Written by Aimee
目 次
SASE(サシー)とは?
SASEが必要とされる背景
SASEの理解に欠かせない「ゼロトラストセキュリティ」とは?
SASEを構成する主な5つの機能
SASEを導入するメリット
SASEのデメリットは「導入時の工数と期間がかかる」こと
SASEと並行して検討してほしい、ゼロトラストを前提としたネットワークセキュリティ「NDR」
ゼロトラストセキュリティを叶える、NDR「Darktrace(ダークトレース)」
まとめ
SASE(サシー|Secure Access Service Edge)とは、従来は別々で管理していた「ネットワーク機能」と「セキュリティ機能」を1つに統合し、「クラウドサービス」として提供するという概念です。
SASEは「すべてのユーザーやデバイスを信頼せず、情報資産への全アクセスに対し検査・認証を行う」というゼロトラストの考え方をベースに設計されています。
そのため、SASEを導入することで、クラウドサービスやリモートワークの普及に伴って発生した
- クラウドやVPNへのアクセス集中による「ネットワーク遅延」
- 「境界型セキュリティ」の限界
- 「シャドーIT」の増加
といった課題を解決することができます。
また、SASEとゼロトラストは混同されがちですが、ゼロトラストは「セキュリティの概念」であり、SASEは「ゼロトラストの概念を実現するための具体的な方法」という違いがあります。
企業のネットワークセキュリティ体制の強化において、さまざまなメリットがあるSASEですが、大規模なネットワーク構成の見直しが必要になるなどの課題もあるため、導入計画は慎重に行う必要があるでしょう。
この記事では、SASEの概要や必要性、導入のメリット・デメリットについて、わかりやすく解説いたします。
▼この記事を要約すると
- SASEとは、ネットワーク機能とセキュリティ機能を一括で提供・管理するクラウドサービス
- テレワーク・クラウドサービスの普及に伴い 「ゼロトラスト」 の考えに準拠したSASEが注目されている
- SASEのメリットとして「セキュリティの強化」「ネットワーク運用負荷の改善」「担当者の運用工数削減」 などが期待できる
- SASEの主な機能として、ネットワーク機能の 「SD-WAN」 、セキュリティ機能の 「CASB」「SWG」「ZTNA」「FWaaS」 などがある
- SASE導入時は、既存のシステムやアーキテクチャ(構成)を大幅に切り替える 必要があり、導入直後から理想的な環境を手に入れることは難しい
- SASE同様、ゼロトラストを前提としたネットワークセキュリティに「NDR」がある
また、既存のネットワーク環境に大きな変化を与えず、ゼロトラストに則った包括的なセキュリティを導入されたい際、SASEとあわせて検討いただきたいのが「NDR」というセキュリティソリューションです。
エムオーテックスでは 内部ネットワーク・クラウド・エンドポイント といった各種レイヤーを1つの製品で監視し、不審な挙動やアクセスに対処できる、最新のNDR「Darktrace(ダークトレース)」を提供しています。 SASEに比べ導入が容易でありながら、あらゆるレイヤーの監視を一括でおこなえるといった強みがあります。
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SASE(サシー)とは?
SASE(サシー)とは Secure Access Service Edge の略称であり、従来は別々で管理していた「ネットワーク機能」と「セキュリティ機能」を、1つに統合し「クラウドサービス」として提供するという概念です。
2019年にGartner(ガートナー)社が提唱し、以降今日まで多くの企業・セキュリティベンダーより、様々なSASEソリューションが提供されています。
SASEが必要とされる背景
SASEが必要とされる背景には、ハイブリットワークによって多くの企業が「通信の課題」「セキュリティの課題」に直面していることが挙げられます。
通信の課題
通信環境においては
- クラウドの普及により、データセンター内のプロキシサーバーに負荷が集中する
- リモートワークの普及により、VPNにアクセスが集中する
といった理由で、ネットワークの遅延が発生するという課題が生じました。
SASEがもつ「SD-WAN」という機能により、データセンターの回線を経由することなく、クラウドサービスへアクセスが可能に。またフィルタリングやユーザーのアクセス制御機能を備えているため、遅延の無い安全なネットワーク環境を、ユーザーに提供することができます。
セキュリティの課題
セキュリティ対策においては
- 社外ネットワークの利用が増えたことで、従来の「境界型セキュリティ」が困難になった
- クラウドサービス独自のセキュリティ対策が必要になった
- リモートワークの普及により、シャドーITや内部不正が増加した
