Written by WizLANSCOPE編集部
目 次
「Cookie(クッキー)」とは、ユーザーがWebサイトを閲覧した際に、そのサイトからユーザーのPCやスマートフォンなどのWebブラウザに送られて、ブラウザ内に一時的に保存されるデータファイルのことです。
Cookieを利用すると、Webサイト上で入力した情報やログイン情報などが自動で保存されるため、再ログイン・再入力の手間を省くことができます。
ただし、Cookieに保存された情報が盗まれてしまうと、個人情報の流出や不正ログインにつながる恐れがあるため、利用する際は注意が必要です。
本記事では、Cookieのメリットやリスク、削除方法などを解説します。
- Cookieのメリット
- Cookieが抱えるリスク
- Cookieの削除方法
- Cookieのセキュリティリスクへの対策方法
「Cookieとは何か」「利用時にどのような危険性があるのか」などを知りたい方はぜひご一読ください。
Cookieとは
「Cookie(クッキー)」とは、Webサイトを閲覧した際に、そのサイトから、ユーザーのPCやスマートフォンのWebブラウザに送られ、ブラウザ内に保存されるデータファイルのことです。
このデータは、PCやスマートフォンなどのデバイスに保存され、サイトを離れた後もデバイスに残り続けます。
Cookieに保存されるデータの例としてはログイン情報などが挙げられ、次に同じサイトを訪れたときに、再ログインや再入力する手間を省くことができます。
Cookieが持つ主要な機能は以下の通りです。
- 行動追跡:ユーザーのWebサイト上での行動を記録する
- 設定情報の保持:言語やテーマなど、サイト訪問時の設定を保存する
- 識別情報の記憶:訪問履歴や個別識別情報を管理する
Cookieには、入力情報が自動で保存されるなどの利便性がある一方で、セキュリティリスクも存在します。
例えば、保存された情報が不正アクセスやマルウェアによって盗まれた場合、個人情報の流出や不正ログインにつながる恐れがあります。
Cookieをセキュアに利用するためには、メリット・デメリットの双方を理解した上で、適切にブラウザの設定を調整したり、Cookieを削除したりする必要があります。
キャッシュとの違い
Cookieと混同しやすい仕組みに「キャッシュ」が挙げられます。
Cookieとキャッシュは、保存する情報や目的が下記のように異なります。
Cookie | キャッシュ | |
---|---|---|
保存する情報 | ID・パスワードなどのユーザー情報や設定情報 | Webページの画像やHTML、CSSなどのページ情報 |
目的 | サイト利用時の利便性の向上 | ページの表示速度の向上 |
キャッシュが一時的に保存できるのは、あくまでWebページを構成するデータです。
初めて訪問したWebサイトで、ページを表示するためには、画像やHTML、CSSなどの情報をサーバーからダウンロードする必要があります。
このダウンロードした情報を「キャッシュ」として保存しておくと、再訪問時には一部の情報だけをダウンロードすればよいため、Webページをスピーディに表示できます。
一方で「Cookie」は、ログイン時に必要なID・パスワードだけでなく、言語設定などのユーザー固有の設定情報を保持する仕組みです。
これにより、再ログインや再設定の手間を省くことができます。
Cookieとキャッシュの違いを理解しておくことで、ブラウザの設定変更や削除をする際に、目的に応じた適切な判断が可能になるでしょう。
Cookieの種類
主なCookieの種類は以下の通りです。
- ファーストパーティーCookie
- セカンドパーティーCookie
- サードパーティーCookie
それぞれ発行元や特徴が異なるので、確認していきましょう。
ファーストパーティーCookie
ファーストパーティーCookieは、ユーザーが訪問しているWebサイト自身によって発行されるCookieです。
例えば、ネットショッピングでカートに入れた商品情報や、言語設定、名前・住所などの入力情報などが含まれます。
ファーストパーティーCookieは、各Webサイトが個別に発行するため、発行元のドメイン以外では利用できない特徴があります。
セカンドパーティーCookie
セカンドパーティーCookieは、他社のWebサイトで発行されたCookieを、提携先の企業が、データ共有やサービス連携の目的で利用するものです。
第三者が情報を扱うため、利用する際は、ユーザーの同意や利用目的の明示が欠かせません。
もし透明性を欠いた場合、プライバシー侵害の懸念につながるため注意が必要です。
サードパーティーCookie
サードパーティーCookieは、ユーザーが訪問しているサイトとは異なるドメインによって発行されるCookieです。
複数のドメインにまたがってユーザーの行動を追跡できる特徴があり、インターネット広告業界では、この特徴を利用して、個人の興味や関心に基づいた広告配信を実施しています。
