サイバー攻撃

プレースホルダとは?使い方とセキュリティ対策を徹底解説

Written by 夏野ゆきか

プレースホルダとは?使い方とセキュリティ対策を徹底解説

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プレースホルダとは、後から値や文字を入力できるように、一時的に置いておく値や文字のことを指します。

プログラミングにおいて、プレースホルダは変数の値を一時的に保持するために使用されます。例えば、SQL文の中でユーザーからの入力値を反映させたい場合、プレースホルダを使用することで、SQLインジェクション攻撃を防ぐことができます。

SQLインジェクション攻撃… Webサイトやアプリケーションの脆弱性を狙って、Webアプリケーション上の入力フィールドなどに不正なSQLコードを挿入する攻撃

プレースホルダを使って指定しておけば、その部分はあくまで値として処理されるため、万が一SQL命令にかかわるような特殊な文字が入力されても無効化されます。

本記事ではプレースホルダとはなにか、その役割やセキュリティ上の重要性を解説するとともに、利用時の具体的な注意点についても詳しくご紹介します。

▼この記事を要約すると

  • プレースホルダとは、後から正式な値や文字を入力できるように、一時的に置いておく値・文字のこと
  • プレースホルダに渡された値はデータベースが認識する「命令」ではなく、単なる「データ」として処理されるので、SQLインジェクション攻撃の対策になる
  • プレースホルダを用いる際は、「適切なバリデーションを行う」「データベースのアカウント権限設定を行う」といった注意が必要

プレースホルダとは?


プレースホルダとは、後から値や文字を入力できるように、一時的に置いておく値や文字のことです。

例えば

  • ・ パワーポイントのスライドの「タイトルを入力」「テキストを入力」と表示されている枠
  • ・ Webサービスなどに登録する際、入力フォームに表示されている入力例

などがプレースホルダに該当します。

他にも、プログラミングにおいて、コードの中にユーザーからの入力値を反映させたい場合に、それが入る場所のことをプレースホルダと言います。

本記事では、このプログラミングにおけるプレースホルダについて解説していきます。

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プレースホルダはSQLインジェクション攻撃を防ぐために重要


SQLインジェクション攻撃とは、Webアプリケーションの脆弱性を利用して、不正なSQLコードをデータベースに挿入する攻撃手法のことです。この攻撃により、攻撃者はデータベースに保存されている情報を不正に取得、改ざん、削除することが可能になります。
【解説】SQLインジェクションの攻撃の流れ
SQLインジェクション攻撃について理解するためには、まずSQLについて解説します。

SQLとは、リレーショナルデータベース管理システム(DBMS)を操作するための標準的なプログラミング言語です。SQLは、データの定義、操作、制御、およびアクセス制御を行うための一連のコマンドを提供します。

例えば「会員情報」など、データの活用が必要なWebサイト・アプリケーションを動作させる際、SQL文を送信することで、データベースに蓄積されたデータをWebサイトへ呼び出します。

SQLインジェクション攻撃では、攻撃者がWebアプリケーション上の入力フォームに不正なSQLコードを挿入することで、不正なSQL文が送信されます。

これにより、データベースに登録された会員情報を窃取・改ざん・削除などが可能になってしまうのです。

こうした攻撃を防ぐために、プレースホルダの使用が重要となります。

SQL文を実行する際、プレースホルダに渡された値はデータベースが認識する「命令」ではなく、単なる「データ」として処理されます。

その結果、不正なSQLコードが含まれていた場合でも、それらがコマンドとして機能することはありません。また、プレースホルダを使用することで、自動的なエスケープ処理が行われ、特殊な文字を無効化して安全な文字列として扱うことができます。

手動で入力値を検査し、エスケープする方法もありますが、この手法は手間がかかり、見落としのリスクがあります。一方、プレースホルダを使用すれば、入力値の安全性を効率的かつ確実に確保することができます。

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SQLインジェクションとは?対策や例をわかりやすく解説

プレースホルダを使用した具体的な対策例


ここでは、プレースホルダを用いた具体的な対策例について解説します。

例えば、以下のようなSQL文があったとします。

$sql = “SELECT * FROM user WHERE name=‘$name’;

「$name」 が変動する部分なので、ここにコロン(:)やクエスチョンマーク(?)などの記号を設置(=プレースホルダ)します。

すると以下のようになります。

$sql = “SELECT * FROM user WHERE name=:name“;

