クラウドセキュリティ

CSPMとは?機能やCWPP、SSPMとの違いも解説

Written by WizLANSCOPE編集部

CSPMとは?機能やCWPP、SSPMとの違いも解説

CSPMとは、クラウドサービスの設定監視に特化したセキュリティソリューションで、「クラウドセキュリティ態勢管理」とも呼ばれています。

CSPMを活用すれば、IaaS/PaaSの設定を自動で監視・評価でき、さらに複数のクラウドサービスのセキュリティ状況を一元管理することも可能なため、セキュリティ事故の低減が期待できます。

本記事では、CSPMの概要や機能、他のソリューションとの違いを解説します。

▼本記事でわかること

  • CSPMの概要
  • CSPMの主要な機能
  • CSPMと他のソリューションの違い

「CSPMとは何か知りたい」という方はぜひご一読ください。

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CSPMとは?


CSPM(Cloud Security Posture Management)とは「クラウドセキュリティ態勢管理」と呼ばれる、クラウドサービスの構成や設定におけるリスクを検知し、対策を講じるためのセキュリティソリューションです。

IaaSやPaaSといったパブリッククラウド環境の設定を継続的に監視し、構成上の異常や問題がないかどうかを自動で評価します。

パブリッククラウドとは、クラウド事業者が提供するサーバーを複数のユーザーが共同利用する運用方法のことで、代表的なサービスとして、Amazon社の「AWS」やMicrosoft社の「Microsoft Azure」、Google社の「Google Cloud Platform」などが挙げられます。

CSPMは、APIを通じてクラウドサービスの設定状況を自動的に収集・分析し、仮に設定ミスや不適切な構成を検知すると、管理者に速やかに通知します。

また、発見された問題点はコンソール上で可視化されるため、迅速かつ効率的に修正を行うことができます。

現在、多くの企業・組織でクラウドサービスの導入が進む一方で、クラウド環境を標的とした悪質なサイバー攻撃が増加しています。

そのため、CSPMを活用してクラウドのセキュリティリスクを事前に検出し、適切な対策を講じることは、組織の情報資産を守る上で非常に有効な手段と言えます。

CSPMの必要性


CSPMが必要とされる背景には、「昨今のクラウドサービスの急速な普及」と、それに伴う「セキュリティ事故の増加」が挙げられます。

IDCが2025年2月に公開した「国内パブリッククラウドサービス市場調予測」によると、2024年の国内パブリッククラウドサービス市場は、前年比26.1%増の4兆1,423億円に達しました。

さらに、2024年から2029年の年間平均成長率は16.3%と見込まれており、2029年の市場規模は2024年の約2.1倍の8兆8,164億円になると予測されています。

▼国内パブリッククラウドサービスの市場予測
国内パブリッククラウドサービスの市場予測(2023~2028)
出典:IDC|国内パブリッククラウドサービス市場予測を発表(2025年2月20日)

クラウドサービスは、「業務効率化」「場所を問わない働き方の提供」「コスト低減」など、企業・従業員の双方に多くのメリットをもたらします。

しかしその一方で、クラウド環境の設定ミスを狙ったサイバー攻撃は増加しており、不正アクセスや情報漏洩といった被害が多くの企業で発生しています。

こうしたクラウドサービスに起因するセキュリティ事故の増加を背景に、CSPMへの注目が高まっています。

クラウドサービスの設定不備を定期的に見直し、適切なセキュリティ対策を講じることは、いまや企業にとって必須の課題といえるでしょう。

CSPMの機能


CSPMには、主に以下のような機能が搭載されています。

  • パブリッククラウドの利用状況およびリスクの可視化
  • 複数のクラウドサービスの一元管理
  • 設定ミスやインシデントの検知
  • 国際基準に基づいたセキュリティチェック

詳しく解説します。

パブリッククラウドの利用状況およびリスクの可視化

CSPMでは、管理画面からクラウド環境の設定不備や、インシデントにつながる可能性のあるアクションを簡単に確認することができます。

また、不審なトラフィックやアクセス状況を可視化できるため、クラウドサービスを経由して発生するセキュリティインシデントの原因を洗い出し、事前の対策や注意喚起に活用することが可能です。

さらに、設定の問題点を視覚的に把握できるため、迅速かつ的確に対応できるというメリットもあります。

複数のクラウドサービスの一元管理

CSPMは、主要なクラウドサービスに対応していることから、「Amazon Web Services(AWS)」「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform(GCP)」といった複数のクラウドサービスの一元管理が可能です。

これにより、クラウドサービスごとに異なるルールの改訂やアップデートのタイミングの管理もしやすくなり、担当者の負担軽減が期待できます。

設定ミスやインシデントの検知

CSPMの中核を成すのは、IaaS/PaaS環境の設定を自動的に監視・評価する機能です。

この機能を活用することで、クラウドサービスの設定に問題点がないかをAPI経由で自動的にチェックし、不備が検出された場合には、セキュリティ管理者へ迅速にアラート通知が送られます。

