サイバー攻撃

EDR運用の課題とは?解消するためのポイントを解説

Written by WizLANSCOPE編集部

EDR運用の課題とは?解消するためのポイントを解説

現代のセキュリティ対策において、EDRは必要不可欠ではありますが、その運用には以下のような課題が存在します。

  • EDRが生成するログやアラートを分析できる専門的な知識を持った人材の確保が難しい
  • 膨大なアラート対応に追われ、本来注視すべき重大な脅威を見落としたり、アラート疲れが生じたりする
  • EDRで脅威を検知した際の対応手順の整備まで手が回らない

このようなEDR運用の課題を解決する方法としては、運用負荷が少ない製品を選んだり、外部のMDRサービスを活用したりすることが挙げられます。

本記事では、EDRの必要性や運用する際の課題、効率的にEDRを運用するためのポイントを解説します。また、弊社が提供するEDR「Aurora Focus」の導入事例もあわせてご紹介していますので、ぜひご確認ください。

▼本記事でわかること

  • サイバー攻撃の高度化に伴い、脅威の侵入を水際で食い止める「事前対策」だけではなく、侵入されることを前提とした「事後対策」が重要視されていることから、EDRの需要は高まっている
  • EDRの運用では、「セキュリティ運用人材の不足」「過剰なアラートへの対応」「インシデント対応プロセスの整備」といった課題が存在する
  • 運用時の課題を解決するためには、「運用負荷の少ない製品の選定」「インシデント対応フローの整備」「外部のMDRサービスの活用」などが有効

EDRはなぜ必要?

近年のサイバー攻撃は、巧妙かつ高度に進化しており、従来のアンチウイルス製品では100%侵入を防ぐことが難しくなっています。

警察庁が令和7年3月に発表した「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によれば、ランサムウェア被害を受けた企業・団体の9割以上がアンチウイルスソフトを導入していました。

しかし、実際に「ウイルスの検出があった」と回答したのは約3割という結果が出ています。

出典:警察庁「令和6年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について(令和7年3月13日)」

従来のアンチウイルスソフトでは侵入を許してしまうケースが増えていることから、脅威の侵入を水際で食い止める「事前対策」だけではなく、侵入されることを前提とした「事後対策」も求められています。

このような背景をうけて、EDRの導入が重要視されるようになりました。

EDRは、エンドポイントで発生する不審な挙動をリアルタイムで検知し、迅速な対応をおこなうことが可能なセキュリティソリューションです。

攻撃者が侵入後におこなう横展開や情報窃取の兆候を早期に察知できる点が、従来の製品との大きな違いです。

また、EDRは、事後対策としても有効であり、感染拡大の防止や被害分析に役立ちます。ログ収集や分析の機能も兼ね備えているため、過去の挙動を振り返ることで攻撃の全体像を把握し、再発防止策を講じることも可能です。

このように、侵入を前提としたセキュリティ対策が求められる昨今、EDRは企業のサイバーセキュリティ体制を構築するうえで欠かせない存在となっています。

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EDRの導入率は年々増加

企業のサイバーセキュリティ対策としてEDRの重要性が認識され、その導入率は着実に上昇しています。

MOTEX(エムオーテックス)では、300〜5,000名規模の企業の情報システム担当者を対象に「EDR&MDR利用実態調査」を実施しました。

その結果、77.1%の企業が「EDRを導入している、または過去に運用していた」と回答しています。

また、2022年に実施した「EDR実態調査」でも導入状況についての調査を実施しており、その際の導入率と比較すると、EDRを導入している企業は25%も増加しています。

この結果からも、EDRがマルウェア対策や高度なサイバー攻撃に対応するための基盤として企業に定着しつつあることがわかります。

「EDR&MDR利用実態調査」について詳しく確認したい方は、ぜひダウンロードしてご確認ください。

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EDRによるインシデント対応の流れ

EDRが脅威に対応する流れは以下の通りです。

  1. 検出(検知)
  2. 封じ込め
  3. 調査
  4. 復旧

EDRによるインシデント対応の各ステップについて解説します。

1.検出(検知)

