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法定停電によるトラブルを防止!担当者が行うべき11の対策

Written by 阿部 欽一

キットフックの屋号で活動するフリーライター。社内報編集、Webコンテンツ制作会社等を経て2008年より現職。情報セキュリティをテーマにした企業のオウンドメディア編集、制作等を担当するほか、エンタープライズITから中小企業のIT導入、デジタルマーケティングまで幅広い分野で記事執筆を手がけている。

法定停電
電気事業法に基づいて行われる「法定停電」。オフィスビルなどの自家用電気工作物の設置者は、保安規程で定めた頻度で電気設備の年次点検(停電点検)を実施することが定められているものです。

組織変更や人事異動等に伴い情シス担当者などが変わるケースがありますが、法定停電に向けた運用手順が適切に引き継がれていないと、思わぬトラブルに遭う可能性も。そこで、今回は「法定停電前後に行うことは何か」について説明します。


【目次】
 法定停電とは?
 停電点検に対する準備がなぜ必要か?
 どういった対策が必要か?
 きちんとマニュアル化し、引き継いでおこう

法定停電とは?

オフィスビルや工場など、600ボルトを超える電圧で受電する事業場や一定出力以上の発電設備を有する事業場などの「自家用電気工作物の設置者」は、電気事業法第42条に基づき保安規程を策定、遵守することが定められています。

そして、保安規程に定める頻度で行われるのが「法定停電」です。オフィスビルなどの多くは、年1度、全館を停電し電気設備の点検を行います。

適切な保安管理が行われないと、重大な電気事故を引き起こす原因になるため、法定停電は重要なものですが、オフィスビルに入居している企業は、法定停電前後に適切な準備を行っておかないと、思わぬ被害を受ける可能性があるため、注意が必要です。

停電点検に対する準備がなぜ必要か?

オフィスビルに入居する企業が、法定停電に対して準備を行わないとどうなるでしょうか。法定停電は夜間や土日など、稼動していない曜日や時間帯に行われることが多いですが、企業には、24時間、365日電源をつけたままにしておくサーバーやクライアントPC、PBX(構内に設置される電話交換機)などの機器があります。

これらの機器は急に電源が落ちるとデータが飛んでしまったり、電力復旧時に回路がショートしたり、機器が故障するなどの障害が発生する可能性があります。最近では、サーバーやストレージ、電話交換機などのインフラはクラウドに移行している企業が増えてきたものの、事前にしっかりとした準備を行うことが重要なことに変わりはありません。

どういった対策が必要か?

法定停電時に企業が行うべき対策を、事前、当日、停電時、停電後に分けると以下のようになります。計11項目が挙げられます。

<事前に行う対策>
  1. 正常シャットダウンが必要なシステム、アプリケーションなどをリスト化し、ドキュメントとして整備する
  2. シャットダウン、立ち上げ方法をマニュアル化する
  3. システム、ソフトウェア、機器の社外の保守業者、社内の担当者の連絡先を一覧表にする
  4. 24時間365日体制でサポートを行うマネージドサービスなど、電源が必要な業務が何か洗い出し、停電に対する影響と回避策を検討する
<停電前日までに行う対策>
  1. データバックアップを実施する
  2. バックアップしたデータから問題なくリカバリーできるかをテストする
  3. システムやソフトウェア、機器の正常シャットダウンを行う
  4. 機器のACアダプタを電源から切り離す
<停電時に行うこと>
  1. 停電により、ビルへの入館、オフィスの立ち入りに必要な電子キーや監視カメラも停止してしまうため、担当者が立ち会う必要がある
  2. 後々の外部監査などで「誰が立ち会ったか」などを聞かれる可能性に備え、記録を残しておく
<停電後に行うこと>
  1. システム、ソフトウェア、機器の正常立ち上げ

きちんとマニュアル化し、引き継いでおこう


法定停電前後の運用手順は、情シスや総務部門の担当者間で引き継がれていないと、異動や組織変更等があったときに上述したような故障や障害といったトラブルにつながる可能性があります。
マニュアルなどの形でドキュメント化し、担当者間で共有、引き継いでおくようにしましょう。