という変化を受け、企業は新たなセキュリティ体制の構築が必要となりました。
企業に求められるセキュリティ対策は、従来に比べはるかに複雑化し、あらゆるレイヤーにて脅威の監視や検知を行う必要があります。
対策すべきポイントが増えたことで、担当者の負担が増していることも課題です。
そこでSASEを導入すれば、本来独立した機能を一元管理できるため、管理者は各レイヤーに統一のセキュリティポリシーを適用し、 運用工数を減らすことができるのです。
SASEとゼロトラストの違い
ゼロトラストとは、すべてのユーザーやデバイスを信頼せず、情報資産への全アクセスに対し検査・認証を行うというセキュリティ概念です。
以前主流だった「境界型セキュリティ」では、 信頼できる「社内」と信頼できない「社外」 にネットワークを分け、その境界線にファイアウォール等のセキュリティ対策を講じるのが一般的でした。しかしテレワークやクラウドサービスの普及により、社内・社外の境界が曖昧になったことで、従来の境界型セキュリティでは、十分な対策ができないという課題が生まれました。
また、境界型セキュリティでは「従業員の情報持ち出し・不正アクセス」といった内部の脅威に対応できないという弱点もあります。
これらの課題を解消するため、ゼロトラストでは、セキュリティをネットワークの境界だけでなく各レイヤーへ適用すること、また社内ネットワークであっても情報資産へのアクセスに対し、セキュリティや監視を講じます。
ゼロトラストは先ほども述べたように、セキュリティ概念であり、この概念を実現するための具体的な仕組み・ソリューションがSASEです。
「SASE」は ゼロトラストの考え方 をベースに設計されており、内部・外部を問わないネットワークセキュリティ、クラウドセキュリティ、内部不正対策などを網羅的に対策・管理することが可能です。
SASEを構成する主な5つの機能
SASEは、「ネットワーク機能」としてSD-WAN、「セキュリティ機能」としてCASB、SWG、ZTNA、FWaaSをもとに構成されています。
以下、SASEの主要な機能について紹介いたします。
1.SD-WAN(Software-Defined Wide Area Network)
「SD-WAN(エスディーワン)」は、拠点間をつなぐ広域ネットワーク(WAN)をソフトウェアによって一元管理し、仮想的なネットワークを提供する機能です。
SD-WANによりデータセンターを介さずクラウドサービスへ接続ができるため、データセンターの回線を増強することなく、通信速度の遅延やジッタ(画像の乱れ)などを改善することができます。
またSD-WANではアプリケーションにより優先順位を付け、トラフィックを制御することも可能です。品質が求められない通信ではインターネットVPNを、重要なオンライン会議にはクローズドVPNを適用するなど、目的に応じて遠隔地の拠点との通信を調整します。
SD-WANはネットワークの柔軟性と効率性を向上させ、企業が通信とデータの管理を効果的に行う上で有効な機能です。
2.CASB
「CASB(キャスビー)」は従業員によるクラウドサービスの利用を可視化・制御し、一括管理するソリューションです。
可視化、データセキュリティ、コンプライアンス、脅威防御 の4つの機能を備えており、クラウドサービスの普及と共にニーズが高まっているサービスです。
可視化 | 誰が、いつ、どのクラウドサービスを利用したかが可視化できる機能 |
---|---|
データセキュリティ | データの種類ごとにユーザーのアクセス権限を設定する、データを暗号化するなどして重要なデータの持ち出しを禁止する機能 |
コンプライアンス | クラウドサービスの使い方が自社のセキュリティポリシーに適合しているかをチェックする機能 |
脅威防御 | クラウドサービス上での不審な行動や、マルウェアなどを検知する機能 |
CASBがSASEの構成要素として備わっていることで、クラウドサービス利用におけるセキュリティリスクを最小限に抑え、内部不正や情報漏洩といった犯罪を防ぎます。
3.SWG
「SWG」とは、企業がインターネットを安全に利用し、ウェブトラフィックのセキュリティを確保するための プロキシ ※の一種です。
※プロキシ …PCやスマホの代わりに外部ネットワークにアクセスするシステム。端末は一度プロキシへアクセスし、プロキシが代理でWebサイトへアクセス、ブラウザへ表示させる。
従業員が不正なWebサイトへアクセスしようとすれば、ブロックすることで危険なサイトの閲覧・マルウェア感染などを防ぎます。またサンドボックス機能によってマルウェア侵入を防止したり、ユーザーの不正操作を禁じたりする機能も備わっています。
テレワークの普及、クラウドサービスの利用増加などによって、外部ネットワークを使用する機会は増加しています。そんな中、安全な通信環境を確保し、ウェブトラフィックを効果的に管理するSWG の必要性が高まっています。
4.ZTNA(Zero Trust Network Access)