サードパーティーCookieは、ユーザーが閲覧したページや検索した内容を分析し、その人に最適化された広告を表示するターゲティング広告の仕組みに欠かせない技術です。
また、サードパーティーCookieは、広告だけでなく、Webサイトの利用状況分析や行動パターンの解析にも広く利用されています。
マーケティング担当者は、サードパーティーCookieで得た情報をもとに、より効果的な戦略を立案したり、ユーザーのニーズに応える商品やサービスの開発に役立てたりします。
一方で、サードパーティーCookieの利用には、プライバシー保護の観点から十分な注意が必要です。
近年では、透明性の高い運用方法やユーザーの選択権を尊重する仕組みの導入が、業界全体で求められるようになっています。
Cookieを利用するメリット
Cookie活用の最大のメリットは、Webサイト利用における効率化とユーザー体験の向上です。
ログイン情報を保存しておけば、IDやパスワードを毎回入力する必要がなくなり、すぐに作業をはじめられます。
配送先住所やクレジットカード情報といった情報も保持できるため、例えばオンラインショッピングでは、購入までの流れを短縮でき、ストレスのない利用が可能になります。
また、Cookieはユーザー体験を向上させるだけでなく、企業にも、購入率の向上や離脱防止といったメリットをもたらします。
Cookieに潜むリスク
Cookieは、Webサイトの利用を快適にする一方で、以下のようなセキュリティリスクも存在します。
- 情報漏洩
- プライバシーの侵害
- セッションハイジャック
詳しく確認していきましょう。
情報漏洩
前述の通り、Cookieを利用すると、IDやパスワードといった認証情報をブラウザに保存できます。
この仕組みは利便性が高い一方で、万が一Cookieが窃取されてしまうと、不正アクセスのリスクが高まります。
さらに、アカウントに登録された個人情報の漏洩も懸念されます。
プライバシーの侵害
Cookieの行動追跡は、ユーザーの興味や閲覧履歴を詳細に把握でき、広告配信の最適化が図れる一方で、過剰な追跡はプライバシー侵害とみなされる可能性も否定できません。
多くのWebサイトや広告配信サービスは、Cookieのデータを利用してパーソナライズ広告を表示しています。
しかし、ユーザーによっては、自分の行動が常に監視されているような感覚を持ち、不快さや不信感を抱くケースもあるでしょう。
近年ではこのようなユーザーの懸念に対応するために、主要ブラウザがサードパーティーCookieを制限する方向に進んでいます。
例えばGoogleは、ChromeにおけるCookieの取り扱いに関する方針を発表し、Cookieの使用についてユーザーが選択肢を持てる仕組みを導入すると発表しています。
透明性と同意の確保は、今後ますます重要な課題となるでしょう。
セッションハイジャック
セッションハイジャックとは、推測や窃取などによって不正に入手した「セッションID」を使って、正規のユーザーになりすましてセッションを乗っ取るサイバー攻撃です。
「セッション」とは、ログインからログアウトまでの一連の行動を指し、この行動を管理するために一時的に発行される識別子が「セッションID」です。
このセッションIDは、Cookieの一部に付与されるため、Cookieが窃取されると、セッション乗っ取りのリスクが高まります。
仮にセッションが乗っ取られると、非公開の個人情報の閲覧や登録情報の改ざんなど、本来は「ログイン後のユーザーだけに許可される操作」が可能になってしまいます。
Cookieの削除方法
前述の通り、Cookieの設定は必要に応じて変更・削除することが可能です。
本記事では、iPhoneとAndroidのCookieの削除方法を紹介します。
iPhoneにおけるCookieの削除方法
iPhoneでCookieを削除する場合、「Cookieと履歴をまとめて削除する方法」と「履歴は残してCookieだけを削除する方法」があります。
「Cookieと履歴をまとめて削除する方法」は以下の通りです。
この方法では、履歴・キャッシュ・Cookieがまとめて削除されます。
- 「設定」を開き、「アプリ」から「Safari」を選択する
- 「履歴とWebサイトデータを消去」を選択する
「履歴は残してCookieだけを削除する方法」の手順は以下の通りです。
- 「設定」を開き、「アプリ」から「Safari」を選択する
- 「詳細」を選択し「Webサイトデータ」へ進む
- 「全Webサイトデータを削除」を選択する
なお、どちらの方法も削除対象となるデータが存在しない場合や、スクリーンタイム機能でWebコンテンツに制限が設けられている場合、削除ボタンがグレー表示となり操作できません。
AndroidにおけるCookieの削除方法
AndroidデバイスでCookieを削除する際は、主にChromeブラウザの機能を利用します。
Androidでも用途に応じて複数の削除方法が選択できます。
すべてのCookieを一括で削除する場合の手順は以下です。
- Chromeアプリを開き、画面右上のそのほかアイコンをタップし、「設定」を選択する
