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OAuthとは?仕組みやメリット・注意点を解説

Written by WizLANSCOPE編集部

OAuthとは?仕組みやメリット・注意点を解説


OAuthとは、ユーザーがIDやパスワードといった認証情報を外部のサービスに直接渡すことなく、第三者のアプリケーションに対して、特定の機能や情報へのアクセス権限を安全に委譲するための仕組みです。

OAuthを活用すると、複数のWebサービスを連携させて利用できるようになり、サービスごとに認証情報を入力する手間を省けます。また、パスワードを外部サービスと共有する必要がないため、情報漏洩などのセキュリティリスクを低減できます。

本記事では、OAuthの概要やメリット・デメリット、安全に利用するための対策などを解説します。

▼本記事でわかること

  • OAuthの概要
  • OAuthとOpenIDやSAMLとの違い
  • OAuthのメリット・デメリット
  • OAuthを安全に利用するための対策

「OAuthとはどのような仕組みなのか」「導入することでどのような効果が得られるのか」などを知りたい方はぜひご一読ください。

OAuthとは


OAuth(オーオース)とは、複数のWebサービスを安全に連携させるための認可の仕組みです。

通常、Webサービスを利用する際には、サービスごとにIDとパスワードを入力して、本人確認を行う必要があります。

しかしOAuthを利用すると、複数のWebサービスを連携させて利用できるようになり、サービスごとに認証情報を入力する手間を省くことができます。

具体的な例として、写真共有サービスに画像をアップロードすると、自動的に自身のSNSアカウントへ、「写真共有サービスに新しい写真を投稿しました」というメッセージと該当ページへのリンクが投稿される機能が挙げられます。

このようなサービス連携は、OAuthによって実現されています。

また、スマートフォンで新しいアプリを起動した際に表示される「Googleアカウントでログイン」などの選択肢も、OAuthを利用した仕組みの一例です。

OAuthを活用することで、外部サービスに対してIDやパスワードといった認証情報を直接入力することなく、必要な範囲のアクセス・操作権限のみを委譲できます。

これにより、パスワードを他社サービスと共有するリスクを避けながら、便利なサービス連携が可能になります。

このようにOAuthは、ユーザーと開発者の双方にとって、安全性と利便性を両立できる優れた仕組みといえるでしょう。

OAuth1.0とOAuth 2.0の違い

OAuthには、OAuth1.0とOAuth 2.0の2つの主要なバージョンがあり、機能面やセキュリティ面に違いがあります。

まずOAuth1.0では、「リクエストトークン」と「有効期限が長いアクセストークン」の2種類のトークンを使用しています。

有効期限が長いアクセストークンは、再認可の回数を減らせるという利点があるものの、第三者に盗聴された場合に悪用されるリスクが高まるという課題がありました。

こうした課題を踏まえ、OAuth2.0では「有効期限が短いアクセストークン」と「リフレッシュトークン」を組み合わせて利用する仕組みが採用されています。

これにより、万が一アクセストークンが漏洩した場合でも、被害を最小限に抑えることが可能になります。

またOAuth1.0では、すべてのAPIリクエストに対して署名の生成が必要でしたが、OAuth2.0では署名の生成が不要です。

その代わり、OAuth2.0では、TLS/SSL(HTTPS)の使用が必須とされており、通信経路上でトークンが盗聴されるリスクが低減されています。

なお、OAuth1.0からOAuth2.0への単純なアップグレードはできないため、これから新しくOAuthを導入する場合は、最初からバージョン2.0を選択することが一般的に推奨されます。

