IT資産管理
プロビジョニングとは?種類やIDプロビジョニングの必要性を解説
Written by WizLANSCOPE編集部
目 次
プロビジョニングとは、ユーザーやシステムからの要求に応じて、サーバーやネットワーク、ストレージといったITインフラや各種リソースを準備・割り当て・設定する一連のプロセスを指します。
プロビジョニングには対象ごとにさまざまな種類がありますが、本記事ではその中でも、ユーザーIDやアクセス権限の管理を担う「IDプロビジョニング」に焦点を当てて解説します。
▼本記事でわかること
- IDプロビジョニングのメリット
- IDプロビジョニングの活用シーン
- IDプロビジョニングとSSOの違い
IDプロビジョニングの導入を検討されている方はぜひご一読ください。
プロビジョニングとは

プロビジョニング(Provisioning)とは、利用者や業務システムの要望に応じて、サーバーやネットワーク機器、ストレージなどのIT基盤を用意し、適切に割り当てたうえで、動作するように調整する一連のプロセスを指します。
この用語は「供給」や「準備」を意味する英単語「provision」に由来し、主にIT業界で使用されています。
企業が新たなシステムを迅速に立ち上げ、安定的に運用するためには、このプロビジョニングの仕組みが欠かせません。
適切な準備とリソース配分を行うことで、必要なタイミングで必要なITリソースを素早く提供できる体制を構築できます。
プロビジョニングの種類

プロビジョニングは、対象ごとにさまざまな種類があります。
本記事では下記の5つの種類について概要を紹介します。
- IDプロビジョニング(ユーザープロビジョニング)
- サーバープロビジョニング
- ネットワークプロビジョニング
- クラウドプロビジョニング
- サービスプロビジョニング
また本記事では、このうちの「IDプロビジョニング(ユーザープロビジョニング)」をメインテーマとして解説します。
IDプロビジョニング(ユーザープロビジョニング)
IDプロビジョニングは、アカウントの作成や削除、アクセス権限の付与や変更など、ユーザーアカウント管理に関わる一連の作業を指します。
ユーザープロビジョニングとも呼ばれ、これを導入することで、入社・異動・退社といった人事イベントに伴うアカウント管理を、ルールに基づいて自動化・効率化できます。
その結果、管理者の運用負荷を軽減できるだけでなく、設定漏れや権限の付与ミスといったリスクの軽減も期待できます。
サーバープロビジョニング
サーバープロビジョニングとは、物理サーバーや仮想マシンを業務で利用可能な状態まで構築し、必要な設定を施す一連のプロセスを指します。
具体的には、ネットワークやシステムの設定、OSや各種ソフトウェア導入などの作業が含まれます。
ネットワークプロビジョニング
ネットワークプロビジョニングは、ITインフラを支えるネットワーク機器を導入し、業務で利用できるように設定・構築する一連のプロセスを指します。
具体的には、ルーターやスイッチ、ファイアウォールといった機器の配置や設定、IPアドレスの割り当て、正常に通信できているかの動作確認などの作業が含まれます。
なお、通信事業者の分野では、回線の開通や番号の割り当てといった意味で使われることもありますが、IT分野においては、社内外の通信基盤を整備・運用する役割を担います。
クラウドプロビジョニング
クラウドプロビジョニングとは、クラウド環境において、業務に必要なインフラや各種サービスを構築・提供する一連のプロセスです。
これには、仮想サーバーやネットワークに加え、ストレージや各種マネージドサービスなどの設定も含まれます。
初期段階では、クラウド環境の基盤となるリソースを整備し、その後にアプリケーションやサービスを展開していきます。コードによる構成管理を取り入れることで、必要なリソースを柔軟かつ迅速に用意できる点が特徴です。
サービスプロビジョニング
サービスプロビジョニングとは、SaaSや業務アプリケーションを利用者がすぐに業務で使える状態に設定する一連の作業を指します。
例えば、以下のような作業が含まれます。
- クラウドサービスの初期設定
- SSO(シングルサインオン)による認証連携(Google WorkspaceとSlackの接続など)
- アカウントの一括作成
- ライセンスの付与
サービスプロビジョニングを導入することで、IT管理者の負担を軽減できるだけでなく、利用者が業務を開始するまでの時間を短縮することが可能になります。
IDプロビジョニングの必要性