- 「プライバシーとセキュリティ」から「閲覧履歴データを削除」を選択する
- 削除期間を「過去1時間」「全期間」などから選択する
- 「Cookieとサイトデータ」にチェックを入れ、そのほかの項目はオフにする
- 「データを削除」をタップし、確認画面で「削除」を選択する
特定のWebサイトのCookieのみを削除したい場合は、より細かい制御が可能です。
- Chromeで対象のWebサイトにアクセスする
- アドレスバー左側のページ情報アイコンをタップする
- 「Cookieとサイトデータ」を選択する
- 保存されているデータの横にある削除アイコンをタップする
この方法により、必要なサイトの設定を残しながら、不要なサイトの情報のみを選択的に削除できます。
Cookieのセキュリティリスクへの対策
Cookieに潜むセキュリティリスクを知らないまま、業務用デバイスでCookieの許可をしている従業員も少なくありません。
そのため、企業は、従業員が安全に業務を遂行できるように、リスクを低減させる取り組みを講じる必要があります。
ここでは、Cookieの利用に伴うセキュリティリスクを低減する方法を2つ紹介します。
- ブラウザやOSのプライバシー設定をおこなう
- アンチウイルスソフトを導入する
詳しく確認していきましょう。
ブラウザやOSのプライバシー設定をおこなう
ブラウザやOSには、Cookieの利用方法を細かく制御できるプライバシー設定が備わっています。
例えば以下の設定を適用することで、不要なデータの蓄積や行動追跡を防ぐことができます。
項目 | 効果 |
---|---|
サードパーティーCookieのブロック | ほかサイトからの行動追跡の防止 |
Cookieの自動削除設定の有効化 | 不要なデータ蓄積の防止 |
Cookie使用時の確認メッセージ表示有効化 | 必要なCookieの許可・不要な追跡の回避 |
従業員によってセキュリティ強度が異なることがないように、セキュリティポリシーとして、以下の項目を設定することが推奨されます。
アンチウイルスソフトを導入する
情報窃取型のマルウェアがデバイスに侵入すると、保存されているCookieが盗まれ、ログイン情報や個人情報が漏洩するリスクがあります。
このようなリスクを防ぐ方法として、アンチウイルスソフトの導入が効果的です。
従来型のアンチウイルスは、過去に検知された既知マルウェアにのみ対応するシグネチャベースの検知手法をとっており、新種や亜種のマルウェアを十分に検知できない課題がありました。
このような課題に対して、AI(人工知能)を使った次世代型アンチウイルスソフトが登場しています。
「LANSCOPE サイバープロテクション」が提供するAIアンチウイルスは、 AIの活用で、攻撃者が作成したばかりのまだ使われていないマルウェアであっても、ファイルの特徴から判定し、99%の高い検知率※で企業をセキュリティリスクから守ります。
次世代型アンチウイルスソフトであれば、未知のマルウェアによるCookie窃取も、高い精度で防ぐことが可能です。
Cookieを便利に安全に利用するためには、適切なブラウザ設定に加えて、AIアンチウイルスによるマルウェア対策を組み合わせることが有効です。
Webサイトを安全に利用するためにも、AIアンチウイルスを活用し、セキュアな環境整備を目指しましょう。
※Aurora Protect:2024年5月Tolly社のテスト結果より
※Deep Instinct:Unit221B社調べ
Cookieを利用する側が実施すべき対策
次に、Cookieを利用してマーケティング活動や戦略策定をおこなう企業側が実施すべきセキュリティ対策を解説します。
Webサイトを提供する企業においても、Cookieの設定を適切に管理することで、セキュリティリスクの低減につながります。
詳しく確認していきましょう。
脆弱性診断を実施する
セッションハイジャックは、Webサイトのセッション管理の脆弱性を狙って仕掛けられるサイバー攻撃です。
そのため、自社のWebサイトに悪用されそうな脆弱性がないか診断することは、Cookieを安全に利用する上で欠かせません。
脆弱性診断の実施で、セッション管理や暗号化の設定に問題がないかなど、セキュリティ上の欠陥を早期に発見できます。
さらに、脆弱性診断を継続的かつ定期的におこなうことで、Cookie関連のリスクだけでなく、幅広いサイバー攻撃への耐性を高めることが可能です。
Cookie属性を適切に設定する
Cookieは、「どの通信で送るか」「いつまで有効か」など、複数の属性が備わっています。
そのため、この属性を適切に設定することで、セキュリティを強化することが可能です。
代表的な属性は、以下の3つです。
名称 | 内容 |
---|---|
Secure属性 | ・Cookieが、暗号化通信(HTTPS)のときにのみ送信するように制限する属性 ・設定することで、暗号化されていない通信において、Cookieが送信され、盗まれる事態を防げる |
