IT資産管理

情報セキュリティ3要素とは?定義や対策をわかりやすく解説

Written by Aimee

大手日系企業でのマーケティング職を経て、2022年にフリーランスに転身。
要件定義〜保守まで行うウェブデザイナー、ライターとして活動しています。タイ、チェンマイを拠点に旅暮らし中。

情報セキュリティ3要素とは?定義や対策をわかりやすく解説

情報セキュリティにおける「3要素」は、一般的に「機密性 (Confidentiality)」、「完全性 (Integrity)」、「可用性 (Availability)」のことを指し、頭文字をあわせて「CIA」とも呼ばれます。

これらの要素は、情報セキュリティの基本原則として広く認識されており、情報セキュリティ管理のフレームワークやポリシーの設計において基本的な考慮事項として広く取り入れられています。

これらの要素をバランスよく考慮することで、情報資産を適切に保護し、企業や組織の抱えるリスクを最小限に抑えましょう。

▼この記事を要約すると

  • 情報セキュリティの3要素とは、機密性・完全性・可用性を指す
  • 3要素のうちどれか一つの要素だけを高めてしまうと、利便性や生産性が低下するだけでなく、逆に情報漏洩のリスクが高まってしまうため、機密性、完全性、可用性をバランスよく維持する必要がある
  • 情報セキュリティリスクの評価と管理は、企業が情報セキュリティを維持し、強化するために不可欠なプロセス
  • リスクアセスメントが必要な理由は、社内の取引先や顧客データをリスクから守るため
  • 情報セキュリティを確保するためには、情報セキュリティ基本方針情報セキュリティ対策規定情報セキュリティ対策手順書などの3つの文書を策定する必要がある
  • 情報セキュリティの具体的な対策としては、「サイバー攻撃対策の強化」「パスワード管理の徹底」「社内教育の実施」などが挙げられる

情報セキュリティ3要素の概要と重要性


情報セキュリティの3要素とは、機密性(Confidentiality)・完全性(Integrity)・可用性(Availability)のことです。

上記3つの頭文字をとってCIAとも呼ばれます。

機密性…許可されたユーザーのみが情報にアクセスできる状態にしておくこと
完全性…情報を正確かつ完全な状態にしておくこと
可用性…必要なときにいつでも情報を利用可能な状態にしておくこと

これら3つの要素は、情報を適切に保護し、不正アクセスや改ざん、さらにはサービスの停止といったリスクから守るうえで非常に重要です。

組織や個人の情報資産を保護するためにも、これらの要素を理解し、適切な対策を講じることが求められます。

以降では、機密性・完全性・可用性それぞれについて詳しく解説いたします。

機密性(Confidentiality)

機密性とは、許可されたユーザーのみが情報にアクセスできる状態にしておくことです。

機密性が保たれていない場合、個人情報や企業秘密が漏洩し、悪用される可能性があります。

情報漏洩による信頼の喪失や法的な責任を負うリスクが生じるため、機密性の確保は極めて重要です。

機密性を確保するための方法としては、以下が挙げられます。

●アクセス権限の最小化
●パスワード管理
●データの暗号化

従業員・顧客の個人情報やまだ世に出ていない新製品の開発情報といった重要な情報へのアクセス権限は限られた人のみに付与することで、不正利用や犯罪に悪用される危険性を低減できます。

また、パスワードポリシー(パスワードに関するルールや規定)によってパスワードの文字数や入れるべき文字種などを指定することで、従業員が第三者から容易に推測できるようなパスワードを設定することを防ぐことができます。

他にも、データの転送時や保存時に暗号化を行うことで、仮に外部に漏れてしまっても、閲覧や不正利用を防止することが可能です。

完全性(Integrity)

