IT資産管理

エンジニアがテレワーク(在宅勤務)に取り組んだ課題と解決策

Written by 小沼 祐貴

LanScope シリーズの開発に携わって6年。開発スピード/製品品質の向上を目的とした「開発しやすい環境」を追い求めながら活動しています!

エンジニアがテレワーク(在宅勤務)に取り組んだ課題と解決策

新型コロナウイルスの感染拡大防止や働き方改革により、テレワーク(在宅勤務)を採用する企業が増えております。
多くの企業でテレワーク(在宅勤務)を導入するにあたり、IT環境の整備や生産性の低下、コミュニケーション・作業の連携不足が懸念されてます。

さらに、エンジニアがテレワーク(在宅勤務)をする際、下記のようなエンジニアならではの課題に悩まれている方も多いのではないでしょうか

●上長やチームとのやりとりは?
●タスク管理の仕方は?
●開発環境は?
などなど

そこで、本記事ではMOTEXのエンジニアがテレワーク(在宅勤務)を実践して感じた課題とその対策をご紹介します。

エンジニアがテレワーク(在宅勤務)実施に至るまで

テレワーク(在宅勤務)の実施背景

新型コロナウイルスの影響はMOTEXも例外ではなく、「2週間以内に全社員のテレワーク経験」が会社指示で降りてきました。
MOTEXではペアプログラミング※1や、モブプログラミング※2を採用していることもあり、お互い顔が見えない状況でのコミュニケーションに不安要素がある状態でした。

※1ペアプログラミング…2人のエンジニアが共同でプログラムを書いていく開発スタイル。相乗効果により設計の質が向上するなどの効果が期待される。
※2モブプログラミング…3名から5名程度のエンジニアが1つのモニター、1つのPCを共有して行う開発手法。知識・ノウハウの共有や進捗を常に全体に共有できる点がメリットとされている。

テレワークの実施準備

事前にチーム内でエンジニアがテレワーク(在宅勤務)を実施する際の課題を洗い出すために以下の準備を行いました。

●コミュニケーションツールの選定
弊社では社内規定のツールとしてChatworkとZoom、Backlogがあるため、まずはこの状態からスタートすることにしました。

●”プレ”テレワークを実施する
プレテレワークでは、普段は社内のミーティングスペースで互いに顔が見える状態で行っているプログラミングを、あえてペアとは物理的に離れた状態を作ってペアプログラミングを実施しました。

プレテレワークで可視化された課題とその対策

プレテレワークを行ってみた結果、やはり一番の課題はコミュニケーションの取りづらさでした。
具体的には以下のようなコミュニケーション課題がありました。

●朝夕礼や進捗共有の際にホワイトボードが使えない
●MTGが連続する際に、Zoomの接続先がわからなくなる
●3人以上でZoomを使用すると40分制限が発生する

これらの課題に対する対策としてチーム内で以下のルールをつくりました。

●朝夕礼や進捗共有ではBacklogのガントチャートやカンバンを使用する
●定期MTGではチャットワークの概要欄にスケジュールされたZoomの招待URLをメモする、突発MTGでは主催者がChatworkにZoomの招待URLを通知する
●Zoomは2人であれば時間制限がかからないため、モブではなくペアでの開発とする

設計の際などホワイトボードを使えないときの課題は残るものの、プレテレワークにて事前に課題を洗い出すことで、あらかじめルールを整備することができました。
とは言うものの、実際にテレワークを始めると予想外のことも発生しました。
Backlogのガントチャートやカンバンを使用して進捗共有を実施

Zoomを活用したペアでの開発

テレワーク開始:プレテレワークで検知できなかった課題

●チーム外の人とのコミュニケーション

プレテレワークでチーム内のコミュニケーションにばかり気がいってしまい、プロジェクトメンバーとのコミュニケーションではルールが通用せず、打ち合わせのセット等で情報連携しづらい状況を発生させてしまいました。普段から接点のある社員まで巻き込んでプレテレワーク等の準備をすることをオススメします。

●開発ツールが脅威として隔離されてしまった

弊社では、全社にCylancePROTECTが導入されております。当時はEmotet対策でPowershell禁止のルールが適用されているのですが、テレワークが始まって数日後、新機能開発のためにツールを導入したところ、初期セットアップでCylancePROTECTによるPowershell禁止が行われてしまいました。

検体分析の結果、安全なツール(過検知であった)と判断されたためホワイトリスト登録によりその後の開発には支障ありませんでしたが、このような予想外の出来事も発生します。

また思いもよらぬ検知で戸惑いもありましたが、テレワークであったとしても脅威からPCを保護してくれるCylancePROTECTの性能を身をもって評価できた良い機会でした。

テレワークを実施した感想(まとめ)

弊社の開発スタイルではテレワーク環境においても不便を感じることなく、普段通りの業務を遂行できたのではないかと感じています。
またテレワーク導入前は嫌厭していたチームメンバーも、現在ではテレワークを積極的に活用するほどです。
下記のように一般的に言われているテレワークの恩恵は、エンジニアであっても例外なく享受できると思います。

●通勤にかかる時間を家事や育児、介護などに充てることができる
●自分に合った環境で作業ができる
●集中して仕事ができる

ただし、テレワークの効果を発揮できたのは、プレテレワークにて課題を可視化し、ルールを決める、というフローがあったからこそだと思います。
企業ごと、チームごとで発生する課題の性質は異なりますが、これからテレワークを実施される場合はプレテレワークなどの事前準備を強くオススメします。