IT資産管理

LanScope Cat導入事例インタビュー連載 第3回
~IT資産管理ツールは「導入してから」がスタート!ユーザー企業がメーカーサポートに求めるポイントとは?~

Written by 阿部 欽一

キットフックの屋号で活動するフリーライター。社内報編集、Webコンテンツ制作会社等を経て2008年より現職。情報セキュリティをテーマにした企業のオウンドメディア編集、制作等を担当するほか、エンタープライズITから中小企業のIT導入、デジタルマーケティングまで幅広い分野で記事執筆を手がけている。

LanScope Cat導入事例インタビュー連載 第3回<br>~IT資産管理ツールは「導入してから」がスタート!ユーザー企業がメーカーサポートに求めるポイントとは?~

IT資産管理ツールは製品を導入して終わりではない。
運用をまわす中で問題点を日々改善していくことが重要であり、その意味では導入後の運用フェーズこそがスタートラインだといえる。しかし、一般的なIT資産管理ツールを導入している企業を見ると、このタイミングで躓いているケースが意外と多い。

今回、ユーザー企業である株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)のシステム本部 IT統括部 IT戦略部 技術推進グループ 三浦 忠善 氏とシステム本部 IT統括部 IT基盤部 第三グループ 田村 啓志郎 氏、エムオーテックス株式会社(以下、MOTEX)の加藤 宗佑、前田 崇晶、葛間 裕司に、運用フェーズでのサポートの重要性やメーカーサポートのあるべき姿について意見を交わしてもらった。

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目 次

・MOTEXのサポートコンセプトと体制
・利用しているソフトウェアの中で、サポートの質はMOTEXがナンバーワン
・サポートページや目的ベースのオンラインマニュアル『猫ナビ』を活用
・LanScope Catにおいて運用での苦労は本当に少ない
・さらなるサポート品質向上のためのご要望
・MOTEXのコミュニティ活動「LanScopeユーザー会」にて新たな気づきを得る

MOTEXのサポートコンセプトと体制

MOTEXはLanScope Catの機能強化や製品改良と同じくらい、ユーザーサポートを重視している。
製品を販売して終わりではなく、導入後の運用こそがスタートラインと捉え、ユーザー企業がいかに自社の環境に最適なポリシーを設定し、運用をまわすことができるかをコンセプトにサポートを行っている。そして、ユーザー企業の声を聞きながら機能強化や製品改良を継続することで、ユーザー企業のさらなる満足度向上を図りたいと考えている。
IT資産管理ツールの領域で、保守サービスの年間更新率が平均で50~60%といわれる中、毎年90%以上の更新率を誇るのがLanScope Catだ。

DeNAでは2018年3月に、業務用端末の管理目的でLanScope Catの採用を決定し、運用を開始した。
MOTEXの営業・SE・サポート、そして新設組織のカスタマーサクセスは、次のような役割で導入前から導入後の運用をサポートしている。

・導入提案時:営業(加藤)、SE(前田)
・導入直後:営業(加藤)、SE(前田)、サポート(葛間)
・導入後:サポート(葛間)
・作業関連:SE(前田)
・事例発表会やユーザー会を通じたノウハウの共有:カスタマーサクセス

導入初期には初期操作教育(有償メニュー)を実施し、SEの前田がDeNAの実環境を用いてオンサイトでレクチャーした。
一般的なソフトウェアメーカーの初期操作教育では、あくまでも製品画面の見方や設定方法を教えるだけに終始することも少なくないが、MOTEXでは他社で実際に運用されているノウハウまでお客様にお伝えし、運用イメージを持っていただくことを大事にしている。