HttpOnly属性 | ・JavaScriptなどのスクリプトから、Cookieへアクセスできないようにする属性 ・設定することで、 Webサイトのセキュリティ上の欠陥につけこんで不正なスクリプトを埋め込み、実行させるXSS攻撃によって、Cookieが盗まれるのを防げる |
SameSite属性 | ・異なるサイトからアクセスがあった際に、Cookieを送信するかどうかを決める属性 ・設定することで、ユーザーの操作を装って、不正なリクエストを送信するCSRF攻撃への対策が可能(一部ケースを除く) |
セッション管理を強化する
「セッション」とは、ログインからログアウトまでの一連の行動を指し、この行動を管理するために一時的に発行される識別子が「セッションID」です。
セッションを適切に管理できていないと、セッションハイジャックが仕掛けられるリスクが高まります。
このリスクを低減させるためには、「アイドルタイムアウト」や「絶対タイムアウト」を用いて、セッションIDの有効期限を短く設定すること、さらに、ログインや登録情報更新のタイミングで、IDを再発行するなどの対応が求められます。
さらに、通常とは異なる不審な挙動を検知した際に、サーバー側でセッションを無効化できる仕組みを整備することも有効です。
適切なセッション管理を実施することで、万が一Cookieが窃取されたとしても、被害を最小限に抑えることができるでしょう。
Cookieのセキュリティリスク対策に「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」
適切に保護されていないCookie情報やセッションIDが第三者に漏洩すると、Webサイトやシステムがサイバー攻撃の標的となる危険性があります。
Cookieを利用してマーケティング活動をおこなう企業・組織が、安全にCookieを利用し、Webサイトを運用するためには、定期的な脆弱性診断の実施が効果的です。
「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」の脆弱性診断では、例えばCookieの窃取により仕掛けられる「セッションハイジャック」の原因となる以下のような脆弱性を、国家資格を持つ専門家が洗い出します。
- セッション追跡パラメータの漏洩
- セキュアでないCookieの使用
- ログアウト後のサーバセッションの長時間にわたる残存
さらに、Webサイトだけでなく、モバイルアプリやWebAPIといった多様な媒体に対して診断を実施し、発見した脆弱性に優先度をつけ、必要な対策を提示します。
「Webサイトを安全に運用したい」「自社サイトのインシデントによって、業務停止や信頼損失などを起こしたくない」という企業・組織の方は、ぜひご活用ください。
また、診断内容を重要項目に絞り、低価格でWebアプリケーションの脆弱性診断を提供する「セキュリティ健康診断パッケージ」もご用意しています。
「なにからすべきか迷っている」「低コスト・短納期で実施したい」方は、ぜひ実施をご検討ください。
まとめ
本記事では「Cookie」をテーマに、メリットやリスク、対策などを解説しました。
本記事のまとめ
- Cookieとは、Webサイトを閲覧した際に、そのサイトから、ユーザーのPCやスマートフォンのWebブラウザに送られ、ブラウザ内に保存されるデータファイルのこと
- CookieはID・パスワードなどのユーザー情報を保存し、キャッシュはWebページの画像やHTML、CSSなどのページ情報を保存するという違いがある
- Cookieは、ログイン情報やサイト上で入力した情報を保持するので、利用することで再ログイン・再入力の手間が省けるというメリットがある
- Cookieに潜むリスクとしては、「情報漏洩」「プライバシーの侵害」「セッションハイジャック」などが挙げられる
- 企業が安全にCookieを利用するためには、「脆弱性診断の実施」や「適切なCookie属性の設定」「セッション管理の強化」が求められる
企業側のCookieの利用は、Webサイトの利用状況分析や行動パターンの解析によるマーケティングに便利に活用できる一方で、適切に管理できていないと、セキュリティリスクが発生します。
情報漏洩や不正アクセスといったリスクを低減させるためにも、Webサイトを運営する企業・組織は、ユーザーが安全にサイトを利用できるように、定期的に脆弱性診断を実施し、攻撃者が付け入るすきを与えないようにしましょう。
「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」の脆弱性診断は、システムやネットワークなどを調査し、システム上の脆弱性やハッキングを受ける可能性があるセキュリティホールといった、さまざまなセキュリティリスクを洗い出すサービスです。
どの診断を選んだら良いか分からない方に向けて、診断選びのチャート付きの資料をご用意しているので、ぜひ本記事とあわせてご活用ください。

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