IT資産管理

IT資産管理ツールの虎の巻【連載第四回】~IT資産管理ツールの選び方~

Written by 丸山 悠介

事業開発本部 ビジネス戦略課所属 MOTEX-CSIRT
パートナーセールス、ダイレクトセールスを経て、製品導入前から導入後のユーザーアフター対応まで一通り経験。
最近はユーザー企業とのワークショップ、CSIRTメンバーとしての活動、外部講演、情報収集活動等々・・マルチに活動中。

IT資産管理ツールの虎の巻【連載第四回】~IT資産管理ツールの選び方~

三回にわたり連載してきました「IT資産管理ツールの虎の巻」も、今回が最終回です。今回が初めましての方はぜひ、過去の連載記事もお読みください。

IT資産管理ツールの虎の巻

・【連載第一回】~そもそもIT資産管理ツールって?~
・【連載第二回】~IT資産管理ツール5つのポイント~
・【連載第三回】~IT資産管理ツールのトレンドと課題~

IT資産管理ツール市場の背景/課題/ニーズ

6つのポイントに分けて、IT資産管理ツール市場の今までを振り返り整理してみました。振り返ってみると世の中の課題に対してIT資産管理ツールは柔軟に広範囲をカバーして対応してきたことに気づきます。何故、その時その時の時代背景、課題に対応してこられたのかというと、一つの要素としてエンドポイント管理の特性が大きいと感じています。

時代の流れに応じて様々な課題が生まれますが、掘り下げていくと本質的には「人」に起因する課題が多数存在します。個人用PCでの業務が一般化して以降、IT資産管理ツールで対応する「PC(エンドポイント)の管理」が「人の管理」に限りなく近いものになっていた事で自然と時代の流れの中で様々なニーズに対応してきたのだと考えています。

背景 年代 課題 求められるもの
①PC大量導入 ~2000年 正確な台帳管理 ・ハード/ソフト情報の自動収集
②個人情報保護法 2005年~ 内部不正対策 ・操作ログ取得による監視、不正抑制
・外部記憶媒体制御
③リーマンショック 2008年~ コスト抑制 ・AP稼動集計で不必要アプリの削減
・操作ログ集計による不稼動業務削減
・無駄な残業削減
④ライセンス監査活発化 2009年~ 正確なソフトウェア台帳作成 ・詳細なソフトウェア情報の収集、台帳
⑤内部不正情報漏洩対策 2014年~ 情報持ち出し対策 ・外部記憶媒体制御強化
(スマホ等、新規デバイス関連)
⑥サイバーセキュリティ 2015年~ 境界防御の限界(予防・流入後) ・ログによる流入経路の特定
・感染拡大状況の把握
・パッチマネジメント  等々・・・
【一般的な「端末構成管理・セキュリティツール」導入目的】

1:IT資産管理・効率化
2:セキュリティ(内部不正対策寄り)
3:労務管理
4:ソフトウェアライセンス管理
5:紛失対策(暗号化) ※LanScope Catでは機能実装していない
6:サイバーセキュリティ

それぞれまったく違う検討領域にみえますが、IT資産管理ツールはカバー範囲が広いこともあり、どのカテゴリーでも提案されています。よく提案の場で「機能実装の〇×比較表」を使って「〇が多くて安い製品がいい」という商談を見かけますが、導入後にこけるケースが多いのがこの進め方です。気をつけていただきたいのが、「機能実装している(〇がついている)からといっても同じものではない」という事実です。

IT資産管理ツール選定で気をつけたいこと


先ほど歴史と機能実装の流れで紹介させていただいた通り、メーカーごとに市場参入の時期や注力している領域は違います。SAM監査の全盛期に参入してきたベンダーはソフトウェア資産管理の機能に特化していますし、個人情報保護法に絡んだ内部不正対策に注力したベンダーはログの詳細さと可視化に力を注いだ製品が多いです。各カテゴリーに絞ればLanScope Catより良く出来ているなと思う製品も勿論あります。

一部領域に特化して自社で全て開発しているメーカーもあれば、広範囲を他ベンダーとの協業やOEM提供でカバーしているメーカーもあります。ビジネスチャンスを逃さないよう、「各カテゴリーの提案土俵に乗れるようにとりあえず(浅い)機能は実装している」というメーカー側の想いも正直あったりします。

結果、あるカテゴリーでは優秀な製品が他のカテゴリーでは凡庸というパターンもあれば、どのカテゴリーでも平均点以上ながら尖ったところは無いという製品や製品ではなく運用サポートで差別化を出しているベンダーもあります。このあたりを考慮せずに機能〇×だけで判断してしまった結果、良くある例としてリプレイスで製品を入れ替えた際に、「機能は確かにあるけども前の製品で出来ていた運用が実現できなくなった」といった残念な状況に陥ったりします。これはLanScope Catから他社製品に入れ替えた場合も、他社製品からLanScope Catに入れ替えて頂いた場合も同様です。

重要なのは自社に必要な要件を明確にし、そこに対してベストな製品はどれか?という検討をする事です。「一部の課題に高いレベル対応すべきなのか?」「複数の課題をまとめてある程度のレベルでつぶしたいのか?」「今はここまでだが将来を考えると何処まで領域を広げて検討しておくべきか?」等々・・様々な視点で検討して自組織にあったIT資産管理ツールを選んで頂ければ幸いです。

4回の連載をとおしてIT資産管理ツールについて紹介させて頂きました。多機能な製品なので製品毎に強み弱みのバランスの見極めが必要となりますが、上手く活用すれば大きな効果を生む様々な機能が実装されています。また、ひらめき次第でメーカーも考え付かない新しい使い方も生まれます。

皆様も一度自社に導入されているIT資産管理ツールを確認いただき、様々な課題対応にお役立て頂ければ幸いです。
ここまでお付き合い頂き、有難うございました。