では、加藤をファシリテーターに具体的な対談の様子を見ていこう。

利用しているソフトウェアの中で、サポートの質はMOTEXがナンバーワン

加藤「貴重なお時間をいただきありがとうございます。本日は弊社のサポートについて、今後のご要望も含めて色々とお伺いさせてください」

田村氏・三浦氏「よろしくお願いします」

加藤「導入直後、DeNA様での初めてのサポート対応はおそらく初期操作教育(有償)かと思いますが、受講された感想はいかがでしたでしょうか?」

三浦氏「実はレクチャーを受けた当時のメンバーの多くは異動などで変わってしまったので、私と田村は直接受講できてないのです。ただし、初期操作教育で知ったノウハウについてはその時受けたメンバーから後任の私たちにもしっかりと引き継がれています。当時、前任メンバーからは『単なる製品説明や設定方法だけでなく、他社の事例を踏まえた成功ノウハウまで知れたことが参考になった』と聞いており、私自身まさにそうだなと実感しています」

前田「ご満足いただけていたようで良かったです。私自身、色々なお客様に操作レクチャーをする機会がありますが、お客様の反応が一番良いのは運用ノウハウをお伝えしている時だと思います」

三浦氏「また、他のソフトウェアメーカーのサポートに比べ、MOTEXは問題が解決するまでサポートを続けてくれて、そこが非常に心強いです」

葛間「先日、田村さんからサポートについてお褒めのメールをいただきました。今期、サポートチームの体制強化を進めていたところなので、大変励みになりました」

田村氏「個人的にはソフトウェアやシステムのサポートは、基本的に非同期のメールの方が、こちらの環境を整理して伝えるのに向いていると思っています。特に、トラブルの場合は、現象や環境について伝えるのが大変です。
しかし先日、LanScope Catのバージョンアップ時にトラブルがあって、MOTEXのサポートセンターに電話しました。その時に感動したのですが、問い合わせに対する完璧な回答が一発で返ってきまして。よくあるようなテンプレ通りの回答ではなく、弊社のことを分かって対応してくれているのが理解できて、本当にありがたいと感じ、改めてメールしました」

加藤「そのようにMOTEXのサポートを褒めていただけることは大変嬉しいですね。DeNA様は導入前から密に対応していたこともあり、データも蓄積されています。過去の対応履歴などをまとめて、日々の対応時に確認させていただいています」

三浦氏「利用しているソフトウェアは多くありますが、特にサポートの質は、MOTEXはナンバーワンだと感じています。サポート以前の、コミュニケーションに苦労するケースが、特に外資系メーカーなどではありますので、そういう点で安心できるのは大きいです」

DeNA 三浦氏システム本部 IT統括部 IT戦略部 技術推進グループ 三浦 忠善 氏

サポートページや目的ベースのオンラインマニュアル
『猫ナビ』を活用

加藤「田村さんは、サーバーのクラウド移行時などにオンサイトでのサポートを受けられましたが、その時の対応はいかがでしたか?」

田村氏「導入して最初の印象は、サポートページのドキュメントが膨大で、正直に言うとなかなか見つけることが難しかったです。しかし、慣れてくるにつれ、目当ての情報に辿り着き、ドキュメントが充実していることが分かりました。マニュアルの通りに操作すれば導入もスムーズにいったので、特に不安はありませんでした」

加藤「LanScope Catは機能が多い分、マニュアルの量も多くなっています。その点は弊社も課題として受け止めており、少しでもお客様の負担を減らすために保守契約ユーザーサイトの改善を続けています。最近ではオンラインマニュアルの充実も図っていますが、製品活用のモデルケースをご紹介する『猫ナビ』というコンテンツはご覧になりましたか」

三浦氏「見たことがありますね。情報量が多いですが、見やすくまとまっている印象です」

加藤「『猫ナビ』はお客様が本当にやりたいことを実現するために、機能ベースではなく目的ベースで、段階を踏んで運用方法や設定方法を知ることができます。特にIT資産管理ツールを初めて導入されたお客様には好評ですね」
「田村さんの先ほどのお話で、サポートページのボリュームの多さが話に挙がりましたが、慣れるまでに何か工夫されたことはありますか?」

田村氏「頑張って読みましたね(笑)最初はマニュアルの『導入』項目から探し始めて知りたい情報に辿り着くのに苦労したのですが、資料を読み込んでいくうちに、こういう時、こういう検索をすれば情報が絞り込めるという“勘どころ”がわかってくるようになりました」