「ZTNA」とは、ゼロトラストの考え方をベースに、ユーザーへネットワークアクセス環境を提供するセキュリティソリューションです。
データやアプリケーション、サービスごとに細やかなアクセス制御を行い、不正なアクセスを防止するのがZTNAの役目です。従業員ごとにアクセス権限の有無や、ポリシーに沿った適切なアクセスができているかを確認し、アクセス許可を与えます。
ユーザーがアプリケーションやデータへアクセスする度、ユーザーを評価し、社内外問わず厳密なアクセス制限を行います。 細やかなアクセス制御を行うZTNAであれば、VPNの懸念点である「攻撃者による水平移動」を阻止することが可能です。
5.FWaaS(Firewall as a Service)
「FWaaS(ファイアウォールアズアサービス)」とは、クラウドベースのファイアウォールを提供する画期的なサービスです。
そもそも「ファイアウォール」とは『防火壁』のように、ネットワークトラフィックをフィルタリングすることで、外部ネットワークからの不正アクセスや脅威をブロックする、境界型のセキュリティです。
通常、ファイアウォールは設置した拠点の内部ネットワークのみを保護しますが、FWaaSでは複数のポイント・拠点にて通信を監視し、不正アクセスを検知・ブロックします。
運用者は複数拠点のファイアウォールを管理する手間が削減できる上、クラウドとして提供されるので、ユーザーのデータセンターやオフィス内に物理的なファイアウォールを設置する必要がありません。
またクラウドベースなので、ユーザーは必要に応じてファイアウォールの容量を拡張したり、最新のセキュリティルールのアップデートしたりすることが可能です。
SASEを導入するメリット
SASEを導入することで、以下のようなメリットが想定できます。
- ゼロトラストを前提としたセキュリティの強化
- ネットワーク運用負荷の改善による、パフォーマンス向上
- 一元管理による運用担当者の負担軽減
- 統一されたセキュリティポリシの適用
「1.ゼロトラストを前提としたセキュリティ」の強化については、上述の通りです。
「2.ネットワーク運用負荷の改善」が見込める理由としては、SASEを活用することで、従来のデータセンター(DC)を中心とするネットワーク構成から脱却できることが挙げられます。データセンターへのアクセス過多により引き起こされる「通信の遅延」「DC内の機器への負荷」を軽減できるでしょう。
「3.一元管理による運用担当者の負担軽減」については、ネットワーク・セキュリティサービスを一括で管理できるため、管理者の運用工数削減・効率化を期待できます。
最後に「4.統一されたセキュリティポリシーの適用」ですが、本来クラウドサービスなど社外ネットワークやアプリケーションであれば、それぞれ別のポリシーを適用する必要がありました。
SASEを活用することでクラウド・社内ネットワーク(オンプレミス環境)を問わず、全てのシステム・サービスに対し、同一のセキュリティポリシーを適用・管理することが可能となります。
SASEのデメリットは「導入時の工数と期間がかかる」こと
企業のネットワーク・セキュリティ体制の強化において、多くのメリットを備えるSASEですが、懸念として「導入時の工数・期間」があげられます。
SASEを導入する場合、既存のネットワーク・セキュリティ機能の多くをSASEへ移行することになるため、入念な計画と大規模なシステム設計が必要です。データセンターに導入している、既存のネットワーク機器・セキュリティ機器の大部分を変更することで、システム構成も大きく変わることとなるでしょう。
大規模なネットワーク構成の見直しが必要なので、セキュリティ部門だけでなく、ネットワークに知見のある各部門担当者・ベンダー等を巻き込んだ、導入計画の推進が不可欠となります。
また、移行後にはSASEと既存環境の並行運用の検討や、従業員の業務に合わせた改善なども必要です。SASE導入直後から理想的な環境が手に入るわけではないことは、あらかじめ理解しておく必要があるでしょう。
SASEと並行して検討してほしい、ゼロトラストを前提としたネットワークセキュリティ「NDR」
- SASEに関心があるが、そこまでの工数やコストを割くことが難しい
- ただし、リモートワークやクラウドサービスの利用に対応した、ゼロトラストを前提とするセキュリティ体制を構築したい
そんなセキュリティ担当者様であれば、ネットワーク監視を担うセキュリティ製品 「NDR」 が最適かもしれません。
NDRではネットワーク機能の提供はありませんが、外部・内部ネットワークを問わない包括的なセキュリティ体制の構築を推進します。ネットワーク全体に加え、エンドポイントやクラウドといった様々なレイヤーの脅威検知・一括管理を行うことが可能です。
また、お客様の既存環境のまま導入できるため、SASEで懸念される「移行に長い年月と労力を要する」「大きな環境の改変が必要」といった課題はありません。
