊され、内部データが消失してしまうリスクがあります。
一方、ファイルサーバーをクラウド化すれば、ネットワーク上で作成したデータはすべてクラウド上に自動保存されるため大切なデータを意図せず失うリスクを回避できます。また万一オフィスが被災し、社内で業務の継続が難しい場合も、クラウドを経由し他の場所から業務を再開することが可能です。
6.社外とのファイル共有・共同編集などが行いやすい
6つ目のメリットは、社外とのファイル共有・共同編集などが行いやすいことです。
オンプレミス環境に保存されているデータを社外のユーザーと共有するためには、メール添付やUSBメモリの利用といった方法でデータを送信する必要があります。一方、クラウドに保存したデータなら、アクセス権限を付与したデータのURLを通知するだけでファイルを簡単に共有できます。
また、クラウドサービスによっては複数ユーザーで同時にファイルアクセス・編集が可能なものもあるため、より効率的な業務の推進につながります。

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ファイルサーバーをクラウド化する4つのデメリットと対策
先述のように、ファイルサーバーのクラウド化には多くのメリットがありますが、オンプレミス環境と比較したデメリットもあります。ここでは導入前に知っておくべき「4つのデメリット」と、それぞれの対策について解説します。
1.個人のネットワーク環境に通信速度が影響される
1つ目のデメリットは、個人のネットワークに通信速度が影響されることです。
クラウド版のファイルサーバー接続時の快適性は、ファイルサーバーを利用するユーザーのインターネット環境に依存。そのため速度が遅いインターネット回線を利用すれば、データの閲覧や業務に支障が出る懸念もあります。
特に動画のようなデータ容量の大きいファイルをアップロード・ダウンロードする場合は、通信速度が作業に大きく影響します。ファイルサーバーのクラウド化を検討する場合は、社内はもちろん、各社員の環境においても安定したインターネット環境の確保が大前提となります。
2.月額利用料がかかる
2つ目のデメリットは、月額利用料が発生する点です。
クラウドサーバーは事業者によって提供されるため、初期費用のほか、毎月サービスを利用するための「月額利用料」がかかります。ファイルサーバーのクラウド化を検討するのであれば、年間どれだけの料金がかかるのかを試算し、自社にとって費用に見合ったメリットがあるか検討しましょう。
オンプレミス環境時の比較してかかるコストや、クラウド化によって削減できる工数・利便性の向上などを総合的に照らし合わせ、導入可否を判断する必要があります。
3.カスタマイズ性が低い
3つ目のデメリットは、カスタマイズ性が低いことにあります。
どのようなクラウドサービスでも共通ですが、オンプレミス環境とは異なり、ベンダーが提供するサービスを複数の企業が利用します。そのため、自社独自でサーバーを設置するオンプレミス環境と比べると、自社の運用に合わせてカスタマイズできる領域は狭くなります。
特殊な運用形態でカスタマイズが必要不可欠な場合は、オンプレミス環境の導入・継続を検討する必要があるでしょう。あるいは、一部のデータはクラウド上で、特殊な運用が必要なデータのみオンプレミス環境で管理するという「ハイブリッドクラウド」の利用を検討する、という手段もあります。
4.オンプレミスと異なる「セキュリティリスク」が伴う
4つ目のデメリットは、オンプレミス環境とは異なる「クラウド独自のセキュリティリスク」が伴うことです。
オンプレミス環境は社外ネットワークから切り離されているため、外的要因によるセキュリティリスクが比較的低い、という特徴があります。一方、クラウド環境はインターネット接続を必須とするため、IDやパスワードの流出から悪意ある第三者にファイルへアクセスされたり、設定不備により予期せぬユーザーに機密情報が漏洩したり、といったリスクが想定されます。
ファイルの社外共有や共同編集を行う際は、本当に信頼できるユーザーのみに権限を付与する・従業員の不適切な操作を早期発見できる体制づくりといった対策が欠かせません。ファイルサーバーをクラウド化する際は、サービスに標準搭載されたセキュリティ機能に加え、最適なセキュリティサービスやウイルスソフトの導入なども、あわせて検討したいところです。
ファイルサーバーのクラウド化によるセキュリティリスクと対策
ファイルサーバーをクラウド化することによって、次のようなセキュリティインシデントが発生する恐れがあります。
・内部犯によるファイルの持ち出し
・データ共有による機密情報の漏えい
・第三者の不正アクセスによるデータ流出
・ファイルサーバーの悪質なマルウェア感染
