導入事例CASE

101拠点、1,800台の一元管理を実現

ツール導入だけではない。「ITリーダー」育成で職員のリテラシー底上げを!

宮古島市役所

基本情報
設立
-
職員数
730名 (平成30年4月現在)
管理台数
1800台
業種
官公庁・NPO・団体・協会
URL
http://www.city.miyakojima.lg.jp/
効果/目的
概要 2005年に5市町村が合併して誕生した宮古島市は、大小6つの島(宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島)で構成され、55,000人の市民が暮らしている。生活用水等のほとんどを地下水に頼っており、その現状から宮古島では地下水を守ることと環境作りのため、「エコアイランド宮古島」を宣言。また、毎年国際的規模のイベントである全日本トライアスロン宮古島大会、各種スポーツ団体の合宿等が行われ、島全体が「スポーツアイランド宮古島」としての1面ももつ。
そんな宮古島市を支える宮古島市役所の情報セキュリティの取り組みについてお話を伺った。

宮古島市は2005年に5市町村が合併したが、庁舎を残す「分庁方式」を採用していることもあり、現在もそれぞれの庁舎はもちろんそこでの役割・機能も残した形で運営している。また、それぞれの出先機関(例えば消防や港湾課、など)が庁舎とは別に存在し、さらに学校や幼稚園なども管理拠点の対象となるため、全ての機関を含めると拠点数は101拠点になるという。


▲企画政策部情報政策課 課長補佐兼情報システム係長 池間 幸生 氏

「平成23年まではネットワークを各課バラバラで運用していたため、PCなどの環境も様々でした。それを平成24年度に情報政策課が取りまとめることになり、それと同時に管理ツールとしてLanScope Catを導入しました」と語るのは、企画政策部情報政策課 システム係 補佐 兼 係長の池間氏だ。

現在ネットワークは大きく「情報系」「教育系」「基幹系」「インターネット接続系」に分けられ、LanScope Catはこの中の「情報系」と「教育系」に導入している同市。

情報系と教育系ネットワーク内の端末台数は合計1,800台で、それらを8名の職員で管理しているが、拠点数も多いため、それらの管理や日々の問い合わせ対応の負担は大きい。

そのため、ヘルプデスクに一報が入ると、ベンダーさんに連絡をして近い方に向かってもらうという連携体制をつくり、日々の対応にあたっているそうだ。

また、日々の対応の中でLanScope Catのリモートコントロール機能をよく活用していると語るのは、同じく企画政策部 情報政策課 情報システム係の藪野氏。

「職員のITリテラシーに差があることもあり、何かあるとヘルプデスクに問い合わせが入りますが、電話だけでは正確な現状を把握することが難しいことが多くあります。そんなときにLanScope Catのリモートコントロール機能が本当に便利です。多いときには、1日10回以上使うこともあります。遠隔からでもトラブルが発生したPCを直接見ることができるので、解決までの工数を大幅に削減できています。(藪野氏)

ネットワーク構成図
▲ネットワーク構成図

最近では、職員のITリテラシー向上を目的に、まずは各課に「ITリーダー」という役割を設け、その方を中心にセキュリティの啓蒙やIT知識を広げていく活動をしている。その背景には自治体強靱化計画により、これまで使えていたものやできていたことが禁止され、不満が上がったことがあるという。

もちろん市民の大事な個人情報を取り扱うために必要な対策ではあるが、職員の立場からすると業務効率が一気に悪くなったとも言える。セキュリティ対策を進める上では、どこの企業や自治体もこの課題に頭を悩ませているが、そこで同市がとった施策が「ITリーダー」の育成なのだ。

「なぜこのような不満が出るのかというと、その背景や目的がきちんと浸透していないことが挙げられます。業務の中にもICTがどんどん入ってきて便利になっていますが、本来それと同時に生まれる新たなリスクについても理解してもらわなければいけません。しかし、自治体強靱化施策が一気に行われたことで、その辺りが追いついていないのです。ですから、まずは各課に“ITリーダー”を作り、その方を中心に定期的な勉強会を実施するなどの取り組みを行い、職員への浸透を図っています」と池間氏は語る。