完全性とは、情報を正確かつ完全な状態にしておくことです。

もう少しかみ砕いて説明すると、「情報に間違いがなく、かつ最新で、過不足がない状態」を指します。

この完全性が低い場合、誤った情報に基づいて意思決定が行われたり、企業・組織の評判や信頼が損なわれたりすることが考えられます。

完全性を確保するための方法としては、以下が挙げられます。

●バージョン管理
●データバックアップ

バージョン管理を行うことによって、いつ、だれがファイルを変更したのか、どのように変更したのかなどをさかのぼって確認することが可能になります。

また、定期的なデータのバックアップを行うことで、データの損失や改ざんが発生した場合でも、すぐに復元することができます。

可用性(Availability)

可用性とは、必要なときにいつでも情報を利用可能な状態にしておくことです。

可用性が低い場合、システムのダウンタイムや遅延が発生し、業務が停滞する可能性があります。

これにより、生産性が低下し、ビジネスの信頼性や顧客満足度が損なわれるため注意が必要です。

可用性を確保する方法としては、以下が挙げられます。

●冗長化
●負荷分散

冗長化とは、簡単に言うと「予備設備を準備しておくこと」です。日ごろから既存の設備と同じものを複数運用しておくことで、サーバーや機器の故障時も、システム全体を停止せずに稼働し続けることができます。

もう一つの負荷分散は、特定のサーバーに処理が集中しないよう、複数のサーバーに処理を均等に分散することです。

これにより、分散先のサーバーが一台停止してしまったとしても、残りのサーバーでサービスの継続が可能になります。

情報セキュリティ3要素のバランスと取り組み方

情報セキュリティの観点では、機密性、完全性、可用性をバランスよく維持する必要があります。

というのも、どれか一つの要素だけを高めてしまうと、利便性や生産性が低下したり、逆に情報漏洩のリスクが高まったりしてしまうためです。

例えば、機密性を高めるために厳格なアクセス制御を行うと、作業効率が低下するとともに、必要な時に必要な情報にアクセスできないなど可用性が低下する可能性があります。

そのため、企業は適切なリスク評価を行い、ニーズに応じた対策を講じることが重要です。

また近年では、先述した3要素に加えて「真正性」「責任追求性」「否認防止」「信頼性」の4つの要素も重要視されています。

情報セキュリティを構成する7つの要素に関しては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連ページ

「情報セキュリティの策定に必要な7つの要素とは?それぞれの考え方を解説!」

情報セキュリティリスクの評価と管理方法


情報セキュリティリスクの評価と管理は、企業が情報セキュリティを維持し、強化するために不可欠なプロセスです。

リスク評価とは、情報セキュリティに関連する脅威や脆弱性を特定し、それらが組織に及ぼす影響を評価するプロセスです。

そして、リスク管理では、評価されたリスクに対して適切な対策を立案・実施し、継続的にモニタリングすることが求められます。

情報セキュリティリスクの評価と管理により、企業はセキュリティの状況を把握し、効果的な対策を行うことができます。

なぜリスクアセスメントが必要か

リスクアセスメントが必要な理由は、社内の取引先や顧客データをリスクから守るためです。

リスクアセスメントを実施することで、組織は取引先や顧客のデータに関する潜在的な脅威や脆弱性を明らかにし、適切なセキュリティ対策を講じることができます。

これにより、データの不正アクセスや漏洩、改ざんなどのリスクを最小限に抑えることが可能になります。

また、リスクアセスメントによって、組織が顧客や取引先のデータを適切に保護していることが証明されるため、取引先となる企業や顧客からの信頼性も高まり、ビジネス関係をより強固なものにすることができます。

加えて、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得するためには、リスクアセスメントが必須事項となります。

ISMS認証とは、組織が適切な情報セキュリティ管理体制を整備し、運用していることを証明するものであり、リスクアセスメントはその一環として不可欠な要素です。

関連ページ

ISMS認証とは?わかりやすく概要・ISMS認証取得の流れと基準を解説

リスクアセスメントの基本的な手順

リスクアセスメントは、以下のような手順で行うのが基本です。

1. リスクの特定(洗い出し・分析・評価)
2. 優先順位を決めてリスク対応
3. リスクアセスメントの実施状況の評価・見直し

1. リスクの特定(洗い出し・分析・評価)