IDプロビジョニングが必要とされる理由として、「セキュリティの強化」や「運用効率の向上」が挙げられます。
近年はクラウドサービスの利用が急速に拡大し、企業・組織が管理すべきアカウントや権限が増加しています。
こうした背景から、セキュリティを確保しつつ、運用を効率化する手段として「IDプロビジョニング」の重要性が高まっています。詳しく確認していきましょう。
セキュリティの強化
IDプロビジョニングを導入し、アカウント管理を自動化することで、セキュリティリスクの低減が期待できます。
手動でアカウント管理を行っている場合、異動した従業員のアクセス権限を変更し忘れたり、退職者のアカウント削除が漏れたりするなど、人為的なミスを完全に防ぐことは困難です。
誤った権限を付与した状態が続くと、不正アクセスのリスクが高まり、個人情報や機密情報を悪用される恐れがあります。
さらに、アカウント情報をExcelなどで管理している場合、管理ファイルを保存しているPC自体が攻撃対象となり、情報漏洩につながるリスクも生じます。
こうした課題に対して、専用のIDプロビジョニングツールを活用することで、アカウントの作成・削除・権限変更をルールに基づいて抜け漏れなく実行できるようになります。
その結果、内部関係者による不正アクセスや外部からの攻撃による情報漏洩といったセキュリティリスクを効果的に低減できます。
運用効率の向上
IDプロビジョニングが必要とされる理由の一つとして、「運用効率の向上」が挙げられます。
近年、業務に応じて複数のクラウドサービスを利用する企業が増加傾向にあり、それに伴って管理すべきアカウント数も急激に増加しています。
サービスごとにIDやパスワードを管理・運用する必要があるため、管理担当者の業務負担は年々大きくなっていると言えるでしょう。
特に新年度などの時期には、入社・退社・異動といった人事イベントが集中し、アカウントの新規作成や権限変更といった作業が短期間に集中して発生します。
管理対象が増えるほど作業の遅延やミスが起こりやすくなり、業務全体に影響を及ぼす可能性も高まります。
このような課題に対してIDプロビジョニングを導入することで、アカウントの追加・削除や権限変更を自動化でき、アカウント管理にかかる手間を大幅に削減することが可能になります。
IDプロビジョニングのメリット

IDプロビジョニングが必要とされる理由でも触れましたが、改めてIDプロビジョニングを導入することで得られるメリットを整理して解説します。
IDプロビジョニングの導入を検討されている企業・組織の方は、ぜひご一読ください。
管理者の負担軽減
IDプロビジョニングを導入することの最大のメリットは、ユーザーアカウント管理に関わる作業を大幅に効率化できる点にあります。
近年は、社内システムに加えてクラウドサービスの利用が拡大しており、それに伴ってIT管理者の業務量も増え続けています。
人事異動や入退社に伴うアカウントの作成・削除・更新、ユーザー情報の変更、組織変更に伴うアクセス権限の再設定など、利用システムが増えるほど管理作業も比例して増加するのが現状です。
こうした課題に対してIDプロビジョニングを導入することで、アカウント情報を一元的に管理できるようになり、一箇所で登録や変更を行うだけで、連携している複数のサービスへ自動的に情報を反映できます。
個別に各システム・サービスへログインして設定する必要がなくなるため、作業時間を大幅に短縮でき、結果として業務全体の効率向上が期待できます。
情報漏洩リスクの低減
IDプロビジョニングによってアカウント管理を自動化することで、手作業で起こりがちな入力ミスや対応漏れを防ぐことができます。
また、不要になったアカウントの整理も効率的に行えるようになります。
手動でアカウント管理を行っている場合、退職者のID削除漏れや異動者の権限変更漏れなどが発生しやすく、本来アクセスできないはずの人が情報へアクセスできてしまう恐れがあります。
IDプロビジョニングを導入し、適切なタイミングでアカウントを無効化できる体制を整えることで、情報セキュリティの水準が向上し、企業全体の信頼性向上にもつながるでしょう。
IDプロビジョニングの活用シーン