弊社では全世界で 9,200社以上の導入実績をもつ、 NDR製品「Darktrace(ダークトレース)」 を提供しています。
ゼロトラストセキュリティを叶える、NDR「Darktrace(ダークトレース)」
「Darktrace」は、企業・組織のネットワークやクラウドのパケットを収集し、ネットワーク全体の通信状況の可視化、異常な挙動を検知できる、NDRソリューションです。
▼Darktraceの強み
- 日々のアラート確認・分析・脅威レベルの判定が容易で、管理工数がかからない
- サイバー攻撃(外部脅威)・内部不正の両方に対策できる
- 1製品でネットワーク・クラウド・エンドポイント等、あらゆるレイヤーを対策できる
- ゼロトラストセキュリティの実現に有効
AI 機械学習と数学理論を用いた通信分析で自己学習し、通常とは異なる通信パターンを検知して、未知の脅威に対応します。 AIが脅威レベルを自動で判断し、危険な通信を自動遮断するため、 脅威判定が簡単で管理工数がかからない点 が大きな強みです。
また、Darktraceではネットワークに加え、クラウド、テレワーク、Eメールなど、広範なデジタル環境を網羅的に監視し・一元管理できるため、あらゆる脅威を素早く検知し対策することが可能です。
実際、DarktraceはIPAの公開する 「2024年度 情報セキュリティ10大脅威」の全ての脅威に対策すること が可能です。
▼NDR「Darktrace」における10大脅威への対処方法
2024年 情報セキュリティ10大脅威 |
順位 | Darktraceの対処内容 |
---|---|---|
ランサムウェアによる被害 | 1位 | ランサムウェアの予兆段階から実行段階まで検知対処可能 (Darktraceは5,000件以上の文書暗号化を阻止しています) |
サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃 | 2位 | 取引業者や関係先からのなりすまし行動も、異常な動きを検知 対処可能 |
内部不正による情報漏洩 | 3位 | ポートスキャンや、 管理者権限の行使、 ファイルサーバへの不審なアクセスなど通常と異なる動きを検知 対処可能 |
標的型攻撃による機密情報の窃取 | 4位 | 稀な宛先からのリモートアクセス、稀なデータアップロード・ ダウンロードなど、通常と異なる行動を検知・対処可能 |
修正プログラムの公開前を狙う攻撃 (ゼロデイ攻撃) | 5位 | ルールシグネチャでは対策できない「ゼロデイ攻撃」でも、脅威性のある珍しい挙動として検知・対処可能 |
不注意による情報漏えい等の被害 | 6位 | 標的型攻撃メールのURL (添付ファイル) から派生する不審な宛先への通信や不審なExcelファイルのダウンロードを検知・対処可能 |
脆弱性対策情報の公開に伴う悪用増加 | 7位 | ランサムウェアで標的とされやすいSMB v1の残存などの脆弱性のある通信も検知可能 |
ビジネスメール詐欺による金銭被害 | 8位 | 攻撃と疑われるメールの検知・ブロックが可能(オプション) |
テレワーク等のニューノーマルな働き方を狙った攻撃 | 9位 | 遠隔地や在宅勤務などの環境も検知・対処可能 (オプション) |
犯罪のビジネス化 (アンダーグラウンドサービス) | 10位 | RaaS (Ransomware as a Service) でも1位と同様検知・対処可能 |
また、導入時のルール定義・詳細設定が不要なため、 導入が簡単で既存環境や他システムへの影響がない というメリットもあります。
「管理負荷が少なく、自社のIT環境を網羅的に監視・対策できるセキュリティソリューションを求めている」方に最適です。詳しくは以下の詳細よりご覧ください。
まとめ
本記事では「SASE」をテーマに、その概要や機能について解説しました。
▼本記事のまとめ
- SASEとは、従来別である「ネットワーク」「セキュリティ」機能を一元で提供・管理できる、ガートナー社の提唱した概念
- リモートワーク・クラウドサービスの普及に伴い、SASEの需要が増加
- ネットワーク内外を問わずセキュリティを構築する、「ゼロトラスト」の考え方に準拠している
- SASEは、ネットワーク機能のSD-WAN、セキュリティ機能のCASB、SWG、ZTNA、FWaaSなどの機能から構成される
ネットワークとセキュリティをクラウドで統合し、ビジネスの柔軟性とセキュリティを向上するSASE。ビジネスに大きな変革をもたらしますが、慎重な計画と実施が成功の鍵となります。自社のニーズを明確にし、計画的に導入しましょう。

3分でわかる!NDR製品「Darktrace(ダークトレース)」
AI(機械学習)を活用し、様々なデバイスやユーザー行動を分析。
未知のサイバー攻撃・内部不正の兆候を、素早く検知します。
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