OAuthが必要とされる背景


OAuthが必要とされるようになった背景には、Webサービスの急激な増加があります。

近年では、仕事・プライベートを問わずに、複数のWebサービスを同時に利用することが一般的になっています。

こうした状況に対応するため、「OpenID」による認証の共通化が進み、サービスごとに個別にログインの手間は軽減されました。

しかし、OpenIDはあくまで「ログインすること(認証)」を目的とした仕組みであり、サービス間で機能を連携させるための権限管理には対応していませんでした。

そこで登場したのが、本記事のテーマである「OAuth」です。

OAuthはユーザーの本人確認に加えて、「どの操作まで許可するか」という権限(認可)の委譲を行う仕組みです。

現在のWebサービスでは、APIを介したサービス連携が標準となっており、OAuthは、そのAPIに対する利用許可を安全に制御する役割を担っています。

API連携が増えるほど、適切な認可手段が不可欠となります。

この流れの中でOAuthは、安全かつ柔軟に権限管理を行える仕組みとして、Webサービスに欠かせない基盤技術として定着しています。

OAuthの仕組み


OAuthが認可を行う基本的な流れ・仕組みは以下の通りです。

  1. クライアントが認可サーバーに対し、アクセストークンの取得を要求する
  2. 認可サーバーは要求内容をユーザーに提示し、許可するかどうかを確認する
  3. ユーザーが同意すると、認可サーバーからクライアントへアクセストークンが発行される
  4. クライアントはそのアクセストークンを添えて、リソースサーバーに情報提供を依頼する
  5. トークンが正当であることが確認できれば、リソースサーバーは必要な情報のみを返却する

この一連の流れにより、クライアントはユーザーのIDやパスワードを直接扱うことなく、処理を完了できます。

アクセストークンは「許可証」のような役割を持ち、利用できる使用範囲や有効期限があらかじめ制限されています。

そのため、仮にこのトークンが第三者に取得された場合でも、不正ログインやアカウント乗っ取りといった被害を最小限に抑えることが可能です。

この仕組みによって、OAuthは高い安全性と柔軟な権限管理を両立しています。

OAuthとOpenIDの違い


OAuthとOpenIDはいずれも、インターネット上でユーザー情報を安全に扱うための仕組みですが、目的は明確に異なります。

それぞれの役割は以下の通りです。

OAuth ・「何をしてよいか」を許可する仕組み(認可)
OpenID ・「誰であるか」を証明する仕組み(認証)

OAuthは、サービス間で操作権限を安全に受け渡すことを目的としています。

例えば、外部アプリが別のサービスのデータにアクセスする場合、利用者が許可した範囲の操作のみを行えるように制御します。この時、IDやパスワードそのものを外部サービスと共有しない点が大きな特徴です。

一方で、OpenIDはユーザー本人であることを確認するための認証の仕組みです。

外部サービスにログインする際に、既存のアカウント情報を使って本人確認を行う用途で利用されており、ログイン手続きを簡略化することを主な目的としています。

このように、OpenIDは「認証」を担い、OAuthは「認可」を担います。

両者は競合する技術ではなく、役割が異なるため、組み合わせて利用されるケースも多く見られます。

OAuthとSAMLの違い


OAuthとSAMLは、用途および設計思想が異なる技術です。

SAMLは、認証結果を安全に受け渡すことを目的とした仕組みで、サービス提供者と認証基盤の間で、「誰がログインしたか」という情報をやり取りします。

そのため、企業内システムや業務システムなど、厳密な認証管理やシングルサインオン(SSO)が求められる環境で多く採用されています。

一方で、OAuthは操作権限の委譲に特化した仕組みです。

OAuth自体は本人確認を行わず、あくまで「何をしてよいか」を制御することを目的としており、認証については別の技術に任せる前提で設計されています。

OAuth ・「何をしてよいか」を制御することを目的とした技術(認可)
SAML ・「誰がログインしたか」という認証結果をやりとりする技術(認証)