さらに設定変更のアドバイスも提供されるため、インシデントが発生する前に、効率的かつ迅速に改善をすることが可能です。

CSPMには、導入時点で基本的な評価ルールがあらかじめ用意されていますが、自社独自のセキュリティポリシーやルールがある場合は、内容をカスタマイズして運用することもできます。

国際基準に基づいたセキュリティチェック

CSPMを導入することで、「CIS ベンチマーク」や「PCI DSS」などの国際基準に基づいたセキュリティチェックを行うことができます。

CIS ベンチマーク ・セキュリティ設定をはじめ、情報システムを安全に構築・運用するための製品や手法を提供するベストプラクティス集
PCI DSS ・クレジットカードにおける会員情報の保護を目的に取り決められた、国際的なセキュリティ基準
関連ページ

PCI DSSとは?要件や認定取得の方法などをわかりやすく解説

CSPMと他のソリューションの違い

ここでは、CSPMと比較されることが多い3つのソリューションとの違いを解説します。

  • CASB
  • CWPP
  • SSPM

それぞれ確認していきましょう。

CSPMとCASBの違い

「CASB(Cloud Access Security Broker)」とは、従業員によるクラウドサービスの利用状況を可視化・制御し、組織全体で一括管理するためのセキュリティソリューションです。

CSPMが主にクラウドサービス内部の設定や構成を監視・評価するのに対し、CASBはユーザーによるクラウドサービスへのアクセスを監視し制御するソリューションです。

CSPMとCWPPの違い

「CWPP(Cloud Workload Protection Platform)」は、クラウド上で稼働するワークロード(仮想マシン、サーバー、コンテナ、アプリケーションなど)を保護するためのプラットフォームです。

CSPMがクラウド環境全体の設定や構成の安全性確保を目的としているのに対し、CWPPはクラウド内で実行されるワークロードそのものの保護を目的にしているという点で異なる役割を持ちます。

CSPMとSSPMの違い

「SSPM(SaaS Security Posture Management)」とは、SaaSアプリケーションのセキュリティ設定を監視・評価し、正しい設定に導くためのセキュリティソリューションです。

CSPMはIaaS/PaaSの設定管理を対象としているのに対し、SSPMはSaaSアプリケーションの設定や権限の評価を対象としています。

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SSPMとは?SaaS利用を支えるセキュリティ機能やCSPMとの違いを解説

CSPMの選定ポイント

CSPMツールを選ぶ際に意識すべきポイントを5つ紹介します。

  • 利用しているクラウドサービスと連携できるか
  • 複数のクラウドサービスをまとめて管理できるか
  • 自社のポリシーを適用できるか
  • 拡張性はあるか
  • レポートやダッシュボードはわかりやすいか

導入を検討している企業・組織の方は、ぜひ参考にしてみてください。

利用しているクラウドサービスと連携できるか

まずは、現在利用しているクラウドサービスとの連携が可能かを確認しましょう。

主要なクラウドサービスの場合は基本的に連携可能ですが、中小規模のクラウドサービスを利用している場合は、対応していない可能性もあるため注意が必要です。

また、今後利用を検討しているクラウドサービスがあるのであれば、そちらにも対応しているか、あわせて確認することが推奨されます。

複数のクラウドサービスをまとめて管理できるか

複数のクラウドサービスを利用している場合は、マルチクラウド対応かどうかも確認しておきたい点です。

複数のクラウドサービスをまとめて管理できれば、設定ミスや管理負担を軽減することができます。

国際基準に準拠しているか

CSPMツールを選ぶ際は、CISやPCI DSSなどの信頼性の高い国際的なセキュリティ基準に準拠しているかも必ず確認しましょう。

国際的な基準を満たしていないツールでセキュリティチェックを行うと、コンプライアンス違反や監査上のリスクを招く恐れがあります。

また、自社独自のセキュリティポリシーやルールに適用できるかどうかも、導入前に検討しておきたいポイントです。

拡張性はあるか

CSPMツールを導入する際は、企業のクラウド環境や利用サービスが拡大・変化した際にも柔軟に対応できる、拡張性の高い製品を選定することが推奨されます。

ダッシュボードやレポートはわかりやすいか

CSPMツールのように監視・可視化を目的としたツールを導入する際は、ダッシュボードの操作性や視認性の高さも重要な選定ポイントです。

導入後に「使いづらい」「かえって非効率」といった問題が生じないように、デモ画面を確認したり、無料版を試したりして、使いやすさを事前に確認しましょう。

また、生成されるレポートにおいては、専門知識がない人が見てもわかりやすいかといった点も考慮すると良いでしょう。

CSPMとクラウド診断の違い


CSPMは、「クラウド診断」と比較されることがあります。

クラウド診断とは、クラウドサービスの利用状況やセキュリティ状態を専門家が手動でチェック・分析し、改善策や最適化策を提案するサービスです。

CSPMとクラウド診断の違いは以下の通りです。

クラウド診断 CSPM
評価の主体 人間が評価 ソフトウェアが評価
柔軟性 ○(高い) ×(低い)
診断項目数
最新の内容で診断可能か ×(ベンダーに依存)
持続性 ×(定期的な実施が必要) ○(半永久的)
クラウドサービス仕様変更への対応
専門知識 不要 必要

