Written by WizLANSCOPE編集部

目 次
DDoS攻撃とは、複数のデバイスから標的のWebサイトやサーバーに大量の通信を送りつけることで、サービス遅延や停止を引き起こす攻撃です。
企業や組織がDDoS攻撃を受けると、サービス停止による売上の減少だけでなく、利用者からの信用低下につながる恐れもあります。
そのため、企業や組織はDDoS攻撃の仕組みを理解し、攻撃を受けた場合の対応方法や対策をあらかじめ把握しておくことが重要です。
本記事では、DDoS攻撃の仕組みや被害事例、攻撃を受けた際の初動対応、有効な対策についてわかりやすく解説します。
▼本記事でわかること
- DDoS攻撃の仕組み
- DDoS攻撃の被害事例
- DDoS攻撃を受けた際の初動対応
- DDoS攻撃への対策
「DDoS攻撃とはどのような攻撃なのか」「DDoS攻撃にはどのような対策が有効なのか」を知りたい方は、ぜひご一読ください。
DDoS攻撃とは

DDoS攻撃とは、複数のデバイスから標的のWebサイトやサーバーなどに大量のパケット通信を送りつけ、システムやネットワークに過剰な負荷をかけることで、サービスの遅延や停止を引き起こすサイバー攻撃です。
DDoSとは「Distributed Denial of Service(分散型サービス拒否)」の略称で、多数のデバイスなど、複数の攻撃元から標的に対して一斉に大量の通信を発生させる点に特徴があります。
DDoS攻撃を受けたWebサイトやサーバーでは、大量の通信によってネットワークの帯域やサーバーなどの処理能力が圧迫され、正規の利用者からのアクセスを処理できなくなることがあります。
その結果、Webサイトにつながりにくくなったり、サービスが停止したりする可能性があります。
企業がDDoS攻撃を受けると、サービス停止による売上の減少だけでなく、顧客からの信頼低下や、調査・復旧にかかる工数や費用の増加などにつながる恐れがあります。
DDoS攻撃とDoS攻撃の違い
DDoS攻撃と混同されやすいサイバー攻撃として「DoS攻撃」があります。
DDoS攻撃とDoS攻撃は、どちらも標的となるサーバーやネットワークなどに負荷をかけ、サービスを利用しにくくしたり停止させたりする攻撃です。
DDoS攻撃とDoS攻撃の主な違いは、以下の通りです。
| DDoS攻撃 | DoS攻撃 | |
|---|---|---|
| 攻撃元 | 複数のデバイスに分散 | 基本的に単一 |
| 攻撃元の特定・遮断 | 難しい傾向がある | DDoS攻撃と比較すると対処しやすい傾向がある |
| 被害規模 | 大規模になりやすい | DDoS攻撃と比較すると限定的になりやすい |
前述の通りDDoS攻撃は、多数のデバイスなど、複数の攻撃元から標的に対して一斉に通信が送られます。多数の攻撃元が利用されるため、大量の通信を発生しやすく、大規模な被害が発生しやすいです。
一方、DoS攻撃では、基本的に単一の攻撃元から標的に対して通信が送られます。そのため、DDoS攻撃と比較すると、攻撃の規模が限定的になる傾向が見られます。
さらに、DDoS攻撃は、攻撃元が複数に分散しているため、攻撃元の特定や通信の遮断が難しく、特定のIPアドレスを遮断するだけでは、ほかの攻撃元から通信が続き、十分に対処できない可能性があります。
そのため、DDoS攻撃への対策では、攻撃の種類や規模に応じて、通信の監視・制御やDDoS対策サービスなどを組み合わせることが重要です。
DDoS攻撃の仕組み・流れ
DDoS攻撃は、一般的に以下のような流れで実行されます。
- ボットネットの準備
- 攻撃対象(標的)の決定
- DDoS攻撃の実行
それぞれの工程でどのようなことが行われるのかをみていきましょう。
ボットネットの準備
ボットネットとは、マルウェアに感染するなどして攻撃者から遠隔操作されるようになったPCやスマートフォン、IoT機器など、多数のデバイスで構成されるネットワークのことです。
ボットネットに組み込まれたデバイスは「ボット」と呼ばれ、攻撃者の指示に従って不正な通信などを行います。
攻撃者は、多数のボットをまとめて遠隔操作するために、「C&C(Command and Control)サーバー」と呼ばれるサーバーなどを利用します。