近年では、OAuthと認証の仕組みを組み合わせた「OpenID Connect」が広く採用されており、認証と認可を分離した設計が一般的になっています。

また、扱うデータ形式にも違いがあります。

SAMLはXML形式を用いるため構造が複雑になりがちなのに対して、OAuthは軽量なJSON形式を採用しています。

この違いにより、Web APIとの親和性が高いOAuthは、現在のクラウドサービスにおいて主流となりつつあります。

OAuthのメリット


OAuthを採用することで、主に以下のようなメリットが期待できます。

  • 利便性の向上
  • セキュリティ強化

詳しく確認していきましょう。

利便性の向上

OAuthは、ユーザーのサービス利用を大きく効率化します。

特に効果を発揮するのが、OpenIDと組み合わせて利用されるソーシャルログインの仕組みです。

ソーシャルログインとは、SNSなどの既存アカウントを活用して、他のWebサービスへログインできる機能を指します。

例えば、SNSと同じ認証情報を用いて、クラウドツールや業務用サービスにアクセスするといった使い方が可能です。

この仕組みにより、サービスごとに個別のIDやパスワードを作成・管理する手間が不要となり、複数のログイン情報を記憶・管理する負担を大幅に軽減できます。

また、ログインが簡単かつスムーズになることで、ユーザーの離脱を防ぎ、再訪問率や継続利用率の向上も期待できます。

これは、ユーザーにとっての利便性向上だけでなく、サービス提供側にとっても利用促進につながる大きなメリットとなるでしょう。

セキュリティ強化

OAuthは、セキュリティ面においても高い効果を発揮する仕組みです。

従来のログイン方式では、複数のサービスで同一のパスワードを使い回してしまうケースが少なくありませんでした。

その結果、いずれか一つのサービスから情報が漏洩すると、他のサービスにも連鎖的に被害が及ぶリスクがありました。

一方、OAuthを利用すると、このような認証情報の漏洩リスクを大幅に低減できます。

OAuthでは、ユーザーのIDやパスワードといった重要な認証情報を、連携先の外部サービスと共有しない設計が採用されています。

さらに、OAuthで発行されるアクセストークンには有効期限を設定できるため、万が一悪意のある第三者にトークンが盗まれてしまった場合でも、一定時間が経過すれば、自動的に無効化されます。

この仕組みにより、不正利用可能な期間は限定され、被害の拡大を最小限に抑えることができます。

このように、万が一の事態が発生しても影響範囲をコントロールできる点は、企業にとってもユーザーにとっても大きな安心材料といえるでしょう。

OAuthの注意点・リスク


OAuthの導入にあたっては、多くのメリットがある一方で、事前に理解しておくべき注意点やリスクも存在します。

  • 実装ハードルが高い
  • 運用や設定次第でセキュリティリスクが生じる可能性がある
  • システム依存による業務停止リスクがある

OAuthの導入を検討している場合は、このような注意点・リスクも事前に確認しておくことが重要です。

詳しく見ていきましょう。

実装ハードルが高い

OAuthの導入には、高い技術力が求められます。

OAuthのプロトコルは構造が複雑であり、認可フローの種類や各コンポーネントの役割を正しく理解しないまま実装すると、意図せずにセキュリティ上の脆弱性を生み出してしまう危険性があります。

また、ユーザー体験への配慮も重要なポイントです。

サービス連携時に必要以上の権限を要求してしまうと、ユーザーは不信感を与え、サービス離脱につながる可能性があります。

さらに、アクセストークンの保存場所や更新タイミングの設計も重要です。

安全性と利便性を両立させるには、実装段階での高い専門性が求められます。

セキュリティリスクが生じるケースがある

OAuthは適切に利用すれば非常に安全性の高い仕組みですが、運用や設計を誤るとセキュリティリスクに直結する可能性があります。

特に注意すべきなのは、なりすましによる被害です。

例えば、悪意のあるアプリケーションと連携してしまった場合、アクセストークンを不正に取得され、外部サービス上で本人になりすました操作が行われる恐れがあります。

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システム依存による業務停止リスクがある

OAuthでは、認可サーバーが認証・認可の中心的な役割を担うことから、認可サーバーに障害が発生すると、サービス全体に影響が及ぶ可能性があります。

万が一、認可サーバーが停止してしまうと、ログインやAPI連携が行えなくなり、システム全体が機能不全に陥ることも考えられます。

そのため、冗長構成の採用や障害時の迂回設計など、可用性を確保するための対策が不可欠です。

OAuthを安全に利用するための対策


OAuthを導入する際は、前述のデメリットや潜在的なリスクを回避するための対策が欠かせません。適切なセキュリティ対策を講じることで、OAuthの利便性を保ちながら、安全性を高められます。