EDRは、各エンドポイントの挙動を常時監視・ログを収集し、不審な通信やマルウェアのような挙動を検知するとアラートを生成して管理者に通知します。

リアルタイムで管理者に通知されるため、初動対応の迅速化にもつながります。

2.封じ込め

脅威が組織内のネットワークやシステムに広がることを防ぐため、検出された脅威に対しては、直ちに「封じ込め」をおこないます。

EDRは、感染したエンドポイントを迅速にネットワークから隔離したり、特定のプロセスやアプリケーションの実行を停止させたりすることができます。

直ちに封じ込めを実施することで、被害を最小限にとどめることが可能です。

3.調査

ログに記録された挙動を分析し、脅威の侵入経路や影響範囲などを可視化します。

同様の攻撃がほかのエンドポイントに対してもおこなわれていないかを調査することが重要ですが、EDRは、組織全体のエンドポイントを一元管理しているため、類似の攻撃パターンをもつエンドポイントを迅速に特定することが可能です。

4.復旧

調査により影響を受けたシステムやファイルが特定されたら、それらを元の状態に戻す作業を実施します。

具体的には、以下の作業などが実施されます。

  • マルウェアに感染したファイルやアプリケーションの削除
  • 遮断したネットワークの復旧
  • レジストリなどの修復

復旧後は、EDRから得られた調査結果をもとに、セキュリティポリシーの見直しやエンドポイントの設定変更、ユーザー教育の強化などを実施し、再発を防ぐ改善案の策定が求められます。

EDRを運用する際の課題

EDRの運用においては、以下のような課題が存在します。

  • セキュリティ運用人材の不足
  • 過剰なアラートへの対応
  • インシデント対応プロセスの整備

「EDRの導入」を目的としてしまうと、運用がうまくいかず、結果として万全なセキュリティ対策が講じられないリスクがあります。

EDR運用において生じやすい課題を確認していきましょう。

セキュリティ運用人材の不足

EDRが生成するログやアラートの分析には、サイバー攻撃の手法に関する高度な知識が求められます。

しかしながら、そのようなスキルをもつ人材は市場でも限られており、とくに中小企業では、SOCのような専任のセキュリティ担当者を配置することすら困難な状況も少なくありません。

さらにEDRは、24時間365日体制での監視が必要となる場合も多く、人的コストが大きくなる点も課題とされています。

せっかくEDRで調査を実施しても、それを分析できる人材がいないと、EDRの効果を最大限発揮することが難しくなってしまうでしょう。

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過剰なアラートへの対応

EDRは、エンドポイント上で発生する多様な挙動を監視し、少しでも疑わしい動きがあればアラートを生成します。

しかし、アラートが増え過ぎてしまうと、膨大なアラート対応に追われるようになってしまい、本来注視すべき重大な脅威を見落としてしまったり、アラート疲れが生じたりする恐れがあります。

そのため、アラートの内容に応じてフィルタリングをおこない、優先順位付けを明確にするなど、対応の効率化を図る運用設計が必要不可欠です。

また、定期的にルールを見直したり、AIを活用してアラート分類を自動化したりすることも、効率的なアラート管理に効果を発揮します。

インシデント対応プロセスの整備

EDRは脅威を検知するための強力なツールですが、検知後の対応が整備されていなければ、EDRの効果を十分に活かすことはできません。

たとえば、どのアラートを誰が確認し、どのタイミングで封じ込めや調査をおこない、どの部門にエスカレーションするのかといった流れが不明確なままでは、インシデント対応に遅れが生じてしまいます。

