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LDAPとは?仕組みや機能、メリットを解説

Written by WizLANSCOPE編集部

LDAPとは?仕組みや機能、メリットを解説


LDAP(Lightweight Directory Access Protocol、エルダップ)とは、ユーザーやシステムなど、さまざまなリソース情報を一元管理できる「ディレクトリサービス」にアクセスするための通信プロトコルです。

LDAPを導入することで、従業員の認証情報や個人情報、所属部署といったデータを集中管理できるほか、シングルサインオンの実現にも役立ちます。

管理すべき情報やシステムが多岐にわたる企業・組織においては、LDAPの導入は特に有効に働きます。

本記事では、LDAPの仕組みや機能、導入のメリットなどを解説します。

▼本記事でわかること

  • LDAPの仕組み
  • LDAPの機能
  • LDAPのメリット

「LDAPとは何か」「導入することでどのようなメリットがあるのか」などを知りたい方はぜひご一読ください。

LDAPとは


LDAP(Lightweight Directory Access Protocol、エルダップ)は、ディレクトリサービスへアクセスする際に利用される通信規約(プロトコル)です。

LDAPは、ネットワーク上に保管されているユーザーやシステムに関する情報を一元的に管理し、必要なときに効率よく検索・参照・更新するために利用されます。

具体的には、以下のような情報を扱います。

  • ユーザーID
  • パスワード
  • デバイス名
  • 所属部署などの所属情報

LDAPが広く利用されている理由として、データを一箇所に集約して管理できる点が挙げられます。

情報が複数のシステムに分散していると、更新漏れや不整合が生じやすくなりますが、LDAPでは情報源を集中させることで、統一的かつ効率的な管理が可能になります。

もともとディレクトリ参照には「DAP(Directory Access Protocol)」という方式が使われていましたが、DAPは仕様が複雑で処理負荷も高く、特にインターネット環境での運用には適していないという課題がありました。

そこで、処理の軽量化と運用のしやすさを追求して再設計されたのが「LDAP」です。

現在では、多くの認証基盤や組織内ネットワークで採用されており、アカウント管理やデバイス情報の整理に欠かせない仕組みとなっています。

ディレクトリサービスとは

ディレクトリサービスとは、ネットワーク上に存在するユーザー・コンピューター・アプリケーションなどの情報をまとめて管理し、必要なデータを素早く検索・参照できるようにするサービスです。

大量の情報を階層構造で整理し、参照性の高い形で保持できる点が大きな特徴です。

代表的なディレクトリサービスの例として、DNS(Domain Name System)が挙げられます。

DNSは、インターネット上で使用されるドメイン名とIPアドレスの対応関係を管理する仕組みです。

本来、Webサイトへアクセスするには、数値で構成されたIPアドレスを直接指定する必要がありますが、DNSが裏側で変換を行うことで、利用者はドメイン名を入力するだけで、目的のサイトにアクセスできます。

このように、膨大な情報を体系的に管理し、必要なときに素早く参照できるという点こそが、ディレクトリサービスの特徴と言えます。

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LDAPの仕組み


LDAPでは、さまざまな情報を「LDIF(LDAP Interchange Format)」というテキスト形式で保存します。

特徴的なのは、すべてのデータをツリー状の階層構造で整理している点です。

この階層の中で、ユーザーや組織、デバイスといった要素が分類され、それぞれに適切な権限が割り当てられます。

LDAPの階層を構成する要素としては、以下が挙げられます。

要素 内容
DC(domain component) ・ドメイン名の構成要素
OU(organization unit) ・部門やチームなど、組織を分ける単位
CN(common name) ・ユーザーやデバイスなど個別の項目

これらを組み合わせて階層化することで、膨大な情報でも整理された状態で管理可能になります。

これらの要素は「Distinguished Name(DN)」と呼ばれる識別子で一意に表現されます。

例えば、「企業の技術部に所属する佐藤さん」は、以下のように表現します。

  • cn=sato(佐藤さん)
  • ou=engineering(技術部)
  • ou=kigyou(企業)

