IT資産管理

情報資産とは?適切な管理方法と注意点をわかりやすく解説

Written by MashiNari

ITベンダー、インフラ全般サービス企業で、プロジェクトマネージャー/リーダー等の経験を経て2016年にフリーランスへ転身。
インフラやクラウドシステムを中心に、要件定義、設計、構築、保守まで携わっています。
インフラの土台からweb周りの案件にも視野を広げ、近頃ではフロントエンド・バックエンドの開発にも従事し、日々奮闘中です。

情報資産とは?適切な管理方法と注意点をわかりやすく解説

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企業においてセキュリティ対策の重要性が高まり続ける現代ですが、その大きな目的は組織が保有する情報資産を守ることです。
外部からのサイバー攻撃や、意図せず情報漏洩してしまうといった内部情報漏洩など様々なリスクから情報資産を守るためには、守るべき情報資産はなにか、どのような脅威が存在するのか、を正しく認識することが重要です。

この記事では、情報資産とはなにか、管理する際の注意点やどのように管理すればよいのかを解説します。

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情報資産とは?その種類と基本概念


情報資産とは、組織や個人が保有し、価値を持つ情報やそれに関連する資源のことを指します。情報資産は、ビジネスや業務の遂行において重要な役割を果たし、その適切な管理と保護が求められます。情報資産には以下のようなものが含まれます。

1.文書やデータ: 契約書、報告書、研究データ、顧客情報、従業員情報、財務データなど、業務遂行に必要な書類やデータが該当します。

2.ソフトウェア: オペレーティングシステム、アプリケーション、データベース管理システムなど、情報処理に使用されるソフトウェアが含まれます。

3.ハードウェア: コンピュータ、サーバー、ネットワーク機器、ストレージデバイスなど、情報を処理・保管・伝送するための物理的な機器が該当します。

4.通信インフラ: インターネット、イントラネット、VPNなど、情報の伝送を可能にする通信インフラが含まれます。

5.人事情報: (個人情報含む)従業員個人の携帯番号やメールアドレス、自宅住所、採用時の応募情報、給与・昇給・勤怠情報、マイナンバー等が該当します。

6.知的財産権: 特許、商標、著作権、営業秘密など、情報に関連する法的権利が含まれます。これらの権利は、組織の競争力を保護し、情報資産の価値を高める役割を果たします。

7.プロセスや手順: 業務プロセス、情報セキュリティポリシー、運用手順書など、情報資産を適切に管理・運用するための手続きやルールが該当します。

8.バックアップデータ: システム障害やデータ消失に備えて、定期的に作成されるバックアップデータも情報資産の一部です。

ビジネスに必要な情報はもちろん、ステークホルダーや競合他社にとって影響のある情報も情報資産です。
そのため、組織が保有するほとんどの情報は情報資産として管理する必要があると考えてよいでしょう。

情報資産管理の重要性とリスク


情報資産とは、組織や個人が保有する情報のうち、価値があると認識されているものを指し多岐にわたります。現在では、クラウドサービスの活用が進み、大量の情報資産をデータ化して保有できるようになりました。
これにより利便性は大きく向上、ネットに接続できればどこからでも情報へアクセスできるようになり、大量の情報を持ち出すことが可能となりました。しかしながら同時に情報漏洩が発生するリスクは増大したと考えられるのではないでしょうか。

そのため、情報資産の適切な管理は、組織の業績やブランドイメージにも影響を与えます。万が一情報漏洩や不正利用が発生してしまった場合、組織の信頼性が損なわれ顧客や取引先との関係が悪化する可能性があります。また、法令違反による罰則や損害賠償請求にもつながることがあります。

情報漏洩のリスクから情報資産を守るためには、情報資産を適切な環境で管理することが極めて重要となります。

情報資産の適切な管理方法

ここでは、安全に情報資産を管理するための方法をご紹介します。

情報資産の把握

情報資産の把握は、組織が情報資産を適切に管理するために重要な要素です。情報資産の識別を行い、組織内の情報資産を特定し、それぞれの資産に対して一意の識別子を割り当てることが重要です。これにより、資産の管理が容易になります。
また情報資産の所有者を明確にすることで、責任と権限が明確になり、適切な管理が実施されます。所有者は、資産の利用や保護に関する意思決定を行う役割を担います。

ファイルサーバーや従業員の業務端末、クラウドなど様々な場所に情報資産が散在し、それぞれの重要度は異なります。組織として情報資産の管理を行うためには、まずこれらの情報を全て把握することが重要です。