また、関係部門間の連携が不十分だと、対応にばらつきが出てしまう可能性もあります。

このような事態を防ぐためには、EDR運用時の標準対応フローを策定し、担当者ごとに明確な役割を割り当てておくことが重要です。

定期的な訓練や見直しを実施しながら、継続的に対応力を高めていく体制づくりが求められます。

効果的にEDRを運用するためのポイント

EDRを効果的に運用するための具体的なポイントを3つ解説します。

  1. アラート精査による運用負荷の軽減
  2. インシデント対応フローの整備
  3. 外部のMDRサービスの活用

EDRの運用に課題感を持っている方、EDRの導入を検討している方は、ぜひご確認ください。

1. アラート精査による運用負荷の軽減

EDRは高度な検知能力を備えている反面、過剰なアラートによって管理者の負担が増大しやすいという課題があります。

とくに、業務に影響しない軽微な挙動まで検知対象に含まれている場合、誤検知や過検知が発生しやすく、対応に追われてしまう事態になりかねません。

このような事態を防ぐためには、組織の業務フローに合わせたカスタムルールの設計や、不要なアラートを抑制する設定をする必要があります。

適切なルールを設定することで、重要度の高いアラートのみを優先的に対応できるようになり、限られたリソースの中での効率的な運用が可能になります。

また、運用負荷が少ないEDR製品を選定することも重要です。

運用負荷が少ない製品の例として、脅威の検知率が高いEPPとセットで利用でき、過度なアラート生成が抑えられる製品や一連の対応を自動化できる製品などが挙げられます。

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2.インシデント対応フローの整備

EDRの真価は、脅威の検知後に迅速な対応が取れるかどうかにかかっています。

EDRの効果を最大限発揮するためには、インシデント発生時に、誰がどのような手順で対応するのかを事前に明確にしておくことが重要です。

たとえば、インシデント発生時の対応フローを文書化し、定期的にテーブルトップ演習などの訓練を実施しておくと、実際のインシデント発生時に慌てずに対応することができるでしょう。

また、検知内容や対応履歴は記録し、社内に共有・周知を図ると、組織全体のセキュリティリテラシー向上の効果も期待できます。

フローの定期的な見直しも忘れず、環境の変化や新たな脅威に備えることが大切です。

3.外部のMDRサービスの活用

EDRの運用には専門知識をもった人材が必要であることに加え、24時間体制での監視が求められる場合もありますが、多くの企業では、専門知識を持った人的リソースの確保が難しいことが想定されます。

人的リソースが確保できない場合は、外部のMDRサービスを活用するのが効果的です。

MDRベンダーにアラートの一次対応や脅威分析を委託することで、社内の負担を軽減しつつ、迅速かつ的確な対応ができるようになります。

また、MDRベンダーの専門的なノウハウを活用できるため、EDRの導入効果を最大限に引き出すことも可能です。

MDRの活用は、人材不足を補いながらも高いセキュリティ水準を維持する手段として、昨今注目されています。

ただし、MDRサービスを活用する際には、自社の環境や業務内容を十分に理解してもらうための連携が重要です。定期的なミーティングを設けて情報共有をおこない、サービスレベルを明確にした契約を結ぶことで、期待通りの効果を得られるでしょう。

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EDRの導入事例

弊社が提供するAIアンチウイルス「Aurora Protect」とEDR「Aurora Focus」の導入事例をご紹介します。

導入企業名 株式会社日本オープンシステムズ様
EDR導入背景 万が一、マルウェアに感染してしまった場合に備え、感染後に迅速な対応をおこなえるようEDR製品の導入を検討
選定ポイント ほかのEDR製品と比較してコストパフォーマンスが高い
導入後の効果 「Aurora Protect」と「Aurora Focus」の連携により、初動対応の早期化が実現された

株式会社日本オープンシステムズ様は、もともとオンプレミスのパターンファイル型のアンチウイルスソフトを利用していました。

しかし、働き方の多様化により、社外で稼働しているPCのセキュリティ強化が急務になったことに加えて、オンプレミスのアンチウイルスソフトでは、管理・運用の負荷が高いという課題がありました。

この課題を解消する方法として、クラウド型のAIアンチウイルスソフト「Aurora Protect」をご導入いただきました。「Aurora Protect」は、クラウド型のため、社内ネットワークに接続されていないPCの管理も可能で、かつ、課題となっていたサーバー管理・運用の工数削減にも効果を発揮します。

また、万が一マルウェアに感染してしまった場合を想定して、EDR 「Aurora Focus」も導入し、セキュリティ体制の強化に取り組みました。

数あるEDR製品の中から「Aurora Focus」を選んだ決め手としては、「コストパフォーマンスの高さ」が挙げられています。

「Aurora Focus」は、AIアンチウイルス「Aurora Protect」のオプション製品として提供されており、「Aurora Protect」に200円を追加することで、利用可能です。

