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マイクロソフトのエバンジェリストが語る、最新テクノロジーで創る「ワークスタイルの未来」

Written by 阿部 欽一

キットフックの屋号で活動するフリーライター。社内報編集、Webコンテンツ制作会社等を経て2008年より現職。情報セキュリティをテーマにした企業のオウンドメディア編集、制作等を担当するほか、エンタープライズITから中小企業のIT導入、デジタルマーケティングまで幅広い分野で記事執筆を手がけている。

マイクロソフトのエバンジェリストが語る、最新テクノロジーで創る「ワークスタイルの未来」

このほどオンライン開催された「MOTEX DAYS 2021 -WINTER-」の基調講演には日本マイクロソフト エバンジェリスト・業務執行役員の西脇 資哲氏が登壇し、加速するワークスタイル変革をマイクロソフトの最新テクノロジーがどのように実現していくかを話した。

インターネット中心の働き方でもチームワークは構築できる

2020年から2021年にかけて、コロナ禍によりテレワーク・リモートワークへの移行が進んだ。西脇氏は、2020年から2021年に「マイクロソフトは全世界で16万人の従業員を在宅勤務させ、25000人の新入社員をリモート採用した」と話した。

こうした状況にもかかわらず、マイクロソフトへの帰属意識を感じていると回答した社員は90%にのぼるなど、デジタルツールとインターネット中心の働き方でもチームワークは構築できることがわかったという。

日本マイクロソフトのオフィスは現在、「ソフトオープン」というステージにある。これは、マイクロソフトが全世界のビルに設けているステージで、「オープンはしているが、出社は前提でなく引き続きリモートワークを推奨」という状態だ。

来社時は、スマホで健康チェック項目に回答することで24時間有効の証明書が発行され「オフィスに入るときは入口で証明書をかざす必要がある」と西脇氏は説明する。西脇氏は「こうしたアプリは、 Microsoft Power Apps を用いて作成されている」と述べ、健康チェックを仕組みでカバーすることも「ローコードで簡単にアプリが作成できる開発基盤が用意されている」と話した。

在宅勤務とオフィス勤務はそれぞれに長所がある。たとえば、ワークライフバランスを重視したいときは在宅勤務が向いているし、同僚とのコラボレーションや社交的なやり取りはオフィス勤務が向いている。マイクロソフトが全世界の社員を対象にした調査では、「フレキシブルなリモートワーク」を希望する従業員は73%にのぼる。また、パンデミック収束後、「直に顔を合わせて仕事をしたい」と考える従業員は67%にのぼる。

オフィスワーク、リモートワークの双方を自由に選びたいというのがこれからの働き方だ。

働く場所を自由に選べる「ハイブリッドワーク」の時代へ

コロナ以前より、ワークスタイルの変遷の動きはあった。国内では2000年頃よりテレワークが提唱され、2011年の東日本大震災では、首都圏の電力需要の逼迫により積極的に在宅勤務が推奨された。そして、コロナ禍により「強制的に」テレワークへの移行が進んだのだ。

日本マイクロソフトのワークスタイルの変化について、西脇氏は「2009年と2019年の対比」を示した。これによると、働く場所は、2009年は7割がオフィスだったが、2019年には、コロナ禍前だったにもかかわらず、オフィスワークは3割に減っていた。

テレワーク率は、最初の緊急事態宣言前の2020年3月下旬で98.3%となっており、「この状況で緊急事態宣言が出たので、あまり変わりなかった」と西脇氏は振り返る。

また、コミュニケーション手段は、2009年はメールが75%だったのに対し、2019年は60%をチャットが占めている。生活のシーンでは、SNSを使ったチャットコミュニケーションは当たり前となっており、「業務においてもコミュニケーション見直しの時期が来ている」と西脇氏は述べた。

この先は「オフィスワーク」「テレワーク」の両方を選択可能なハイブリッドワークがさらに加速していく。オフィスであれ自宅であれ、働く場所は選ばない働き方だ。

通勤時間を気にしなくてよくなれば、遠隔の実家で生活してもいいし、海外に住んでもいい。住まいの選択の自由度が高まり、勤務のフレキシビリティも高まる。それぞれが生産性を発揮できる時間帯に働くことを自由に選択できる時代が来るのではないか──、西脇氏はこのように話した。