ここでは、OAuthを安全に利用するための対策を3つ紹介します。

  • 通信を暗号化する
  • トークンの有効期限を短くする
  • 認可後のリダイレクト先のURLをチェックする

詳しく解説します。

通信を暗号化する

OAuthにおいて、通信の暗号化は最も基本的かつ重要なセキュリティ対策です。

アクセストークンは、いわばサービスへの「入場券」のような存在であり、これが第三者の手に渡ると、正規のユーザーになりすましてデータへ自由にアクセスされてしまう恐れがあります。

このようなリスクを防ぐため、OAuthを利用するすべての通信経路では、必ずHTTPSプロトコルを使用して暗号化する必要があります。

HTTP通信のままでは、トークンが盗聴される危険性が高まります。

また、トークンの保管方法にも十分な配慮が必要です。

アクセストークンは、暗号化されたストレージや、専用の安全な保管機能を使って保存し、アプリケーション内に平文のまま残さないようにしましょう。

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トークンの有効期限を短くする

トークンの有効期限を適切に設定することは、被害を最小限に抑えるための有効な対策です。

有効期限を長く設定してしまうと、万が一トークンが漏洩した際に、長期間にわたって不正利用されるリスクが高まります。

そのため、アクセストークンの有効期限は、できるだけ短く設定することが推奨されます。

短い有効期限を設定することで、仮にトークンが盗まれたとしても、不正利用できる時間は限定され、被害の範囲を一定の範囲内に抑えることが可能です。

認可後のリダイレクト先のURLをチェックする

OAuthの認可処理では、認可サーバーが処理結果をリダイレクトという形で指定されたURLへ返送します。

しかし、このリダイレクト先URLが、悪意のあるサイトにすり替えられてしまうと、認可コードやアクセストークンを含む重要な情報が攻撃者の手に渡る危険性があります。

このような脅威を防ぐためには、あらかじめ許可された正規のリダイレクト先URLのみをリストに登録しておき、それ以外のアドレスへはリダイレクトできないよう制限をかける設定が必要です。

認可サーバー側でリダイレクト先URLの厳密な検証を行うことで、フィッシングサイトへの誘導やトークンの横取りといった攻撃を効果的に防止できます。

まとめ

本記事では「OAuth」をテーマに、その概要やメリット・デメリット、安全に利用するための対策などを解説しました。

本記事のまとめ

  • OAuth(オーオース)とは、複数のWebサービスを安全に連携させるための認可の仕組み
  • OAuthは「何をしてよいか」を許可する仕組みであり、OpenIDは「誰であるか」を証明する仕組みという違いがある
  • OAuthには、「実装ハードルが高い」「セキュリティリスクが生じる」「システムに依存してしまう」といった注意点があるため、導入時には十分な検討が必要
  • OAuthを安全に利用するためには、「通信の暗号化」「トークンの有効期限の適切な設定」「認可後のリダイレクト先の厳密な管理」などのセキュリティ対策を行うことが欠かせない

OAuthを活用することで、外部のサービスに対して、IDやパスワードを直接入力することなく、必要な範囲のアクセス・操作権限を安全に委譲できます。

一方で、導入や運用を誤ると、利便性の高さが返ってリスクにつながる可能性もあります。

安全性と利便性を両立させるためにも、OAuthの仕組みや役割を正しく理解したうえで、自社の利用目的に適した形で、導入・運用していくことが重要です。