最初のステップは、組織が保有する情報資産にどのような潜在的リスクがあるのかを洗い出し、分析・評価します。

リスクの洗い出しは、「機密性・完全性・可用性が損なわれていないか」ということを軸に行います。

2. 優先順位を決めてリスク対応

特定されたリスクは、発生する可能性や組織・業務への影響度に応じて優先順位をつけます。

優先度の高いものから対策を講じ、それに伴うコストや労力を最適化します。

3. リスクアセスメントの実施状況の評価・見直し

リスクアセスメントの実施後、定期的に実施状況を評価し、必要に応じて見直します。組織内の状況や環境が変化するにつれて、新たなリスクが発生する可能性があるため、リスクアセスメントは定期的に繰り返されるべきです。

また、実施された対策の効果を評価し、必要に応じて調整や改善を行います。

以上が、リスクアセスメントの基本的な手順です。
企業は、これらの手順を適切に実施することで、情報セキュリティリスクを最小限に抑え、安全で信頼性の高いビジネス環境を確立することができます。

情報セキュリティポリシーの策定と実施


以下にて、情報セキュリティポリシーの策定と実施について解説します。

策定するべき内容

情報セキュリティポリシーに含めるべき内容としては以下があります。

●情報セキュリティ基本方針
●情報セキュリティ対策規定
●情報セキュリティ対策手順書

一つ目の情報セキュリティ基本方針とは、組織が情報セキュリティに対する姿勢や方針を示す文書です。情報セキュリティの重要性を認識し、その実現に向けて組織が取り組むべき方向性や目標が明確に記述されます。

次に、情報セキュリティ対策規定とは、組織が情報セキュリティを実現するための具体的なルールや規則を定めた文書です。情報セキュリティに関する各種ポリシーや手順、ガイドラインが記載され、組織内の全ての関係者がこれに従うことが求められます。

最後に、情報セキュリティ対策手順書は、具体的な情報セキュリティ対策の手続きや手順を示す文書です。例えば、パスワード管理手順やシステムアクセス制御手順など、情報セキュリティを実現するための具体的な手順が記載されます。

これらの文書は組織の情報セキュリティ体制の基盤となり、安全で信頼性の高い情報環境を構築するために不可欠です。

詳しくは以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。

関連ページ

情報セキュリティポリシーを策定するためには?策定の基本を解説!

情報セキュリティの具体的な対策方法


情報セキュリティの具体的な対策としては、以下の3つが挙げられます。

●サイバー攻撃対策の強化
●パスワード管理の徹底
●社内教育の実施

サイバー攻撃対策の強化

サイバー攻撃では、ソフトウェアやシステム脆弱性がたびたび悪用されます。

脆弱性とは「セキュリティ上の欠陥」のことで、放置しておくとマルウェア感染や不正アクセスといった被害にあうリスクが高まります。

そのため、サイバー攻撃対策を強化するためには、パッチ更新や定期的なセキュリティアップデートによってソフトウェアやシステムの脆弱性を修正する必要があります。

パスワード管理の徹底

不正アクセスやアカウントの乗っ取りなどを防ぐためには、パスワード管理の徹底が必要不可欠です。

例えば、パスワードを設定する際は、最低でも8文字以上にして、英字・数字・記号をすべて入れるなどできるだけ強固なパスワードの作成するようにしましょう。

ただし、複雑なパスワードを設定しても認証を突破されてしまうこともあります。

そういう場合に備えて、多要素認証もあわせて導入しておきましょう。

多要素認証とは、知識情報(パスワードなど)、所持情報(スマートフォンなど)、生体情報(指紋など)の中から、2つ以上の要素を活用して認証を行うセキュリティ手法です。