前田「田村さんがおっしゃるように、サイト内の情報掲載の構造が分かると欲しい情報に辿り着きやすくなると思います。猫ナビも含めて、インデックスを整理するというのも意識しているところです」

DeNA 田村氏システム本部 IT統括部 IT基盤部 第三グループ 田村 啓志郎 氏

LanScope Catにおいて運用での苦労は本当に少ない

前田「LanScope Catは弊社や販売パートナー様でマネージャーサーバーを構築するケースが多いですが、御社は独自にマネージャーサーバーを構築されたのにもかかわらず、スムーズな導入で驚きました。導入、運用で苦労したエピソードはありますか?」

三浦氏「運用での苦労というのは本当に少ないです。バグが見つかったときも、原因は弊社が古いバージョンを使っていて、バージョンアップしていなかったからだというのが分かって(笑)本当にそれくらいです」

前田「製品のバージョンアップは、メインバージョンが2~3年に1回、マイナーバージョンは半年に1回程度、さらにバグ修正や環境対応等の細かいアップデートは随時のタイミングでリリースしています。最新バージョンリリースのスピード感については如何でしょうか?」

田村氏「不具合解消や新機能追加のサイクルが早ければ早いほど、不具合で悩むお客様にもフォローできるので、頻度は高いほうが良いと思います。ただし、当然ですがバージョンアップ作業は工数が掛かります。特に、サブマネージャーのアップデートは、インストーラーではなくてファイルベースで、手動で行わなければならないので、強いて挙げるならそれが手間に感じます」

前田「オンプレミスのソフトウェアなので、確かにアップデートに掛かる作業工数はほかのユーザー様からもご意見をいただきます。インストーラーベースか、ファイルベースか、どちらの方がいいのかという話はありますが、ファイルベースの場合、提供までのスピードが早いメリットがありますが、デメリットとしてお客様の手間は掛かります。インストーラーで作成する場合、メリットとして利便性は高まりますが、その分、提供までの時間は掛かるというデメリットがあります。
弊社としては、不具合修正のようにスピード勝負のアップデートの場合は、ファイルベースで対応いただいていますが、確かに、統一感がないというのはご指摘の通りだと思います」

田村氏「弊社の場合、モジュールが6種類入っているので、それを一つ一つ手動で更新するのは結構な作業量なのですね。メジャーバージョンアップは、2時間くらい、場合によってはそれ以上掛かることもあります。簡単に、確実にアップデートできる仕組みがあると助かりますね」

前田「マネージャーサーバー側のアップデートについては、今後の製品改良の参考にさせていただきます。
補足情報ですが、コンソールについては次期バージョンから『アップデート機能』が搭載されます。搭載後は、バージョンアップのタイミングで、ユーザー端末に入っている管理コンソールを起動したら、アップデートを促す通知が表示され、OKボタンを押すとサーバーからアップデートが配布されるようになりますので、今までより作業工数を減らせるかと思います」

田村氏「それはいいですね」

さらなるサポート品質向上のためのご要望

加藤「サポートサービス全般で何かご要望はありますか?」

田村氏「サポート時間の延長について要望したいです。通常、営業時間にシステムメンテナンスを行うことは少なくて、夜間に行うことがあるので、その際のトラブルに対応してほしいです」

葛間「サポート時間の延長についてご要望いただきありがとうございます。サポートサービスの拡充にあたっての参考とさせていただきます。例えばですが、問い合わせから一次回答までの時間は『最低半日以内』といったSLA(サービス品質保証)を作るなど、どのようなサービスがあれば嬉しいですか?」

三浦氏「メンテナンスやバージョンアップに関する問い合わせについては、すぐに回答をいただきたいです。あとは配布機能のトラブルなど、比較的時間に余裕があるものは、1営業日後をメドにするなど、こちらの緊急度を汲んだ対応をしていただけるとありがたいですね」

