クラウドセキュリティ

ハイブリッドクラウドとは?メリット・デメリットを含め解説

Written by Aimee

大手日系企業でのマーケティング職を経て、2022年にフリーランスに転身。
要件定義〜保守まで行うウェブデザイナー、ライターとして活動しています。タイ、チェンマイを拠点に旅暮らし中。

ハイブリッドクラウドとは?メリット・デメリットを含め解説

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ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド(AWS、Microsoft Azure、Google Cloud など)やプライベートクラウド(企業・組織が専用に管理するクラウド環境)、あるいは物理サーバー(オンプレミス)など、異なるサーバーを組み合わせて使うクラウドのことです。

各サービスのメリットはそのままに、デメリットを相互にカバーできる点がハイブリッドクラウドの強みです。

▼各サービスのメリット・デメリット

概要 メリット デメリット
パブリッククラウド インターネット経由で提供され、複数の企業で共有するクラウドサービス ・初期費用が抑えられる
・リソースの即時拡張が可能
・短期間で導入できる
・セキュリティ面でやや劣る
プライベートクラウド 自社専用で構築された独自のクラウド環境 ・カスタマイズ可能
・高いセキュリティ
・導入コストが高い
・容量の増減がしにくい
オンプレミス 自社内で運用される物理サーバー環境 ・高度なセキュリティ
・既存のシステムと連携しやすい
・導入コストに加え、人的コストも高い
・導入までに時間がかかる

タイプの異なるサービスを組み合わせることで、柔軟な運用ができるのはもちろん、リスク分散やセキュリティの強化、コスト削減といったメリットが期待できます。

一方でメリットとして以下の点もあるため、考慮しながら検討しましょう。

  • ・ システムが複雑になりやすく、運用が難しい
  • ・ コストの予測が難しい

この記事では、ハイブリッドクラウドの概要、メリット・デメリットについて詳しく解説いたします。

▼この記事を要約すると

  • ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド・プライベートクラウド・オンプレミス環境を組み合わせて運用するクラウド
  • 「用途にあわせてクラウドを使い分けたい」という企業・組織のニーズに応えられる点で注目されている
  • ハイブリッドクラウドでは異種のクラウドを組み合わせるが、マルチクラウドは同種のクラウドを組み合わせる点で違いがある
  • メリットとして「セキュリティ強化」「コスト削減」「リスク分散」「柔軟な運用」が挙げられる
  • 「システムが複雑になりやすい」「コスト予測が難しい」といったデメリットもある
  • ハイブリッドクラウド導入が特に適した企業のニーズ・特徴として「セキュリティリスクを抑えたい」「大量のデータを扱う」「BCP対策を強化したい」「全体的なコストを抑えたい」などが当てはまる

ハイブリッドクラウドとは


ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド(公共のクラウドサービス 例:Amazon Web Services、Microsoft Azure )とプライベートクラウド(企業や組織が専用に管理するクラウド環境)など、異なるタイプのサービスを組み合わせて運用するクラウドのことです。

パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスは、導入期間・コスト・セキュリティ・拡張性などにおいて、それぞれメリット・デメリットがあります。

ハイブリッドクラウドでは、各サービスのメリットを取り入れつつデメリットをカバーできる点で、企業・組織の柔軟な運用とクラウド環境の最適化を図ることが期待できます。

パブリッククラウド・プライベートクラウド・オンプレミスの特徴・違い

ハイブリッドクラウドで利用されるサービスに、パブリッククラウド・プライベートクラウド・オンプレミスが挙げられます。

それぞれの特徴は以下の通りです。

概要 メリット デメリット
パブリッククラウド インターネット経由で提供され、複数の企業で共有するクラウドサービス ・初期費用が抑えられる
・リソースの即時拡張が可能
・短期間で導入できる
・セキュリティ面でやや劣る
プライベートクラウド 自社専用で構築された独自のクラウド環境 ・カスタマイズ可能
・高いセキュリティ
・導入コストが高い
・容量の増減がしにくい
オンプレミス 自社内で運用される物理サーバー環境 ・高度なセキュリティ
・既存のシステムと連携しやすい
・導入コストに加え、人的コストも高い
・導入までに時間がかかる