各課から2名を選出、合計約60名を対象に「ITリーダー」の育成を進めている同市。勉強会ではセキュリティのリスクや対策を学ぶだけでなく、IT知識などの共有も行なっており、ゆくゆくは簡単なPCのトラブルなどはヘルプデスクではなく、まずは各課で対応・クローズできることを目指しているそうだ。

数年に1回は人事異動がおこなわれる自治体では、突然情報システム部門に異動になることもあるため、職員全体のITリテラシーの底上げは特に必須と言えるのかもしれない。

企画政策部情報政策課 情報システム係 藪野 真教 氏
▲企画政策部情報政策課 情報システム係 藪野 真教 氏

ネットワーク強靱化を行う前、年に数回ウイルス感染が発生したことがあったという。

「まだネットワークを分離する前のことです。ある拠点のPCがウイルスに感染し、そのPCのデータ半分が暗号化されてしまいました。幸いにも重要なデータは保管されていなかったことと、すぐにネットワークから切り離したため、それ以上被害が広がることはありませんでしたが、実はそのあと原因を調査する際、LanScope Catのログのおかげで、早期に原因特定をすることができました。」と藪野氏は当時を振り返る。

感染が始まった付近からログを遡ってみると、インターネットで掲示板を見ていたところから、別サイトに誘導され、そこで感染をしたという形跡が残っていたそうだ。

そのさらに数年前も同様のウイルス感染が起こったことがあるそうだが、その際はまだLanScope Catを導入しておらず、原因を特定するのに3日以上かかったというが、LanScope Catのログを使ったことで、半日もかからずに原因特定できたことは大きいと二人は口をそろえる。

「現在では、不要なインターネットの接続ができないようになっており、メールも無害化しているので、感染のリスク自体は減らすことができていると思います。しかし、最近ではそれらをすり抜けてやってくるものもあると聞いているので、やはりそのようなものに引っかからないためにも、“怪しい”と気づける知識を持ち、意識を高めていくことが大切だと感じます。(藪野氏)

操作ログ管理画面
▲操作ログ画面

昨年から2026年に向け、「心かよう 夢と希望に満ちた島 宮古(みゃーく)」を基本理念に「産業振興と雇用創出」の大きな計画を進めている宮古島市。2011年の震災以降、各企業が開発拠点などを沖縄に移す動きが増えている。また、昨今の「働き方改革推進」により、サテライトオフィスやテレワークの導入を進めている企業も増えている。

また宮古島市は、2018年7月、同市で開催されたセキュリティ堅牢化技術の研鑽を目的としたHardening Projectの競技会に開催協力している。(同イベントはMOTEXもスポンサーとして参加しており、今回は12回目の開催)

競技中には、宮古島市職員のITリーダーの皆さんが競技を観戦される一幕もあり、普段目にすることのないサイバー攻撃や実際に攻撃を受けた後の対応を目の当たりにし、驚きを隠せない様子だった。

「宮古島市では2026年における将来人口の目標を50,000人とし、2021年までに情報通信関連企業の立地21社、雇用者数243人の増加を目標に掲げています。これまでそのための調査などを行なってきましたが、今年度には施設の整備に入るところです。その後は積極的にサテライトオフィスの企業誘致などを行なっていく予定です。そうなると、受け入れる我々としてももっと盤石な基盤を作っていく必要があると考えています。離島ということで、ITに疎い方も少なくはありませんが、“ITリーダー”を中心に底上げをはかり、市民の方が快適に、そして安心してくらせる、そんな街づくりをしていきたいですね」と池間氏は語る。

※本事例は2018年7月取材当時の内容です。

ご利用された LANSCOPE エンドポイントマネージャー オンプレミス版 の機能構成について

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