情報の取り扱い状況の把握

情報資産の把握と合わせて、それぞれの情報資産がどのように取り扱われているのかを把握します。
情報資産へのアクセス経路や閲覧者、管理者を明確にし、不適切な取り扱いが行われていないかをチェックしましょう。
後述するセキュリティポリシーに情報資産をどのように取り扱うべきなのかを組織が明文化し、従業員がそれに従う形であればセキュリティインシデントの発生率を抑えることに繋がります。

情報資産については、定期的な監査やモニタリングを行うことで、情報資産の管理状況を把握し、適切な対策が講じられているか確認します。そうすることで不正アクセスや情報漏洩の兆候を早期に検出することが可能となります。

セキュリティポリシーの作成

情報資産は組織全体で一貫したルールを認識して取り扱うことが大切です。
そのためには、従業員個人のセキュリティ意識だけではなく、組織のセキュリティポリシーを作成する必要があります。
セキュリティポリシーを作成することでリスクのある行動を抑制し、実務上の不都合があれば都度改善することで業務を妨げないセキュリティ環境に近づくことができます。

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情報資産のリスク評価の方法


組織は様々な情報資産を管理する必要がありますが、情報の内容によって重要度や適切な保護方法は異なります。

組織の極秘情報であれば利便性を犠牲にしてでも厳重に管理する必要があり、必要に応じてコストをかけることも検討します。
それに対して、業務マニュアルなどの社外秘情報であれば利便性を重視し、必要十分と認められるセキュリティ対策を講じることが一般的です。

そのため、一元管理した情報資産を見直し、資産ごとに情報漏洩した際の影響度や情報漏洩が発生するリスクを整理し、どの程度の重要性をその情報資産が持っているのかを把握することが大切です。
将来追加される情報資産についても、リスクの評価を適宜行いどのような取り扱いが望ましいのかを判定することで、情報資産管理が煩雑となってしまうことを回避できます。

各情報資産に対してリスクアセスメントを行い、適切な対処を定めることで、適切なコスト配分や部分的なセキュリティ強化など、柔軟な情報資産管理を実現できます。

情報資産を守るセキュリティ対策


ここまで述べた情報資産の適切な管理に加え、セキュリティ対策を充実させることで情報資産を強固に守ることができます。ここでは、セキュリティ対策を充実させる方法をご紹介します。

従業員の教育

従業員のセキュリティ意識や知識が不足していると、問題がある行為であると認識しないまま意図せず情報漏洩を起こしてしまうことがあります。
全従業員に向けてセキュリティ教育を実施し、従業員それぞれがセキュリティ意識を高く持つことで多くの情報漏洩は防ぐことができます
基本的なセキュリティ対策項目の要点をTips化し、すぐに実践できる形で従業員に伝えることはとても重要です。IT管理者や社会人経験が長い従業員には当たり前のことでも、新入社員やセキュリティの理解に乏しい従業員は理解していないことは珍しくありません。

IT資産管理ツールの導入

情報資産の把握や適切な管理は重要ですが、特にPCやスマホ、USBメモリなどのIT資産については、IT資産管理ツールを活用することで資産情報を自動的に収集し管理することができます。多くのIT資産管理ツールでは、デバイス情報の管理だけではなく、OSのバージョンやウイルス対策ソフトのパターンファイルの更新状況も管理することができます。
加えて、従業員が独断でUSBメモリなどの記憶媒体を利用するなどの不正行為についても、許可したUSBメモリ以外の利用を制限することで内部不正の抑制も可能です。

さらに、デバイスの操作ログを取得することで、万が一セキュリティインシデントが発生してしまった際にも、操作ログを分析し迅速な状況把握や事後対応に役立ちます。

セキュリティ対策製品の導入

適切な情報資産の管理を行っていても、マルウェアや不正アクセスなどサイバー攻撃の被害に遭ってしまうと情報漏洩に直結するリスクがあります。

セキュリティ対策製品を導入し適切に利用することで、多くのサイバー攻撃を防ぐことが可能です。ウイルス対策ソフトやEDR(Endpoint Detection and Response)など様々な製品が販売されています。

組織のセキュリティを強化することは、情報資産を守り盤石な管理を実現することに繋がります。

適切な管理とセキュリティ対策で情報資産を守る

多くの組織は膨大な情報資産を保持しており、それらを管理するためには多くの検討事項や工数が必要です。
しかし、一度情報漏洩を起こしてしまえば組織は深刻なダメージを負うことになるため、情報資産の管理やセキュリティの強化は単なるコストではなく、起こるかもしれない大きな損害を防ぐための投資であると考えるべきなのではないでしょうか。

情報資産を適切に管理し、正しく取り扱うことは現代のビジネス環境では企業の責務とも言えます。自組織の資産管理状況を見直し、情報漏洩を起こしにくい環境を目指しましょう。

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