具体的には「アクセス権限の範囲を誤り、会社の機密情報が社外に流出してしまった」「従業員の不当なデータ改ざんや持ち出しにより、大切なデータが失われる」などの被害があげられます。またマルウェアなどウイルスに感染したPC端末がクラウドサーバーへアクセスすることで、感染被害がサーバーに及ぶ可能性もあります。
上記のようなインシデントの発生を防止するためには、ファイルに適切なアクセス権限を設定したり、データの暗号化を行ったりといった対策が必要です。また、アクセスログを取得・監視しリスクに早期対策を打つ・サーバーに対し適切なセキュリティ設定を行う・セキュリティルールを社内で策定し社員のリテラシーを高める、といった対策も効果的でしょう。
ファイルサーバーをクラウド化するなら、LANSCOPE によるセキュリティ対策がおすすめ
ファイルサーバーのクラウド化を検討しているのであれば「LANSCOPE」によるセキュリティ対策がおすすめです。ここでは、強固なセキュリティ対策を実現する、LANSCOPEの2つのサービスを紹介します。
1. SharePoint や OneDrive の利用状況をわかりやすく可視化(LANSCOPE セキュリティオーディター)
SharePoint や OneDrive など、 Microsoft 365 の提供するファイルサーバーに対策するなら、従業員の操作内容をわかりやすく可視化する「LANSCOPE セキュリティオーディター」がおすすめです。
LANSCOPE セキュリティオーディター では、従業員の「不正なファイル共有」や「不審なデータアクセス」を、”わかりやすい監査ログ” にて簡単に発見することが可能。
「誰が、どこで、いつ、どのアプリで、何をしたか」までが一目で把握できるため、セキュリティリスクがある従業員の操作にも、いち早く対策できます。また、違反行動をアラートで管理者・本人の両方に通知するため、従業員への注意喚起も効率的に行えます。
さらに「わかりやすさ」にこだわったコンソールは、セキュリティ知識のない管理者でも直感的な操作が可能。「 過去、Microsoft 365 の標準ログ機能を使いこなせなかった」という方も安心です。
2.様々なクラウドサービスのセキュリティ設定を診断(LANSCOPE プロフェッショナルサービス)
自社で利用するSharepointやOneDriveなど、Microsoft365の「セキュリティ設定が適切か」を確認するならLANSCOPE プロフェッショナルサービス提供の「クラウドセキュリティ診断」がおすすめです。
クラウドセキュリティ診断では、 Microsoft365が、「セキュリティ上最適な設定になっているか」をプロの目線でチェックし、改善点を分かりやすくレポーティングします。
▼クラウドセキュリティ診断の報告レポート
診断を実施いただくことで、「管理者による認証設定ミス」・「アクセス管理設定のミス」・「ログ管理設定のミス」等のインシデントに繋がる設定ミスの有無を把握・対策することが可能です。
「自社のクラウドサーバーの設定状況が不安」「セキュリティ面が心配」という方は、ぜひご検討ください。
まとめ
「ファイルサーバーのクラウド化」を検討中の企業様向けに、オンプレミス型との違いや導入に伴うメリットデメリットなどについて解説しました。
【この記事のまとめ】
●クラウド型のファイルサーバーは、オンプレミス型に比べ「場所を問わず利用できる」
「運用工数の削減」「社外とのファイル共有・共同編集がしやすい」などの導入メリットがある
●ただし、オンプレミス型と比較し「個人のネットワーク環境に利便性が影響される」
「カスタマイズ性が落ちる」「セキュリティリスクが増える」などのデメリットも伴う
●自社のニーズや利用環境に応じて「クラウド型」「オンプレミス型」
どちらのファイルサーバーを利用すべきか、長期的な視点から検討することが重要
●ファイルサーバーのサービスを選ぶ際は「料金体系」「対応OSとアプリ」「サポート体制」
「セキュリティ機能」「ストレージ容量」「通信速度 / CPU」の6点を確認する
●クラウド型のファイルサーバーでは「データの不正な共有や持ち出し」による「情報漏洩」や
「悪質なマルウェア感染」といったセキュリティリスクを伴う
●「適切なセキュリティ設定」や「従業員のアクセスログの取得」
「セキュリティルールの策定や研修」といった対策が重要
働き方の多様化に伴い「企業における、ファイルサーバーのクラウド化」は、今後ますます進むことが予想されます。「ファイルサーバーのクラウド化」に関して理解を深めたい方は、下記の無料資料もご活用ください。

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