なお、ボットネットへの組み込みは、デバイスの所有者が気づかないうちに行われるケースがあります。
そのため、ボットとなったデバイスの所有者は、自身のデバイスがDDoS攻撃などに悪用されていることに気づいていない場合も少なくありません。
攻撃対象(標的)の決定
ボットネットの準備ができた攻撃者は、次に攻撃を仕掛ける対象を決定します。
DDoS攻撃の標的となりやすいサービスの例として、以下が挙げられます。
- ECサイト
- ネットバンキングなどの金融サービス
- オンラインゲーム
- クラウド上で提供されるWebサービス
- 政府機関や公共機関のWebサイト
DDoS攻撃の標的は、攻撃者の目的によって異なります。
なかでも、サービスが停止した場合に売上や業務、社会活動などへの影響が大きいWebサイトやオンラインサービスは、攻撃の標的となりやすい傾向があります。
例えば、ECサイトやネットバンキング、オンラインゲームなどは、サービスが停止すると利用者への影響が生じます。
また、政府機関や公共機関のWebサイトも、停止による社会的な影響が大きい場合があるため、DDoS攻撃の標的となる可能性があります。
DDoS攻撃の実行
攻撃対象を決定した攻撃者は、C&Cサーバーなどを介してボットネットに指示を出し、多数のボットから標的に対して一斉に通信を発生させます。
大量の通信が標的に集中すると、ネットワークの帯域やサーバーなどの処理能力が圧迫され、正規の利用者からのアクセスを正常に処理できなくなる可能性があります。
その結果、Webサイトの表示が遅くなったり、サービスが停止したりするなどの障害につながります。
DDoS攻撃の主な種類
DDoS攻撃は、攻撃の手法や標的とする箇所によって、主に以下の3種類に分類されます。
- ボリューム型攻撃
- プロトコル型攻撃
- アプリケーション層攻撃
それぞれのDDoS攻撃がどのような仕組みでサービスに影響を与えるのか、特徴や代表的な攻撃手法とあわせて解説します。
ボリューム型攻撃
ボリューム型攻撃とは、標的に大量の通信を送りつけ、ネットワークの回線帯域を圧迫するDDoS攻撃です。
ボリューム型攻撃によって回線帯域が圧迫されると、正規の利用者による通信が届きにくくなり、Webサイトやオンラインサービスの遅延・停止につながる可能性があります。
代表的な手法としては、大量のUDPパケットを送りつける「UDPフラッド攻撃」などが挙げられます。
プロトコル型攻撃
プロトコル型攻撃とは、ネットワーク通信の仕組みを悪用し、サーバーやネットワーク機器などの処理能力や接続に使用するリソースを消費させるDDoS攻撃です。
プロトコル型攻撃によって処理能力やリソースが圧迫されると、正規の利用者からの接続を処理しにくくなり、Webサイトやオンラインサービスの遅延・停止につながる可能性があります。
代表的な手法としては、TCP通信で接続を確立する仕組みを悪用し、サーバーなどに多数の未完了の接続を発生させる「SYNフラッド攻撃」が挙げられます。
アプリケーション層攻撃
アプリケーション層攻撃とは、WebサイトやAPIなど、アプリケーションの処理に負荷をかけるDDoS攻撃です。
アプリケーション層攻撃では、正規の利用者によるアクセスと見分けにくい通信が使われる場合があり、ボリューム型攻撃と比べて少ない通信量でもサーバーやアプリケーションに大きな負荷を与える可能性があります。
代表的な手法としては、Webサイトなどに大量のHTTPリクエストを送り、サーバーやアプリケーションの処理能力を消費させる「HTTPフラッド攻撃」が挙げられます。
ここまで紹介した3種類のDDoS攻撃の違いをまとめると、以下の通りです。
| 種類 | 代表的な攻撃手法 | 主な攻撃対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ボリューム型攻撃 | ・UDP フラッド攻撃 ・DNS増幅攻撃 |
・ネットワークの回線帯域 | ・大量通信によって回線帯域を圧迫する |