CSPMとクラウド診断の最も大きな違いは「専門家が手動で診断を行うか」「製品が自動で診断を行うか」です。

クラウド診断は手動で行うため、「最新の診断項目でチェックできる」「各種クラウドサービスの仕様変更に柔軟に対応できる」といったメリットがあります。

対してCSPMには、一度導入すれば半永久的に設定の検知が可能という持続性があります。

それぞれメリット・デメリットがあるため、自社の環境や目的に応じて、より適したクラウドセキュリティサービスの利用を検討すると良いでしょう。

CSPMと併用したい、LANSCOPE プロフェッショナルサービスの「クラウド診断」


クラウドセキュリティ対策を万全にするためには、クラウド診断やCSPMを活用することが効果的です。ただし、自社でリソースが十分になくCSPMの運用が困難なケースもあるかもしれません。

LANSCOPE プロフェッショナルサービスでは、主要なIaaS・SaaSサービスで実施可能な「クラウドセキュリティ診断」を提供しています。

クラウドセキュリティ診断では、クラウドサービスとセキュリティ双方の知識が豊富な当社の「クラウドセキュリティのエキスパート」が、ご利用中のクラウドサービスにて「アクセス権限」「ログインの認証方法」など、インシデントの根源となりうる設定項目の調査と洗い出しを実施。

選定したクラウド環境の不備や脆弱性について、最適な対処方法をお伝えします。

また、常に各クラウドサービスの専門家が、CISベンチマークやJPCERT・IPAなどの発信する情報を常時収集し、診断ルールへ反映するため、いつでも最新のセキュリティルールに則った診断サービスを提供します。

対応可能なクラウドサービスは多岐にわたるため、幅広いお客様に「クラウドに関する情報漏洩防止」に、お力添えすることが可能です。

▼主要なサービス一覧
Microsoft 365 セキュリティ診断
Google Workspace セキュリティ診断
Salesforce セキュリティ診断
Amazon Web Services(AWS)セキュリティ診断
Microsoft Azure セキュリティ診断
Google Cloud Platfor (GCP)セキュリティ診断
Zoom セキュリティ診断
Box セキュリティ診断
Slack セキュリティ診断

サービスの詳細は、以下のページよりご確認ください。

関連ページ

幅広いクラウドの設定改善が可能!クラウドセキュリティ診断とは?│LANSCOPE プロフェッショナルサービス

まとめ


本記事では、CSPMの概要や機能、他のソリューションとの違いを解説しました。

本記事のまとめ

  • CSPMとは、クラウドサービスの構成や設定の問題点を検知・対策するためのセキュリティソリューション
  • CSPMが必要とされている背景として、「昨今のクラウドサービスの急速な普及」と「クラウドサービスに起因するセキュリティ事故の増加」が挙げられる
  • CSPMには、「パブリッククラウドの利用状況およびリスクの可視化」「複数のクラウドサービスの一元管理」「設定ミスやインシデントの検知」「国際基準に基づいたセキュリティチェック」などの機能がある
  • CSPMツールを選ぶ際は、「利用中のクラウドサービスと連携が可能か」「複数のクラウドサービスをまとめて管理できるか」「拡張性はあるか」などを確認することが重要

クラウドサービスの利用が一般的となっている昨今、クラウド環境のセキュリティ対策は、いまや企業・組織において避けられない課題といえます。

本記事で紹介した選定ポイントを参考に、ぜひクラウド環境のセキュリティ強化を目指してください。

LANSCOPE プロフェッショナルサービスの「クラウド診断」は、クラウドセキュリティのエキスパートが、お客様がご利用中のクラウドサービスにて、「アクセス権限」「ログインの認証方法」など、インシデントの根源となりうる設定項目の調査と洗い出しを実施するサービスです。

選定したクラウド環境の不備や脆弱性について、最適な対処方法をお伝えするため、クラウド環境のセキュリティ強化を効率的に目指すことが可能です。

ぜひ実施をご検討ください。

情シス1,000人に聞いた!
「クラウドサービスのセキュリティ対策」実態調査

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についてお聞きしました。
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