導入事例CASE
国内TOPシェアの錠前メーカーがLanScope CatでPC1,500台を管理
セキュリティを強化し、社員のサービス残業を削減する取り組みとは
美和ロック株式会社
基本情報 |
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概要 | グローバル・スタンダード化の波が犯罪分野にまで及ぶ社会状況の変化とともに、防犯に対するニーズは高まる一方だ。 美和ロック株式会社は、そのニーズに最先端のセキュリティシステムで応え続け、建築用錠前の国内シェア60%以上を誇る。金属製のいわゆる「シリンダー錠」だけではなく、電気錠・生体認証・スマホによる認証など、その技術は常に進化しつづけている。 2015年に設立70周年を迎え、企業理念である『高品質な製品をお客様にお届けすることで、安全と安心を提供し、快適な暮らしが送れるように、立派に社会貢献を果たす』を社員1人ひとりが厳しく自覚し、全社一丸となって、より高品質な製品・サービスを提供。ロックのリーディング・カンパニーとして、安心で快適な社会づくりに貢献している。 |
「現在、情報システム部は販売部門担当(11名)と工場部門担当(9名)の20名で構成しており、社内のIT関連全般に携わっています。社内ITインフラの整備や業務が滞りなくできる環境を作ることをミッションとして、ヘルプデスク業務や、新規導入PCのセットアップ、社内開発ベンダーのコントロールなど業務は多岐にわたります。」
そう語るのは情報システム部の岩田主任だ。同社の事業拡大につれて、現在約1,500台に増えたPCの管理を担当している。日々業務をこなしていくなかで、ハード・ソフトともにIT資産が肥大化していく現状に対して、基幹システムの最適化・スリム化を目指しており、システム企画立案・実行・準備など行っているという。
現在では社内IT資産の可視化、セキュリティ対策を実現できている同社だが、以前は課題があったと岩田氏は話す。
「個人情報保護法施行前の2003年に、個人情報・企業機密情報ともに危機管理の必要性が叫ばれる時代でした。弊社では個人情報だけでなく、製品の開発にかかわる企業機密情報など守るべき情報があり、対策の必要性を感じていました。ただ当時は社内のどこに業務PCが何台あるかもわからない状況だったので、まずは現状把握からと考え、IT資産管理・セキュリティ対策ができるツール導入の検討・選定を始めました。」岩田氏は当時をそう振り返る。
PCを管理するためのツール導入の必要性は現場だけでなく、経営層も感じていたため、製品選定準備に進むまでは時間がかからなかったという。懇意にしている販売店に声をかけ、同社の課題を解決できる製品として、複数の製品が提案にあがってきた。
「いくつかの同じような製品をみましたが、他のツールはセキュリティのための『禁止』機能ばかりでした。LanScope Catは『禁止よりも抑止』というコンセプトで、『PC操作ログを取得する=見られていることによる抑止力』に注力している唯一の製品でした。また、製品導入前にエムオーテックス主催のLanScopeユーザー会に参加して、すでに導入されている方の話を聞いて、導入イメージと安心感をもつことができた点も大きかったです。」
こうしてLanScope Catの導入が決定した。導入後は、エムオーテックスのサポート体制にも満足しているという。機能強化のためのバージョンアップも頻繁にあり、改修要望に対してもツールや次期バージョンで実装する点などを高く評価していた。
「LanScope Cat導入後は、まず使われていない古いPCの整理にあたりました。コンソールから未稼働PCを洗い出し、当時で約100台程度の古いPCの回収・廃棄を行うことができました。現在、新規PC購入はワークフローの申請制をとっており、LanScope Catの検知機能で新規にクライアントがあがってきたら申請書と照らし合わせて、問題がなければ登録するという運用を行っています。毎日コンソールを確認していますが、新規にPCが上がってくるのは週に一台あるかないかぐらいですね。」
そう語るのは小菅次長だ。資産管理は主に小菅氏がひとりでチェックしているという。
「全国15拠点、約1,500台の環境を1人で管理するうえで、ツールの使い勝手は重要です。Ver.8.0でUIが大きく変わり最初はちょっと戸惑いましたが、シンプルですっきりしたメニューになったのと、すべて同じ操作(ステップ)で使えるので、悩まず目的の画面にたどりつけるのは使いやすくていいですね。」
また、PCだけでなく煩雑になりがちなソフトウェアライセンス管理もLanScope Catを活用し、ライセンス数の超過に注意しているという。
「ActiveDirectoryで勝手にアプリケーションをインストールできないよう制御し、インストールが必要な場合は申請を上げてもらい一時的に許可する運用を行っています。ただ、各部門でパッケージを買っていることがあるので、トータル管理が非常に難しいのが課題です。マイクロソフト社のライセンスポリシー・解釈などについて、素人では難しい点があります。ここをうまく管理する方法を現状検討しています。」
IT資産管理とセキュリティ対策のために導入したLanScope Catだが、想定していなかったプラスαの効果も出している。「残業時間の削減・休日出勤の可視化に操作ログを活用しています」そう語るのは岩田氏だ。
エムオーテックスが提供するLanScope Catを使ったPC稼働時間の集計ツールを活用し、社員の実業務時間を総務部門の担当者が確認。その後各部門の上長に業務状況を配信するという運用をしている。
「特に、時間外の端末稼働時間が規定を超えた社員は注意喚起し、残業申請と照らし合わせて、サービス残業になっていないか確認、また早く帰るように促しています。これらの運用は、コンプライアンス上問題となるサービス残業の削減と、会社全体の残業意識の改革につながりました。」
「休日出勤についても、申請書ベースだけでは把握できなかった現状が可視化できるようになりました。社員が休日出勤すると、時間外の出勤として人事にアラームメールが飛ぶ仕組みを設定。この出勤が上長からの指示によるものか、社員の私的な判断によるものかを確認し、上長未指示の出勤であれば、部門長から社員へ注意喚起が行われます。」
ワークライフバランスが重視されるようになった現代、情報システム部では今まで見えていなかった部分を可視化し、社員を守るための働きかけをシステム分野から精力的に行っている。 今後対策を強化するために、必要に応じて会社内の電気を一定時間で消して会社全体で早く帰るなど、さらなる取り組みを検討しているようだ。
「またLanScope Catで、設定した時刻に自動でパソコンの電源を落とす運用をはじめました。管理コンソールで、電源管理だけができるアカウントを作成し、総務部が管理することで、業務時間の削減を目指しています。」
「錠前=安全・安心を守るツール」を製造・販売しているメーカーとして、情報システム部門だけでなく、社員全体に対する意識付けも大切な業務だと、岩田氏は語る。
「錠前=安全・安心を守る会社ということもあり、社員のセキュリティ意識を高めるよう日々工夫しています。啓蒙活動として、“情報セキュリティ通信”を情報システム部門で作成し、社内グループウェアを利用して2ヵ月に一回程度PDF配信しています。社員から配信後に反応やコメントがあるので、効果はあると感じています。
また他の取り組みとして、社内の一部申請書に学習教材とテスト問題を添付しています。具体的な例としては、≪スマホでの社内メール閲覧申請≫には、『スマホをなくしたときの脅威は?どこに報告しますか?』などの設問をつけています。」
社内で管理ルールを作るだけでなく、社員の意識を高めるために何をすればよいかという工夫をしていることが会社全体のセキュリティを高めている。また、セキュリティと業務効率の両立が難しい中で、その溝を埋めるために、現場の社員とも事前にうち合わせなどを積極的に行っていることも、スムーズなルール運用につながっているようだ。
※本事例は2015年10月取材当時の内容です。