| プロトコル型攻撃 | ・SYNフラッド攻撃 | ・サーバー、ネットワーク機器など | ・通信プロトコルの仕組みを悪用し、接続処理などに必要なリソースを消費させる |
| アプリケーション層攻撃 | ・HTTPフラッド攻撃 | ・Web・APIサーバー | ・アプリケーションの処理に負荷をかける |
DDoS攻撃の目的

攻撃者がDDoS攻撃を仕掛ける目的はさまざまですが、代表的なものとして、以下の4つが挙げられます。
- 競合相手への営業妨害
- 政治・思想的な抗議活動
- 身代金の要求(ランサムDDoS)
- 迷惑行為・嫌がらせ
詳しく確認していきましょう。
競合相手への営業妨害
競合企業や敵対組織のWebサイト・オンラインサービスを標的に攻撃を仕掛け、稼働停止に追い込むケースがあります。
Webサービスが一時的にでも停止すると、標的となった企業は売上の減少だけでなく、顧客からの信用失墜やシステムの復旧対応にかかるコストなど、多大な経済的損失を被る恐れがあります。
攻撃者は、ターゲット企業の事業活動を妨害し、相対的に自社の優位性を高めることなどを狙って攻撃を実行します。
政治・思想的な抗議活動
政治的または思想的な主張を持つグループや個人が、特定の政府機関や企業に対して抗議の意思を示す目的でDDoS攻撃を用いるケースもあります。このような活動を行う攻撃者は、「ハクティビスト」とも呼ばれます。
日本国内でも、2022年にデジタル庁が管轄する行政情報ポータルサイトをはじめとする複数の政府関連サイトがDDoS攻撃を受け、一時的にアクセス困難となる事案が発生しました。
この攻撃では、親ロシア派とされるハッカー集団「Killnet(キルネット)」が犯行声明を出しており、数万件規模のIPアドレスから一斉に不正な通信が送りつけられたことが警察庁の調査で公表されています。
身代金の要求(ランサムDDoS)
近年、金銭の詐取を目的として企業を脅迫する「ランサムDDoS(RDoS)」と呼ばれる攻撃手法が増加しています。
ランサムDDoSの手口は、主に次の2通りに大別されます。
| 攻撃後の要求型 | 実際にDDoS攻撃を仕掛けてサービスを停止させ、「攻撃の停止」と引き換えに身代金を要求する |
|---|---|
| 攻撃前の脅迫型 | 事前に警告メール等を送りつけ、「期日までに金銭を支払わなければ大規模攻撃を実行する」と脅迫する |
ランサム攻撃では、身代金を支払ったとしても攻撃が中止・停止される保証はなく、むしろ「脅迫すれば金銭を支払う企業・組織」と見なされて、再攻撃や二次被害を招くリスクがあります。
そのため、身代金の要求を受けた場合は安易に応じず、警察や専門のセキュリティ機関に速やかに相談することが求められます。
迷惑行為・嫌がらせ
金銭や政治的主張などの明確な利害関係を伴わず、愉快犯的な動機や自己顕示欲を満たすために実行されるDDoS攻撃も一定数存在します。
サイバー犯罪の組織化・ビジネス化に伴い全体に占める割合は低下傾向にあるものの、「世間の注目を集めたい」「自分の技術を誇示したい」といった個人的な動機から標的が選定される事例も依然として発生しています。

DDoS攻撃による被害

万が一企業・組織がDDoS攻撃を受けると、以下のような被害リスクが想定されます。
| 被害リスク | 主な影響 |
|---|---|
| サーバーダウンによるサービス停止 | Webサイトの停止による売上損失や顧客満足度の低下 |
| 金銭的被害の発生 | ・多額のシステム復旧費用の発生や株価の下落 |
| 混乱を利用した別サーバーへの攻撃 | ・障害対応の隙を突いた情報漏洩や不正アクセス |
DDoS攻撃はネットワークやサーバーを集中的に狙うため、攻撃を受けた標的のWebサイトやサービスは高確率でサービス停止に追い込まれます。
サービスが停止すると、企業にとっては売上の機会損失や顧客満足度の低下など、さまざまな不利益が生じます。
さらに、企業はサービス停止による直接的な売上減少だけでなく、システムの復旧にかかる多額の費用や、DDoS攻撃の影響による株価の低下など、間接的な金銭的ダメージを受けるリスクも想定されます。
また、攻撃者がDDoS攻撃による社内の混乱を利用し、担当者が復旧作業に追われている隙を突いて別の基盤サーバーへ不正アクセスを仕掛けるなど、二次被害を狙う事例もあります。