ハイブリッドクラウドの導入においては、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスの特徴を理解し、用途に応じて適切なインフラを選択することが重要です。

例えば、一般の業務データはコスト効率の良いパブリッククラウドで管理し、機密データや個人情報など秘匿性の高い情報はプライベートクラウドで管理するといった使い分けが可能です。

ハイブリッドクラウドの構成例


ハイブリッドクラウドは、異なるクラウド環境を組み合わせて運用することで、それぞれの特徴を活かしながらシステム全体の柔軟性と効率を向上させます。

以下は、代表的な構成例です。

パブリッククラウド+オンプレミス

自社内で運用するオンプレミス環境と、Amazon Web Services(AWS)や Microsoft Azure などのパブリッククラウドを組み合わせた構成です。

用途の例として

・変動が少ないデータはオンプレミスを、急なアクセス負荷がかかる可能性があるWebサーバーはパブリッククラウドを利用する
・機密性の高い情報はオンプレミスで、それ以外の情報はパブリッククラウドで保管する

などが挙げられます。

パブリッククラウド+プライベートクラウド

企業専用のプライベートクラウドと、Amazon Web Services(AWS)や Microsoft Azure などのパブリッククラウドを組み合わせた構成です。このモデルは、金融機関や医療機関など、データ保護が重要な業界でよく利用されます。

用途の例として

・個人情報や医療データはプライベートクラウドに保存し、社内の業務システムやビジネスアプリケーションはパブリッククラウドで運用する
・新しいサービスをパブリッククラウドで試験運用し、その後安定稼働が必要なシステムをプライベートクラウドへ移行する

などが挙げられます。

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い


ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは、どちらも複数のクラウドサービスを組み合わせる点で共通しますが、組み合わせるサービスの種類と目的に違いがあります。

ハイブリッドクラウドが、パブリッククラウド・プライベートクラウドあるいはオンプレミスを組み合わせるのに対し、マルチクラウドでは複数のパブリッククラウドを組み合わせます。

これは、各クラウドプロバイダーで特化した機能を活用するためや、特定サービスが停止した場合のリスク分散を目的に行われます。

  • ・ ハイブリッドクラウド:異種のクラウド(パブリック+プライベート)を組み合わせることで、セキュリティと柔軟性を確保
  • ・ マルチクラウド:同種のクラウド(パブリック+パブリック)を組み合わせ、リスク分散や最適なクラウド機能の活用に取り組む

ハイブリッドクラウドはなぜ注目されている?市場規模の推移


近年、ハイブリッドクラウドへの注目が高まっています。

2021年、世界のハイブリッドクラウドサービス市場規模は618億米ドルに達し、2032年には2,724億5,800万米ドルに拡大すると予測されています。成長率(CAGR)は14.3%にのぼり、多くの企業がハイブリッドクラウドの導入に前向きであることを示しています。

▼ハイブリッドクラウドサービスの市場規模推移(2021~2032)
ハイブリッドクラウドサービスの市場規模推移(2021~2032)
出典:BusinessResearch│ハイブリッド クラウド サービスの市場規模、シェア、成長、およびアプリケーション別 (政府および公共部門、ヘルスケアおよびライフ サイエンス、銀行金融サービスおよび保険 (BFSI)) タイプ別 (クラウド統合、コンサルティング、クラウド管理、クラウド セキュリティ、ネットワーキング) の業界分析、消費財と小売、通信と情報技術、メディアとエンターテイメント、その他)、地域の洞察、および 2032 年までの予測

ハイブリッドクラウドが注目される理由として、セキュリティ強化とコスト効率、柔軟な運用を同時に実現できるといった特性があげられます。企業・組織におけるハイブリッドクラウドの導入は、今後国内も含め、さらに拡大していくことが期待されます。

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ハイブリッドクラウドのメリット


ハイブリッドクラウドのメリットとして、以下が挙げられます。

  • ・ リスクを分散できる
  • ・ セキュリティを強化できる
  • ・ 柔軟な運用ができる

リスクを分散できる

異なるクラウド環境を組み合わせて運用するハイブリッドクラウドでは、リスクの分散が可能です。

例えば、パブリッククラウドがマルウェアに感染した場合も、機密情報をプライベートクラウドやオンプレミスで保管することで、重要情報の漏洩を防ぐことが可能です。

他にも、パブリッククラウドに保管するデータのバックアップを、プライベートクラウドに保管することで、万が一災害などでパブリッククラウドにアクセスできない場合も、業務を継続することが可能です。