▼多要素認証のイメージ

多要素認証を導入していれば、仮にパスワードが漏洩したり推測されたりしても、認証を突破される危険性を低減できます。

関連ページ

例でわかる!多要素認証(MFA)とは?仕組みや種類・二段階認証との違いをわかりやすく解説

社内教育の実施

社員の意識と理解を高めるための社内教育は、情報セキュリティの強化に欠かせません。

セキュリティ勉強会を開催することで、セキュリティの基本的な知識や最新の脅威に関する情報を共有し、社員の意識を高めましょう。

また、社員の意識調査を定期的に実施し、情報セキュリティに関する理解度や認識の誤りを把握し、対策を立てることも大切です。

LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版で行う情報セキュリティ対策


弊社が提供する、IT資産管理・MDMツール「LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版」には、情報セキュリティ対策に有効な以下の機能が備わっています。

●Windowsアップデート管理
●操作ログの収集

パッチ更新、OSが最新の状態にあるかの確認

LANSCOPEエンドポイントマネージャー クラウド版では、Windowsアップデート管理に関して、以下のような機能を備えています。

1.最新のWindowsアップデート(機能更新プログラムや品質更新プログラムなど)が未適用の端末を、管理画面で一覧表示
2.配信日時や表示メッセージ等、細やかな設定に基づく、Windowsアップデートの一括配信
3.端末がインターネットに接続されていれば、社内ネットワークにアクセスしない社外利用の端末も管理が可能
4.Windowsアップデートの配信後の成功・失敗の把握

アップデートの適用状況把握から配信までをワンストップで管理

LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版 では、Microsoft社が提供する「機能更新プログラム」(Feature Update[FU])や「品質更新プログラム」(Quality Update[QU])の適用状況を管理画面より把握し、パッチ・更新プログラムを配信するまでを、ワンストップでおこなえます。

▼LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版で「未適用デバイス」を一括確認

▼更新プログラム・パッチの配信日時・メッセージを設定し、配布を実行

管理者側でアップデートの配信・適用まで一括で操作できるため、従業員のリテラシーに左右されないパッチ管理が可能です。

操作ログ収集

LANSCOPE エンドポイントマネージャー クラウド版では、ログオン・ログオフログやウィンドウタイトル、ファイル操作ログ、Webアクセスログ、プリントログなど一般的なIT資産管理ツールで実装されている操作ログをリアルタイムに取得できます。取得したログは標準で2年間、オプション導入で最大5年まで保存可能です。

情報漏洩に繋がりそうな従業員の不正操作を、早期に発見し、インシデントを防止することが可能です。

詳しい機能は、以下のページよりご覧ください。

関連ページ

IT資産管理・MDMツール「LANSCOPEエンドポイントマネージャークラウド版」について

まとめ


本記事では「情報セキュリティ3要素」をテーマに、その概要や対策について解説しました。

▼この記事を要約すると

  • 情報セキュリティの3要素とは、機密性・完全性・可用性を指す
  • 3要素のうちどれか一つの要素だけを高めてしまうと、利便性や生産性が低下するだけでなく、逆に情報漏洩のリスクが高まってしまうため、機密性、完全性、可用性をバランスよく維持する必要がある
  • 情報セキュリティリスクの評価と管理は、企業が情報セキュリティを維持し、強化するために不可欠なプロセス
  • リスクアセスメントが必要な理由は、社内の取引先や顧客データをリスクから守るため
  • 情報セキュリティを確保するためには、情報セキュリティ基本方針情報セキュリティ対策規定情報セキュリティ対策手順書などの3つの文書を策定する必要がある
  • 情報セキュリティの具体的な対策としては、「サイバー攻撃対策の強化」「パスワード管理の徹底」「社内教育の実施」などが挙げられる

組織は機密性、完全性、可用性のバランスを適切に保ちながら、セキュリティリスクに対処するための戦略を策定し、実施していきましょう。