DDoS攻撃の被害事例

日本国内でも、DDoS攻撃によって重要インフラやWebサービスが停止する被害が相次いでいます。
ここでは、近年発生した代表的なDDoS攻撃の被害事例を2つ紹介します。
大手航空会社の事例(2024年12月)
2024年12月、国内の大手航空会社がDDoS攻撃を受け、大規模なシステム障害が発生しました。
攻撃者は、航空会社の社内外をつなぐネットワーク機器に対して社外から大量のデータを一斉に送りつけ、通信機器に急激な過負荷を発生させました。
この攻撃によって空港の自動手荷物預け機などのシステムが利用できなくなり、国内線4便が欠航、国内線・国際線をあわせて70便以上に最大4時間以上の遅れが生じました。
さらに、当日の航空券の販売も一時的に停止するなど、年末の帰省シーズンにおける運航ダイヤに深刻な影響を及ぼしました。
天気予報専門メディアの事例(2025年1月)
2025年1月、一般財団法人が運営する国内最大級の天気予報専門メディアがDDoS攻撃の被害を受けました。
このメディアは、短期間のうちに複数回の断続的なDDoS攻撃に見舞われ、大量の通信によるネットワークの混雑が発生しました。
その影響で、Webサイト版の一部コンテンツが閲覧しづらくなったり、スマートフォンアプリ版の一部機能が利用できなくなったりする障害が発生しました。
特に大雪などによる気象情報の需要が高まるタイミングを狙われたことで、多くの利用者への情報提供に支障が生じる事態となりました。
DDoS攻撃を受けたときの初動対応
自社のシステムにDDoS攻撃と思われる兆候が見られた場合、被害の拡大を防ぐために、迅速かつ的確な初動対応が求められます。
ここでは、DDoS攻撃の兆候が見られた際に実施すべき6つの手順を紹介します。
- ステップ(1):状況確認
- ステップ(2):連絡・報告
- ステップ(3):一時対処
- ステップ(4):証拠保全
- ステップ(5):利用者・関係者への告知
- ステップ(6):恒久対策の検討
各ステップで行うべき対処を解説します。
ステップ(1):状況確認
自社のWebサイトに「表示が重い」「接続できない」といった障害が発生した場合、情シス担当者はまず障害の範囲と原因を切り分けることが重要です。
| 切り分けのポイント | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 影響範囲 | ・Webサイト全体が遅延しているのか ・特定のページや機能のみが遅延しているのか |
| 原因 | ・外部からのアクセス急増なのか ・サーバーやネットワーク機器の故障なのか |
状況を確認する際、担当者は監視ツールのアラート通知、サーバーリソースの負荷状況(CPUやメモリの使用率)、CDNやWAFのログなどをチェックします。
これらの情報からDDoS攻撃の疑いがあると判断した場合は、攻撃の規模や標的となっているシステムの特定に進みます。
ただし、メディア掲載やSNSでの拡散による突発的なアクセス集中と、悪意のあるDDoS攻撃を初期段階で見分けることは容易ではありません。
そのため、担当者がひとりだけで原因を判断せず、社内のセキュリティ対応組織(CSIRT)やシステム責任者へ速やかに状況を報告・相談(エスカレーション)することが大切です。
ステップ(2):連絡・報告
社内への報告と並行して、担当者は契約しているCDN事業者、WAFベンダー、ISP(インターネットサービスプロバイダ)、サーバーをホスティングしている事業者などへ連絡します。
自社のサーバーへ攻撃通信が届く前の「上流ネットワーク」の段階で通信の遮断や緩和(トラフィックの分散・制御)を依頼できれば、自社サーバーのダウンを防ぎ、担当者の対応負荷を大きく軽減できます。
ステップ(3):一時対処
自社のシステムダウンや被害の拡大を食い止めるため、担当者は暫定的な防御策(一次対処)を実施しましょう。
具体的には、攻撃元と特定できたIPアドレスのブロックや、同一IPからの短時間の接続回数を制限する「レート制限」の強化、海外からのアクセスが不要なサービスであれば特定国・地域からの通信制限などの適用が挙げられます。