セキュリティを強化できる

パブリッククラウドは、複数の企業・組織が共通のインフラを利用するオープンな環境であることから、セキュリティ面で課題が残ります。

ハイブリッドクラウドであれば、重要情報はプライベートクラウドやオンプレミスで、それ以外の情報をパブリッククラウドで保管するといった対策で、機密情報の漏洩を回避できます。

柔軟な運用ができる

業務内容や負荷に応じて最適なクラウドを使い分けることで、システムの拡張や運用が容易になります

シーズンごとの需要変動や突発的なアクセス増加、あるいは組織改編による環境変化に対しても、パブリッククラウドであれば、必要に応じてリソースのスケールアップ・ダウンが可能です。

ハイブリッドクラウドのデメリット


ハイブリッドクラウドには、以下のようなデメリットも存在します。

  • ・ システムが複雑になりやすいので、運用が難しい
  • ・ コストの予測が難しい

ハイブリッドクラウドでは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスを組み合わせて運用するため、システムの設計や管理が複雑になります。それぞれの環境に異なる設定やセキュリティポリシーが必要であり、ITチームには高度なスキルと専門知識が求められます。

さらに、システム間の連携がスムーズでない場合、データの移行や同期に問題が生じる可能性があるため、あらかじめ適切な管理体制と運用フローを整えることが重要です。

また、従量課金制のパブリッククラウドと固定費用のプライベートクラウドを組み合わせるため、運用コストが見えにくくなる懸念もあります。

ハイブリッドクラウドの導入に向いている企業


ハイブリッドクラウドが特に向いている企業の特徴は、以下の通りです。

  • ・ セキュリティリスクを抑えた運用を行いたい企業
  • ・ 扱っているデータの量が膨大な企業
  • ・ BCP対策を強化したい企業
  • ・ 全体的なコストを抑えたい企業

ハイブリッドクラウドであれば、情報の重要度に応じて保存先を変えたり、バックアップを他のサーバーに残したりといった対策ができるため、セキュリティ強化はもちろんBCP対策の強化にもつながります。

また、パブリッククラウドのスケーラビリティを活用することで、必要に応じたリソースの拡張が容易となるため、扱うデータ量が多い企業にもおすすめです。

ハイブリッドクラウドのセキュリティ設定に関するご相談は、LANSCOPE プロフェッショナルサービスへ


ハイブリッドクラウド環境を導入することで、機密情報や秘匿性の高い情報の漏洩は防ぎやすくなりますが、引き続きパブリッククラウド環境におけるセキュリティ強化は必要となります。

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▼診断対象のクラウドサービス

SaaS セキュリティ診断 IaaS セキュリティ診断
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関連ページ

クラウドセキュリティ診断 | LANSCOPE プロフェッショナルサービス

まとめ


本記事では「ハイブリッドクラウド」をテーマに、その概要や対策について解説しました。

▼この記事を要約すると

  • ハイブリッドクラウドとは、パブリッククラウド・プライベートクラウド・オンプレミス環境を組み合わせて運用するクラウド
  • 「用途にあわせてクラウドを使い分けたい」という企業・組織のニーズに応えられる点で注目されている
  • ハイブリッドクラウドでは異種のクラウドを組み合わせるが、マルチクラウドは同種のクラウドを組み合わせる点で違いがある
  • メリットとして「セキュリティ強化」「コスト削減」「リスク分散」「柔軟な運用」が挙げられる
  • 「システムが複雑になりやすい」「コスト予測が難しい」といったデメリットもある
  • ハイブリッドクラウド導入が特に適した企業のニーズ・特徴として「セキュリティリスクを抑えたい」「大量のデータを扱う」「BCP対策を強化したい」「全体的なコストを抑えたい」などが当てはまる

ハイブリッドクラウドは、コストの最適化や柔軟な運用を求める企業にとって、非常に有用な選択肢です。適切な設計と運用が求められる一方、効率的なリソース管理とセキュリティ強化の両立が期待できます。

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