新たなデバイス体験を可能にする「Windows 11」を発表

こうしたハイブリッドワークを支えるOSとして発表されたのが「Windows 11」だ。この1年数ヵ月、パソコンやスマホといったデバイスに向かう時間は圧倒的に増えた。そこで、デバイスでの体験をより効率的に、生産性を高めつつ、より心地よいものにするために新しくデザインされたOSだと西脇氏は話す。

大きな考え方は2つあり、1つは「シンプル」であること。快適に使えるシンプルなUIとしてスナップアシスト機能などがある。2つめは「つながる」ことで、たとえば、ミーティング中にウィンドウを共有したり、編集、更新したファイルの内容がすぐに共有フォルダに格納されるといった機能を備える。

また、ハイブリッドワークを実現するクラウド仮想デスクトップソリューションが「Windows 365」だ。

テレワークで課題になる、業務PCのインストールやセッティング、セキュリティの課題を解決するもので、デバイスの種類を問わず、それこそMacやiPadでも、オフィスで使うWindows 11の業務環境をクラウドから提供する。

また、業務アプリケーションでは「Microsoft 365」がある。資料を探す、資料を作成、共有する、会議やチャットを行うなど、働き方のすべてのフローをカバーするもので、1日当たりのサービス利用者は全世界で1億4500万人、日経225企業での利用率は2021年4月で94%にのぼっている。

データからハイブリッドワークをサポートする「Microsoft Viva」

さらに、データからハイブリッドワークの実現をサポートするのが「Microsoft Viva」だ。たとえば、「Viva Insights」は、「37%の従業員が毎週5時間以上、勤務時間外の仕事をしている」など、データからAIが働き方の分析と示唆を行ってくれるものだ。西脇氏は、Vivaが働き方のデータ分析を行い、セキュリティや資産管理はMOTEXのLANSCOPEが担うことで働き方のインフラを支えていくと述べた。

また、「Viva Learning」は従業員の再教育(リスキリング)をサポートするものだ。その人にあった学習領域とコンテンツをAIがレコメンドしてくれ、学習教材はマイクロソフトやリンクドインで利用されているコンテンツが提供される。

そして、注目のTeams新機能としては、ビデオ会議のUIを変更する「Togetherモード」がある。会議のトーンを設定し、ユニークな会議環境を演出するもので、UIを外やカフェなどリラックスした雰囲気に変えることができる。「発表者モード」は、パワポのスライドの中に発表者が合成され表示できるようになる機能だ。

さらに、オンプレミスの電話設備がなくても、マイクロソフトが通信事業者としてクラウドのPSTN(公衆交換電話網)サービスを提供可能だ。

こうした機能に加え、ビデオ会議の議事録作成も「Meeting Recap」機能を使えば、AIが録画された発言内容を文字起こしし、「誰が、どんな発言したか」が整理される。あとから議事録を見れば「必要な会議以外、出席する会議を絞れるため、人は意思決定に集中することができるようになる」と西脇氏は述べた。

また、CarPlay対応によって、移動中の車の中でもミーティングが可能になり、さらに生産性を高めていくことができるということだ。

その先の「メタバース」へ

働く場所を問わないハイブリッドワークの先には「メタバース」がある。インターネット上の仮想空間の総称だが、西脇氏は「Teamsがメタバースに対応する予定だ」と話した。

仮想空間上でアバターが参加し、異なる言語の人でも同じ空間でコミュニケーションが可能なる。メタバース空間の中でPowerPointの資料を共有したり、ホワイトボードに付箋を付したりできる。「メタバースによって、自分がどこにいるか、ますます問わなくなるだろう」ということだ。

これからの安定的なメタバースの稼働を支えるため、マイクロソフトは全世界でデータセンターの拡張に取り組んでおり、また、オフィスを含めた「スマートシティづくり」にも積極的に取り組んでいこうとしている。

アメリカでは17のビルを更地にしてビル建設を一からやり直すとともに、そこで働く12000人を対象に、街全体をスマート化するスマートシティに向けた実証実験を開始した。

IoT、ビッグデータといったスマートシティの取り組みから得られた知見をフィードバックしていくと西脇氏は述べた。

街全体がインターネットにつながり、データ活用によって我々の働き方はさらにスマートになっていく。いつでも、どこでも、どんな方法でもフレキシブルに働ける時代を創るマイクロソフトの取り組みに期待して欲しい──、西脇氏はこのように述べ、講演を締めくくった。

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