ただし、制限を厳しく設定しすぎると一般の正規ユーザーまでアクセスできなくなる恐れがあるため、慎重に設定を調整する必要があります。
ステップ(4):証拠保全
インシデントの事後分析や警察・関係機関への報告に備えて、攻撃に関するログや記録(証跡)を漏れなく保全する必要があります。
保全するべき証拠の例として、以下が挙げられます。
| 保全すべきデータの例 | 具体的な記録内容 |
|---|---|
| アクセスログ・通信ログ | ・Webサーバーのアクセスログ ・ファイアウォールやIDS/IPSの通信履歴 |
| セキュリティ・監視ログ | ・CDNやWAFの検知ログ ・クラウド基盤の負荷監視データ |
| 障害画面・対応記録 | ・障害発生時のエラー画面キャプチャ ・担当者の対応時系列メモ |
クラウドやサーバーのログは、設定によって「一定期間が経過すると自動で上書き・削除」される場合があります。
そのため、攻撃が発生した時間帯のログデータは、即座に別の安全なストレージへ退避・バックアップしておくことが重要です。
ステップ(5):利用者・関係者への告知
サービスの停止や遅延によって一般ユーザーや取引先に影響が及んでいる場合は、公式サイトや公式SNSなどを通じて迅速に状況を告知する必要があります。
初期アナウンスの段階では、「DDoS攻撃を受けている」と断定的な発表を行うのではなく、「現在、一部のサービスに接続しづらい事象が発生しており、原因調査および復旧対応を進めている」といった事実ベースの正確な現状を伝えることが重要です。
透明性のある告知を迅速に行うことで、利用者の不安を和らげ、企業の信頼低下を最小限に抑えられます。
ステップ(6):恒久対策の検討
攻撃が収束した後は、今回のインシデント対応で得られた知見をもとに、再発防止に向けた恒久対策を検討します。
例えば、攻撃の手口や有効だった遮断策、社内外の連絡フローにおける課題などを振り返り、レポートとしてまとめます。
この分析結果を踏まえて、DDoS対策機能を持つクラウド型WAFの導入や、監視体制・インシデント対応マニュアルの見直しなど、自社システムの防御力を根本から高めるための施策を実行することが重要です。
DDoS攻撃への対策

万が一自社のシステムがDDoS攻撃の標的となった場合でも、迅速に攻撃の兆候を検知し、被害を最小限に抑えるためには事前の備えが不可欠です。
企業が講じるべき代表的な対策として、以下の3点が挙げられます。
- CDNの導入
- WAFの導入・設定確認
- 平常時からのトラフィック監視
詳しく確認していきましょう。
CDNの導入
CDN(Content Delivery Network)とは、Webサイトのコンテンツを世界中に配置されたキャッシュサーバーに分散して保存し、ユーザーに最も近いサーバーから代理してデータを配信する仕組みです。
このCDNを導入すると、攻撃者から大量のアクセス(攻撃トラフィック)が送りつけられた場合でも、世界中に分散したCDN側のサーバー群が通信を肩代わりして処理するようになります。
その結果、企業が管理するオリジンサーバー(本来のWebサーバー)に直接負荷がかかるのを防ぐことができます。
また、CDNを導入することでWebサイトの本来のIPアドレス(オリジンサーバーのIPアドレス)を外部から非公開化できるため、オリジンサーバーを直接標的にした攻撃が難しくなるというメリットもあります。
WAFの導入・設定確認
WAF(Web Application Firewall)とは、 Webアプリケーションとユーザーとの間の通信(HTTP/HTTPS通信)を常時監視し、悪意のあるリクエストを検知して遮断するセキュリティツールです。
このWAFを導入することで、Webサイトの閲覧リクエストを大量に送りつけてサーバーの処理を麻痺させる「HTTPフラッド攻撃」などのアプリケーション層を狙ったDDoS攻撃を効果的に防御することができます。
なお、WAFは導入するだけでなく、同一IPからの短時間のアクセスを制限する「レート制限ルール」や「特定国からのアクセス遮断ルール」が自社の運用要件に合わせて正しく設定・更新されているかを定期的に確認することが重要です。