田村氏「午前中に問い合わせたら夕方、夕方の問い合わせであれば翌午前中に一次回答をいただけるスピードであればありがたいです」

葛間「今のところ、外部向けにSLAは公開していないのですが、たとえば、上述したようなサポートのランクによってSLAを付与するオプションがあってもいいのかなと考えていました。参考にさせていただきます」

MOTEXのコミュニティ活動「LanScopeユーザー会」にて新たな気づきを得る

加藤「DeNA様ではユーザー事例発表会やクローズドな少人数制ユーザー会にも参加していただきました。2019年4月に新設されたカスタマーサクセスを中心に、ユーザー様同士を繋げることも最近では力を入れようと思っています。実際にご参加いただいた感想はいかがでしたか?」

三浦氏「クローズドなイベントでは、ゲーム業界のLanScopeユーザー会に参加させていただきましたね。参加したきっかけは、他のゲーム会社の動向が知りたいのが一番の目的でした。また、弊社よりも多くの端末台数を管理している企業もあると聞いたので、そのあたりの運用のコツについても興味がありました。
参加してみて特に印象的だった話は、ある会社ではユーザー社員を、性善説でも性悪説でもなく、“性弱説”で捉えていて、弱いからこそ守るというコンセプトでIT戦略を考えていたことです。人はミスを犯すのが当たり前で、そうした『うっかり』を理解するマインドの重要性を学びました」

葛間「サポート強化の構想は大きく2つあります。1つは、機能を活かすためのバッチやスクリプトなどを充実させること。2つめは、『ユーザーフォーラム』のような情報共有のためのサポートコミュニティを創設することです。お客様同士の意見交換を促進する場を提供することができたら、お客様に喜んでいただけるのではないかと考えているのですがいかがでしょうか」

三浦氏「システムのネイティブなところを触れるのがLanScope Catの大きな特長であり、独自の価値だと思います。自力でバッチファイルを書いている会社は結構多いと思うので、『こういう便利なスクリプトがあるよ』といった情報交換ができると嬉しいニーズはあると思います。また、自社で作ったスクリプトを他社にも共有したり、他社の事例が知れたりすると、便利だと思います。
例えば、ある程度スキルがある企業向けにスクリプトの公開を行い、それほどスキルが高くない企業向けのサポートメニューと併せて提供すると、よりLanScope Catの活用の幅が広がると思います」

加藤「先日10月に開催した事例発表会で、お客様の意向を約200社にアンケート調査してみました。例えば事例発表会のようなイベントについては、ほとんどの方が今後も参加したいという回答でしたが、自社が事例を公開したり講演したいかについては、ほとんどがNGでした。LanScope Catの場合、IT資産管理だけでなくセキュリティ的な要素も絡むので、事例公開のハードルが高い傾向にあると感じています」

三浦氏「セキュリティはお互い高めていきたい意向はあると思うので、守秘義務などの懸念点を解消する工夫は必要だと思います。また、情報の質の担保というのも、重要な観点ですね。
例えばセキュリティポリシーの考え方などは、会社の取り組みのプレゼンスを上げる部分もあるので、他社に公開することにメリットもあると個人的には思います」

加藤「DeNA様では積極的に外部に情報公開されてますね」
参考:事業のために、社内IT部門は何ができるだろう? DeNA IT戦略部のこれまでとこれから|10社 社内IT施策 共有会 レポート

三浦氏「あるいはバージョンアップなど、多くの会社で戦略、技術両面で課題があるテーマについては、コミュニティサイトで他社事例などがまとまって参照できると嬉しいです。
基本はクローズドでの情報共有で、より公共性の高い情報は、パブリックな外部サイトで共有するというのも一つの考え方になるのではないでしょうか」

加藤「やはり、成功ノウハウを如何に知れるがお客様が望まれていることですね。本日は貴重なお話をいただきましてありがとうございました」

MOTEXではより良いサポートサービスを提供するため日々試行錯誤してますので、お客様からの忌憚なきご意見をお待ちしております。

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