「:name」がプレースホルダで、変動する値の位置を示しています。

コード実行時には、このプレースホルダに対して実際の値が割り当てられます。

また、プレースホルダはエスケープ処理(サニタイジング)と組み合わせることで、より高い安全性を確保できます。

これにより、SQL文が不正なコードによって誤動作するリスクをさらに低減できるのです。

プレースホルダを用いる際の注意点


プレースホルダを用いる際は、以下の2点に注意しましょう。

  • ・ 適切なバリデーションを行う
  • ・ データベースのアカウント権限設定を行う

適切なバリデーションを行う

バリデーションとは、データが特定の基準やルールに従って正しいかどうかを確認するプロセスのことを指します。バリデーションは、ユーザーからの入力データやシステム間でやり取りされるデータが期待される形式や範囲内にあることを保証するために行われます。

例えば、ユーザー登録などを行う際に、郵便番号を入力するとそれに対応する住所が自動で出てくる機能あります。

この機能が正常に動作するために、開発者は入力された値が7桁の数字であるかを確かめる処理を実装します。

これがバリデーションです。

適切なバリデーションを行っておくと、仮に不正なコードが入力された場合はSQLが発行されず、処理が実行されないので、SQLインジェクション攻撃を防ぐことができます。

データベースのアカウント権限設定を行う

データベースのアカウントに対して、必要最低限の権限のみを付与することで、万が一攻撃を受けたとしても被害を最小限に抑えることができます。

Webアプリケーションがデータベースにアクセスする際、使用するアカウントの権限が必要以上に高ければ、それだけ被害のリスクも増大します。そのため、データベースのアカウント権限は最小限に設定する必要があります。

例えば、利用者情報を管理するデータベースがあったとします。

このデータベースを検索し、検索結果を表示するアプリケーションに参照権限のみを与える設定にしておけば、仮に攻撃者がデータを削除するコードを入力したとしても、そもそも権限がないので実行できないのです。

適切なバリデーションを行うこと、データベースのアカウント権限設定を行うこととあわせて、定期的にセキュリティチェックを行い脆弱性がないかを確認することも重要です。

プレースホルダのメリット/デメリット

プレースホルダを使用することで、以下のようなメリットとデメリットがあります。

まずは、「セキュリティの向上」「コード可読性の向上」「メンテナンスの容易さ」といったメリットからご紹介します。

コードの可読性の向上

プレースホルダを使用することで、コードの可読性が向上します。プレースホルダを使用することで、SQL文の中で変数の値を明確に区別することができ、コードの理解が容易になります。

メンテナンスの容易さ

プレースホルダを使用することで、コードのメンテナンスが容易になります。プレースホルダを使用することで、SQL文の中で変数の値を簡単に変更することができ、コードの修正が容易になります。

一方で、プレースホルダを使用する際には以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

パフォーマンスの低下

プレースホルダを使用することで、SQL文の実行速度が低下することがあります。これは、プレースホルダを使用することで、SQL文の解析や準備が必要になるためです。

複雑なSQL文の作成

プレースホルダを使用することで、複雑なSQL文の作成が難しくなることがあります。これは、プレースホルダを使用することで、SQL文の構造が複雑になるためです。

このように、プレースホルダには多くの利点がありますが、デメリットも考慮する必要があります。適切に利用することで、セキュリティの向上やコードの可読性、メンテナンスの容易さを実現できますが、パフォーマンスの低下や複雑なSQL文の作成に対する対策も必要です。

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プレースホルダとあわせて Webアプリケーション脆弱性診断を実施すれば、SQLインジェクション攻撃だけでなく、クロスサイトスクリプティング(XSS)攻撃やクロスサイトリクエストフォージェリ攻撃など様々なサイバー攻撃にあうリスクを低減することができます。

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まとめ


本記事では「プレースホルダ」をテーマに、その重要性や使用上の注意点などについて解説しました。

本記事のまとめ

  • プレースホルダとは、後から正式な値や文字を入力できるように、一時的に置いておく値・文字のこと
  • プレースホルダに渡された値はデータベースが認識する「命令」ではなく、単なる「データ」として処理されるので、SQLインジェクション攻撃の対策になる
  • プレースホルダを用いる際は、「適切なバリデーションを行う」「データベースのアカウント権限設定を行う」といった注意が必要

AIの進化に伴い、より高度なSQLインジェクション攻撃が予測されます。プレースホルダの活用は、今後も重要なセキュリティ対策の一つとして注目されるでしょう。

本記事が、読者の皆様のWebアプリケーション開発に少しでもお役に立てれば幸いです。

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