トラフィック監視
DDoS攻撃に迅速に対処するためには、平常時のネットワーク通信量やサーバー負荷の推移を正しく把握し、トラフィックを常時監視しておくことが欠かせません。
通常の通信量の水準を把握していれば、攻撃による急激なトラフィック増加が発生した際に、監視ツールのアラートによって異常を早期に検知することが可能です。
また、異常をいち早く検知できれば、攻撃通信の遮断やプロバイダへの緩和依頼といった初動対応を迅速に実行できるため、Webサービスの停止や被害の拡大を未然に防ぐことが可能になります。
自社がDDoS攻撃の踏み台にならないための対策

企業が実施すべきDDoS対策は、自社のシステムを攻撃から守り、被害を最小限に抑えることだけではありません。
自社が管理するサーバーや端末がマルウェアに乗っ取られ、知らないうちに「他社を攻撃する踏み台」として悪用(加担)されないための対策も並行して行う必要があります。
ここでは、企業が攻撃の加害者にならないために実施すべき予防策を解説します。
ボットウイルス対策
ボットウイルスに感染した端末は、攻撃者によって外部から遠隔操作され、意図せず「ボットネット(サイバー攻撃用のネットワーク)」の一部として組み込まれてしまいます。
自社の端末がボット化され、サイバー攻撃の踏み台にされる事態を防ぐためには、高精度なアンチウイルス(EPP)を全端末に導入し、ボットウイルスへの感染を未然に防ぐことが重要です。
また近年は、サイバー攻撃の手口が高度化しており、外部からの侵入を完全に防ぐことは難しくなっています。
そのため、企業には、侵入されることを前提とした多層防御策を講じることが強く求められています。
例えば、エンドポイントの挙動を常時監視する「EDR」を併せて導入・運用していれば、万が一未知のボットウイルスがアンチウイルスをすり抜けて端末内に侵入してしまった場合でも、その不審な挙動を早期に検知できます。
さらに、感染が疑われる端末をネットワークから即座に自動隔離し、ウイルスの迅速な駆除を行うことで、踏み台としての悪用や社内感染の拡大を最小限に食い止められます。
セキュリティパッチの適用
セキュリティパッチとは、OSやソフトウェアなどの脆弱性(セキュリティ上の欠陥)を修正するために、ベンダーが利用者に配布する修正プログラムのことです。
セキュリティパッチの適用を後回しにしてしまうと、脆弱性が放置され、ボットウイルスをはじめとしたマルウェアが侵入しやすくなります。
社内端末やサーバーが踏み台として乗っ取られるリスクを防ぐためにも、ベンダーから修正パッチが公開された際は、速やかに適用する運用体制を整えることが重要です。
オープン・リゾルバ対策
オープン・リゾルバとは、インターネット上の不特定多数の端末からの「名前解決(再帰問い合わせ)」を無制限に受け付けてしまう設定になっているDNSサーバーのことです。
自社が管理するDNSサーバーがオープン・リゾルバ状態になっていると、攻撃者が送信元IPアドレスを標的のものに偽装して問い合わせを送り、自社サーバーから標的へ大量の応答パケットを送りつけさせる「DNS増幅(アンプ)攻撃」の踏み台として悪用される危険があります。
そのため、企業は「自社が運用するDNSサーバーの設定を見直し、社外の不特定多数からの再帰問い合わせを拒否する設定にする」「適切なアクセス制御が施された信頼できるクラウドDNSサービスを利用する」といった対策を徹底することが重要です。
送信元IPアドレス詐称対策
送信元IPアドレス詐称対策とは、攻撃者が身元を隠したり増幅攻撃を仕掛けたりするために偽装したパケットを、ネットワークの境界で検知・遮断する対策です。
具体的には、ルーターやファイアウォールなどのネットワーク出口で、自社が割り当てられた正規のIPアドレス帯以外の送信元IPを持つパケットを遮断(エグレスフィルタリング)します。
自社ネットワークから偽装されたパケットが外部へ送信されるのを防ぐことで、自社のネットワーク環境がDDoS攻撃の踏み台として悪用されるリスクを大幅に低減できます。