そのため、「EDR製品を使いこなせるか不安」という企業の方や、「EDRを少人数でスモールスタートしたい」という企業の方に選ばれています。

導入後は、当初の課題であった社外で稼働しているPCのセキュリティ強化・サーバー管理・運用の工数削減が実現され、さらに「Aurora Focus」と「Aurora Protect」を連携させることで、初動対応の早期化を実現することにも成功しています。

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株式会社日本オープンシステムズ – 導入事例

運用負荷・管理コストの少ないEDR「Aurora Focus」

「万が一に備えてEDRは導入したいけれど、管理工数を割きたくない」「なるべく低価格なEDRを導入したい」という企業・組織の方におすすめしたいのが、「LANSCOPE サイバープロテクション」が提供するEDR「Aurora Focus」です。

「Aurora Focus」は、EPP製品「Aurora Protect」のオプションとして導入するEDRのため、通常の製品より安価に導入することが可能です。

EPPとEDR機能を同時に導入すると、エンドポイントセキュリティを「侵入前」「侵入後」の双方で強固に対策することができます。

「Aurora Protect」は、未知のマルウェアでも99%予測検知と隔離ができる次世代型アンチウイルスです。

「Aurora Focus」と連動させて活用することで、AIによる高い精度での脅威の検知に加えて、調査・封じ込め・復旧までの一連の対応を効率的に高精度に実施できます。

「Aurora Focus」についてより詳しく知りたい方は、下記のページをご確認ください。

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Aurora Focusとは?| LANSCOPE サイバープロテクション

世界トップレベルの専門家によるMDRサービス「Aurora Managed Endpoint Defense」

「LANSCOPE サイバープロテクション」では、EDRのマネージドサービス「Aurora Managed Endpoint Defense」を提供しています。

「Aurora Managed Endpoint Defense」は、下記の2種類のセキュリティソリューションの運用を、お客様の代わりにセキュリティのスペシャリストが運用するMDRサービスです。

  • 脅威の侵入をブロックする「AIアンチウイルス」
  • 侵入後の脅威を検知し対処する「EDR」

「高度なエンドポイントセキュリティ製品」と、その製品の「監視・運用サービス」を、セットで提供します。

セキュリティのスペシャリストによる徹底したアラート管理を実施し、お客様にとって本当に必要なアラートのみを厳選して通知するので、不要なアラートに対応する必要がありません。

また、緊急時もお客様の代わりにサイバー攻撃へ即時で対応するため、業務負荷を減らし、安心して本来の仕事へ集中していただけます。

対応するスタッフは全員、サイバーセキュリティの修士号を取得したプロフェッショナルなので、安心して運用をお任せいただけます。

「Aurora Managed Endpoint Defense」についてより詳しく知りたい方は、下記のページをご確認ください。

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Aurora Managed Endpoint Defense| LANSCOPE サイバープロテクション

まとめ

本記事では「EDRの運用」をテーマに、生じやすい運用時の課題や解決方法などを解説しました。

▼本記事のまとめ

  • サイバー攻撃の高度化に伴い、脅威の侵入を水際で食い止める「事前対策」だけではなく、侵入されることを前提とした「事後対策」が重要視されている
  • 脅威の事前・事後対策には、「EDR」が効果的である
  • EDRの運用における課題としては、専門知識をもった人材の不足や過剰なアラートへ対応などが挙げられる
  • EDRの効果的な運用には、運用負荷少ない製品の選定や、インシデント対応フローの整備が必要である
  • EDRの効果を最大限に発揮する方法として、MDRサービスの活用が挙げられる

EDRは導入するだけでなく、継続的な適切な運用をすることで、強固なセキュリティ対策が可能になります。

社内だけでEDRの運用が困難な場合は、管理コストの少ないEDRを検討したり、外部のMDRサービスを活用したりすることを検討しましょう。

EDRの導入を検討している企業の方に向けて、EDRの機能や導入効果、誤解しやすい内容などをまとめた資料もご用意しています。

MDRを選ぶ際の注意点も記載されているので、EDR・MDR選びの際にぜひあわせてご活用ください。

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