IDプロビジョニングは、以下のようなシーンで活用されています。
| タイミング | 役割・対応内容 |
|---|---|
| 新入社員の入社時 | ・入社した従業員ごとのITプロファイルを作成し、業務に必要なアプリケーションやアカウントをまとめて割り当てる |
| 部署異動・役職変更時 | ・新しい役割に応じて、不要なアクセス権限を削除し、必要な権限を付与する |
| 従業員の退職時 | ・アカウントを即時に無効化、または削除する |
IDプロビジョニングを活用することで、必要な人に必要なアカウントや権限を適切なタイミングで付与できるだけでなく、不要になったアカウントを速やかに削除することも可能になります。
その結果、運用効率の向上とセキュリティ強化の両立が期待できます。
IDプロビジョニングとSSOの違い

シングルサインオン(SSO)とIDプロビジョニングは、いずれもアカウント管理の手間を省き、セキュリティリスクの低減に寄与する仕組みですが、役割が異なります。
IDプロビジョニングは、ユーザーの認証情報や権限情報を複数のシステム間で同期・管理する仕組みです。
ユーザー情報に変更があった場合でも、一箇所で登録や変更を行うだけで、連携しているクラウドサービスへ自動的に反映できます。
一方でシングルサインオンは、ユーザーが一度認証を行うだけで、複数のサービスへログインできるようにする認証の仕組みです。
サービスごとにIDやパスワードを入力する必要がなくなるため、ユーザーの利便性向上が期待できます。
つまり、IDプロビジョニングはユーザーアカウント管理を効率化する仕組み、シングルサインオンはログイン操作を効率化する仕組みという違いがあります。
| IDプロビジョニング | ・アカウントの作成や削除、アクセス権限の付与や変更など、ユーザーアカウント管理に関わる一連のプロセスを効率化する仕組み |
|---|---|
| シングルサインオン | ・一組のID・パスワードで一度認証を行うだけで、連携している複数のアプリケーションやクラウドサービスにログインできる仕組み |
企業・組織においては、IDプロビジョニングとシングルサインオンを組み合わせて利用することで、アカウント管理の効率化とユーザーの利便性向上を同時に図ることができます。
IDプロビジョニングを手軽に導入できるIDaaS

IDプロビジョニングを手軽に導入する手段として、近年「IDaaS」に注目が集まっています。
IDaaS(Identity as a Service)とは、ユーザーのID管理や認証機能をクラウド上で提供するサービスです。
本記事でも触れてきた通り、近年はクラウドサービスの利用が急速に拡大しており、従来の方法ではID権限の管理が追いつかなくなっています。
そのため、複数のクラウドサービスを横断してID情報や権限を一元管理できる「IDaaS」が、多くの企業で採用されるようになっています。
IDaaSを活用すれば、高いセキュリティ基準を維持しながら、オンプレミス環境とクラウド環境の双方における認証情報をまとめて管理できるなど、柔軟な運用が可能になります。
また、多くのIDaaSではトライアル期間が用意されており、ブラウザ上から手軽に利用を開始できる点も特徴です。
初期構築の負担も比較的小さいため、IDプロビジョニングを実現する現実的な選択肢の一つと言えるでしょう。
IDaaSの仕組みや製品を選ぶ際のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
まとめ
本記事では、「IDプロビジョニング」をテーマとして、概要や導入するメリット、活用シーンなどを解説しました。
▼本記事のまとめ
- IDプロビジョニングとは、アカウントの作成・削除、アクセス権限の付与・変更など、ユーザーアカウント管理に関わる一連の作業を指す
- クラウドサービスの利用が増加傾向にある近年、「セキュリティ強化」と「運用効率の向上」の観点から、IDプロビジョニングが注目を集めている
- IDプロビジョニングを導入することで、「管理者の負担軽減」「情報漏洩リスクの低減」といったメリットが期待できる
- IDプロビジョニングは、「新入社員の入社時」「部署異動・役職変更時」「従業員の退職時」といったシーンでよく活用される
利用するクラウドサービスやアプリケーションが増えるにつれて、アカウント管理の課題はますます複雑化しています。
IDプロビジョニングは、こうした課題を解決し、安全かつ効率的なIT運用を実現するために欠かせない仕組みです。
アカウント管理の効率化や、アカウント管理に伴うセキュリティリスクを目指す企業・組織の方は、「IDプロビジョニング」の導入をぜひご検討ください。
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