コンシューマ、PC、スマートフォン向けゲームの開発から販売・運営までを手がけるほか、自社IPを活かしたライセンス事業や、e-SPORTS大会の企画・運営を通じて世界各地のコミュニティを支えるe-SPORTS事業など、幅広く事業を展開する株式会社SNK。
高度な開発技術によって生み出されるクリエイティブや知的財産を扱う同社にとって、開発環境を支えるPCやスマホなどのIT資産の適切な管理と、情報漏洩を防ぐセキュリティ対策は欠かせない。
同社では、ゲーム開発特有の多様なソフトウェアやさまざまなOSのバージョンを一元的に管理するため、従来から統合エンドポイント管理「LANSCOPE エンドポイントマネージャー(以下エンドポイントマネージャー)」を導入している。
現在は、オンプレミス版を中心にPCの管理・運用を行い、スマホ管理ではクラウド版を活用するなど、デバイス特性に応じて使い分けている。
同社 グローバル管理本部情報システム部 部長の木村 成宏 氏と、同部の四坂 直大 氏に、導入の経緯や効果について話を聞いた。
ゲーム開発では、一般的な企業と比べて使用するソフトウェアの数が多く、さらにプロジェクトごとに動作環境を統一する必要がある。そのため、OSや各種ツールのバージョンを固定する必要がある。
そのため、誰がどの端末で、どの環境を利用しているのかを正確に把握することが、開発効率や品質を維持するうえで欠かせなかった。

木村氏は、同社の開発環境について次のように語る。
「開発現場では、WindowsやmacOSに加え、スマホ向けゲームの開発・検証で利用するiOS、Androidなど、複数のOSが混在しています。プロジェクト単位で求められる開発環境が異なることから、ソフトウェアやOSのバージョン管理を人手で行う運用には限界がありました」
同社では、開発に用いる端末の管理を表計算ソフトで行っていたが、端末数やツール数が増えるにつれ、管理が属人的になり、管理工数も大きな負担になっていたという。
こうした課題を背景に、同社では早い段階から端末管理を目的にエンドポイントマネージャーのオンプレミス版を導入した。
当初の目的は、いわゆるセキュリティ対策というよりも、開発用PCやバックオフィス用PCを含めたIT資産を効率的に把握・管理することにあった。
OSやアプリケーションを一元管理し、必要に応じて配布や制御を行える環境を整えることで、開発現場の負担を軽減する狙いだった。
同社がエンドポイントマネージャーを長年にわたり利用し続けてきた背景には、IT資産管理における「継続性」と「拡張性」を重視する判断があった。
木村氏は、導入当初を振り返りながら次のように語る。
「エンドポイントマネージャーは、最初からセキュリティ対策を目的にフル活用していたわけではありません。導入当初は、端末やソフトウェアを適切に管理するためのツールとして活用していました」
ゲーム開発の現場では、プロジェクトごとに異なるOSやツールのバージョンを正確に把握し、必要に応じて配布・制御することが求められる。また、外部の協力会社やフリーランスの開発者に開発を依頼するケースもある。同社では、こうした開発環境を統一的に管理するため、エンドポイントマネージャーを用いてOSを含めたソフトウェアのバージョン管理を行ってきた。
ソフトウェア配信についても、WSUSなどの更新管理ツールは利用せず、エンドポイントマネージャーからの配信に一本化。運用をシンプルに保てる点も評価していたという。
長期利用を支えたもう一つの要素が、ログの蓄積による価値である。
「ユーザーの操作ログは、ある程度の期間が蓄積されて初めて意味を持ちます。途中で別のツールに切り替えてしまうと、それまでの蓄積されたログデータが分断されてしまいます」(木村氏)。
将来的な活用を見据え、これまで蓄積してきたログを継続的に活用できることも、エンドポイントマネージャーを使い続ける大きな理由だった。
その後、スマホ向けゲーム開発の拡大に伴い、新たな管理ニーズが生まれた。
iOSやAndroid端末を開発機として利用するケースが増え、スマホのOSバージョンやアプリの管理が必要になったほか、バックオフィス社員に支給する業務用スマホの管理も求められるようになった。
こうした背景から、2017年頃にエンドポイントマネージャーのクラウド版を追加導入。
「スマホ管理のために別製品を導入する選択肢もありましたが、既存の運用や考え方を大きく変えずに拡張できる点を評価しました」(木村氏)。
エンドポイントマネージャーのオンプレミス版を中心に運用しながら、クラウド版を組み合わせる構成は、同社の業務実態に即したものだった。
既存の管理基盤や、これまで蓄積してきたログを活かしつつ、管理対象を自然に広げていける柔軟性こそが、エンドポイントマネージャーを選び続けてきた決め手となっている。
エンドポイントマネージャーの導入により、同社の情報システム部における端末管理は大きく効率化した。現在は、オンプレミス版を中心にPC管理を行い、スマホについてはクラウド版を活用する体制を構築している。
日常的な運用として最も活用しているのは、端末ごとのソフトウェアやバージョン、スペック情報の把握だ。

四坂氏は「管理画面を常に確認しているわけではなく、週に一度程度、機材の入れ替えや開発要件に応じた確認を行っています」と話す。ゲーム開発では、プロジェクトごとに求められる端末スペックや開発環境が異なるため、必要なタイミングで正確な情報を把握できることが現場の安定運用を支えている。
Windowsアップデートの管理も、エンドポイントマネージャーを通じて一元化されている。
オンプレミス環境上の管理サーバーから各端末へ更新プログラムを配布・適用しており、
「更新状況をまとめて確認でき、管理負荷が抑えられています」(四坂氏)。
PC・スマホを問わず、端末管理をエンドポイントマネージャーに集約できていることが、安定した運用につながっている。
ログについては、XDRへリアルタイムに連携されており、SOCチームが24/365でチェックしている。
「何かあったときに、すぐ過去の操作履歴を追えることが重要です。ログが蓄積されていることで、調査のスピードや安心感が違います」(四坂氏)。
また、協力会社やフリーランスに貸与する開発用PCなど、社外で利用される端末への対応も行っている。他のセキュリティサービスと併用し、社外環境からの操作ログ取得に加え、紛失時にはリモートロックやワイプを実行できる体制を整え、端末トラブル時のリスク低減につなげている。
IT資産管理の効率化に加え、必要なときに確実にログを確認できる統制の基盤。
エンドポイントマネージャーは、同社の情報システム部にとって、安心して運用を続けるための重要な存在となっている。
エンドポイントマネージャーの導入により、同社はIT資産管理とログ取得の基盤を整えてきた。今後はこの基盤を土台として、より高度なセキュリティ体制の構築を進めていく考えだ。
木村氏は、「グローバルスタンダードとなるIT環境を整備することを、情報システム部門のビジョンとして掲げています」と語る。
現在同社では、ネットワークやID管理、クラウドサービスも含め、全体最適の視点でIT環境の見直しを進めている。その中で、エンドポイントで取得される操作ログは、インシデント対応における重要な情報の一つだ。
「万が一の際に、どこで何が起きたのかを迅速に把握できる体制が重要です。そのためにも、端末のログ取得と管理は欠かせません」(木村氏)。
今後は、エンドポイントマネージャーで取得したログを他のセキュリティ基盤と連携させ、退職予定者など特定条件を起点にログを確認するなど、チェックのトリガーを明確にした運用も検討している。
また、モバイル端末管理についても、将来的にはセキュリティポリシー適用やアプリ管理まで含めた一元管理を進めていきたい考えだ。
※本事例は2025年11月取材当時の内容です。