DDoS攻撃対策とあわせて行いたいLANSCOPE プロフェッショナルサービスの「ネットワーク診断」

DDoS攻撃そのものから自社のWebサイトやWebアプリケーションを直接防御するためには、CDNやWAF、DDoS対策専用サービスなどの導入が有効です。
一方で、自社システムにおける設定不備や不要な開放ポート、インターネット上に公開されている機器の脆弱性を正確に把握し、「他社への攻撃の踏み台化」や「別経路からの不正侵入」といった根本的なリスクを排除するためには、定期的な「ネットワーク診断」の実施が欠かせません。
「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」では、企業のサーバー、ネットワーク機器、OS設定などに潜むセキュリティリスクを専門家が徹底的に洗い出し、DDoS攻撃関連のリスクを防ぐための実践的な対策をご提案する「ネットワーク診断」を提供しています。
ネットワーク診断では、お客様のシステム環境に合わせて主に以下の2つの診断メニューを実施します。
| ネットワーク脆弱性診断 | ・ネットワーク機器やサーバーの設定ミス、不要な開放ポート、不適切なフィルタリングルールなどを特定する診断 |
|---|---|
| ネットワークペネトレーションテスト | ・疑似攻撃やパスワード推測調査などをエンジニアが手動にて実施することで、内部のネットワーク機器やサーバーに存在するセキュリティリスクを明らかにするテスト |
自社環境の脆弱性を放置したまま攻撃者に狙われると、自社サーバーがダウンするだけでなく、知らぬ間にDDoS攻撃の踏み台として悪用され、他社への加害者になってしまう恐れがあります。
このようなセキュリティリスクを根本から低減するためには、定期的な診断を通じて自社の弱点を早期に特定し、適切な改善措置を講じることが重要です。
脆弱性の早期発見と改善は、DDoS攻撃への備えとして有効であることはもちろん、ランサムウェアをはじめとするあらゆるサイバー攻撃への強固な予防策となります。
自社システムのセキュリティ状況に不安がある企業のご担当者様は、ぜひ「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」のネットワーク診断をご活用ください。
まとめ

本記事では「DDoS攻撃」をテーマに、その仕組みや種類、対策などを解説しました。
本記事のまとめ
- DDoS攻撃とは、悪意のある第三者が多数のデバイスを遠隔操作し、標的のWebサイトやサーバーに大量の通信を一斉に送りつけてサービスを停止させるサイバー攻撃
- DDoS攻撃の手口は、主に「ボリューム型攻撃」「プロトコル型攻撃」「アプリケーション層攻撃」の3つに分類される
- DDoS攻撃の被害から自社を守るための対策として、CDNによる通信の分散やWAFの導入・設定、平常時からのトラフィック監視体制の構築などが挙げられる
- 意図せずに自社が攻撃に加担していたという状況を避けるためには、ボットウイルス対策やセキュリティパッチの適用、オープン・リゾルバ対策、送信元IPアドレス詐称対策などを講じることが重要
一口にDDoS攻撃といっても、回線帯域を埋め尽くす攻撃からWebアプリケーションの処理を麻痺させる攻撃まで、その手口はさまざまです。
手口によって講じるべき対策も異なるため、まずはDDoS攻撃への理解を深め、影響度や自社の環境にあわせて適切な対策を実施しましょう。
また、DDoS攻撃への対策とあわせて定期的な「ネットワーク診断」を実施することも重要です。機器の設定不備や不要な開放ポートを洗い出すことで、攻撃の踏み台化や別経路からの不正侵入といった根本的なリスクを未然に防ぐことができます。
本記事で紹介した「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」では、専門のセキュリティエンジニアが企業のサーバーやネットワーク機器などに潜むセキュリティリスクを徹底的に洗い出し、具体的な対策をご提案する「ネットワーク診断」を提供しています。
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