最終的なDNはcn=sato,ou=engineering,ou=kigyouのように、下の階層から順にカンマでつないで表現します。

この仕組みにより、LDAPはユーザーやデバイスを重複なく識別し、必要な情報を素早く検索できます。

階層構造で整理されているため、権限設定も柔軟に行え、組織の規模が大きくなっても管理が煩雑になりにくい点が強みです。

LDAPサーバーとは


LDAPはあくまでも通信プロトコルであり、ユーザー情報などのデータそのものを保持する仕組みではありません。

実際のユーザー情報や組織情報は、「LDAPサーバー」と呼ばれるシステム側に保存されています。

LDAPサーバーは、ユーザー情報や組織構造、デバイスの属性などを一元的に管理し、必要に応じてクライアントへ提供する役割を担います。

LDAPは、このサーバーに対して効率よくアクセスするためのルールを定めており、検索や更新といった操作を共通の形式で行えるようにしています。

LDAPサーバーは、アプリケーションにとって共通の「情報の保管庫」として機能し、一つのLDAPサーバーに登録したユーザー情報を複数のシステムで共有できるため、サービスごとに個別にアカウントを作成・管理する必要がなくなり、管理を一元化できます。

また、LDAPはWindows環境の統合管理を得意とするActive Directoryと比較されることもあります。

両者は同一のものではありませんが、macOSやLinuxなどの異なるOS環境をまたいで一貫した情報管理を行いたい場合には、LDAPサーバーが採用されるケースが多く見られます。

一方で、Windows特有の権限管理やグループポリシーなど、より詳細で高度な設定が求められる環境では、Active Directoryが利用される傾向があります。

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LDAPの利用シーン

LDAPは、複数のシステムを横断してアカウント情報を扱う際によく利用されます。

例えば、システム1・2・3を利用する場合でも、LDAPサーバーに登録されたユーザー情報をもとに各システムが認証を行えば、個別にユーザー登録を行う必要がありません。

また、企業内のグループウェアとLDAPを連携し、従業員名から部署名やメールアドレス、内線番号などを検索できる環境の構築もできます。

大量の従業員情報をまとめて管理し、部署異動や人員追加にも柔軟に対応できる点が大きな利点です。

LDAPの機能


LDAPの主な機能としては、「情報の一元管理」「アクセス制御」が挙げられます。

これらの機能で具体的にどのようなことが実現できるのかを解説します。

情報の一元管理

LDAPを導入することで、ユーザーのログイン情報や個人データ、PCやプリンタのIPアドレス情報などを一箇所に集約して管理できるようになります。

情報を一元的に管理することで、入社・退社・異動に伴う従業員情報の更新や、デバイス・ネットワーク機器の管理がしやすくなり、業務効率化につながります。

アクセス制御

LDAPでは、ユーザーや部署単位で、利用可能なデバイス、プリンタ、各種システムへのアクセス権限を柔軟に設定できます。

さらに、特定のフォルダやリソースに対して細かなアクセス制限を設定することも可能なため、特定部署のメンバーのみが閲覧・利用できるディレクトリ環境の作成も可能です。

LDAPを利用するメリット


LDAPを導入することで、次のようなメリットが期待できます。

  • ディレクトリ構造を拡張できる
  • さまざまなOSに対応できる
  • サーバーにかかる負荷を軽減できる
  • セキュリティ強化につながる

詳しく確認していきましょう。

ディレクトリ構造を拡張できる

LDAPは、組織の成長や再編といった変化に合わせて、ディレクトリ構造を柔軟に拡張することが可能です。

また、認証情報や氏名、部署名といった基本的なユーザー情報に加えて、PC・複合機・スマートフォンといった、組織内で利用されるさまざまなリソースをまとめて管理することもできます。

そのため、運用方針や管理範囲の拡大に応じて、用途を段階的に広げやすい点もメリットといえるでしょう。

さまざまなOSに対応できる

LDAPは、利用者の多いWindowsはもちろん、macOSやLinuxなど、さまざまなOSに対応しています。

そのため、企業内でWindowsとmacOSを併用している場合でも、LDAPを活用すればユーザー情報や認証情報を統合的に管理でき、管理者の運用負荷を大幅に軽減できます。

さらに、新しいOSやデバイスを導入するにも、既存のLDAP環境をそのまま活用できるため、ユーザー管理や認証方式を変更することなく、スムーズな移行が可能です。

このようなマルチプラットフォーム対応により、企業は特定のOSに依存せずに、自由度の高いシステム構成を選択できます。

サーバーにかかる負荷を軽減できる

LDAPには、サーバーへの負荷を分散し、安定した運用を支える仕組みが備わっています。

その一つが、ディレクトリ情報の複製を作成する「レプリケーション機能」です。この機能により、複数のLDAPサーバーに同じ情報を保持させることができ、特定のサーバーにアクセスが集中する事態を防げます。

その結果、ユーザー数やアクセス数が増加した場合でも、認証や検索時の応答速度が低下するリスクを抑えることが可能です。

また、複製されたデータは、万が一サーバー障害が発生した際のバックアップとしても機能するため、耐障害性の向上にもつながります。

セキュリティ強化につながる

LDAPでは、リソースごとのアクセス権限を詳細に設定できるため、高度なセキュリティ管理が可能です。

例えば、一般の従業員には閲覧権限のみを付与し、経営層や感謝には追加・削除・更新といった操作権限までを与えるなど、役割に応じた細かな設定ができます。

このように、アクセス権限を細分化することで、不要な権限付与を防ぎ、情報漏洩や不正操作といったセキュリティリスクを大幅に低減できます。

さらに、万が一インシデントが発生した場合でも、影響範囲を限定できるため、被害を最小限に抑えつつ、企業の情報資産を守る上で非常に有効な手段となります。

LDAPとSSOの関係性


SSO(シングルサインオン)とは、ユーザーが一度ログインするだけで、複数のアプリケーションやサービスへ継続してアクセスできる仕組みです。

この仕組みを成り立たせるためには、ユーザーの認証情報を一か所にまとめて管理し、各システムから共通して参照できる認証基盤が欠かせません。

そこで重要な役割を果たすのが「LDAP」です。

LDAPは、ネットワーク越しにユーザー情報を安全かつ効率的に参照できるため、複数のアプリケーションで同一の認証情報を利用する仕組みを構築しやすくなります。

その結果、ユーザーは一つのIDとパスワードだけで複数のシステムにアクセスできるようになります。

このような理由から、LDAPはSSOの基盤技術として採用されるケースが少なくありません。

また近年では、クラウド型の認証サービスであるIDaaSとの連携も進んでいます。

LDAPで管理しているユーザー情報をIDaaSと連携させることで、社内システムだけでなく、インターネット上のクラウドアプリケーションに対してもSSOを実現できます。

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LDAPとActive Directoryの違い


LDAPは、ディレクトリサービスに保存された情報へアクセスするための共通プロトコルです。

ユーザー情報や組織情報を検索・参照・更新するための「通信ルール」として機能します。

一方で「Active Directory(AD)」は、このLDAPを利用して動作するMicrosoft製のディレクトリサービスです。

LDAPをはじめ、KerberosやDNSといった複数の標準技術を組み合わせることで、ユーザー管理や認証を一体化した仕組みを提供しています。

Active Directoryは、Windows環境を中心とした企業ネットワークでの利用を前提に最適化されており、ユーザー認証からデバイス管理、アクセス権限の設定までを一括で扱える統合管理基盤として広く採用されています。

一方でLDAPは、特定のベンダーに依存しないオープンなプロトコルであるため、OpenLDAPをはじめとした多様なディレクトリサーバーで利用されています。

Windows以外のOSを含む環境でも柔軟に導入することが可能です。

つまり、 Active DirectoryはLDAPを内部で利用するディレクトリサービスであり、LDAPはその基盤となる通信仕様という関係にあります。

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まとめ

本記事では「LDAP」をテーマに、その仕組みや機能、導入のメリットなどを解説しました。

本記事のまとめ

  • LDAPとは、ディレクトリサービスへアクセスする際に利用される通信プロトコル
  • ディレクトリサービスとは、ユーザーやデバイスなどのさまざまなリソース情報を一元管理する仕組み
  • LDAPサーバーとは、ディレクトリサービスを提供し、情報を管理・提供するサーバー
  • LDAPの主な機能には、「情報の一元管理」「アクセス制御」が挙げられる
  • LDAPには、「ディレクトリ構造の拡張」「マルチOS対応」「サーバー負荷の軽減」「セキュリティ強化」といったメリットがある

LDAPを利用することで、従業員の認証情報や個人情報、所属部署といったさまざまな情報を一元管理できるようになります。

さらに、リソースごとにアクセス権限を詳細に設定できるため、セキュリティレベルの高い運用管理が可能です。

組織規模が大きく、管理すべき情報やシステムが増えている企業・組織にとって、LDAPは運用負荷を軽減しつつ、セキュリティ強化を図れる有効な選択肢といえます。

ぜひ導入をご検討ください。