労務管理の見える化にLanScope Catを活用し
働き方改革に取り組む 

京セラコミュニケーションシステム株式会社
花田 英司 氏

基本情報
設立
1995年9月22日
従業員数
3,180名(2019年3月末現在)
管理台数
業種
情報通信業
URL
https://www.kccs.co.jp/
効果、目的
 

京セラの社内ベンチャーから始まり、分離独立後は主にICTや通信・環境エネルギーエンジニアリング、経営コンサルティング事業を中心に成長を続け、今や国内外に約3200名の従業員を要する規模になった京セラコミュニケーションシステム株式会社(以下、KCCS)では、働き方改革を支える情報基盤としてLanScope Catを活用しているという。

KCCSの管理本部長としてリスク管理を担う花田英司氏によると、3000人もの従業員がいると、企業活動を営む上でさまざまなトラブルや潜在的リスクがどうしても出現する。例えば外部からの脅威に対しては「インターネットの出入り口からクライアント、モバイル端末に至るまで、各レイヤーで対策を実施する他、2015年10月に組織したCSIRTのメンバーが監視を実施している」という。

もしCSIRTの監視チームが何らかの異常を検知したら、LanScope Catのログを元に端末の操作状況を確認し、原因の特定と解決にあたる形だ。また通常時においても、マルウェア感染の糸口となる脆弱性を塞ぐべく、セキュリティパッチの適用状況を確認している。

厳密なルールを定めた上で、
操作ログ情報を元に内部不正対策

このように2013年3月にLanScope Catを導入して以来、いろいろと模索し、またパイロットユーザーとしてさまざまなテストに協力しながらログ管理を行ってきたKCCS。

同時に「こういったログがあれば、働き方改革を安心して進めることができる」とも感じていたそうだ。
一般に「働き方改革」の施策として、在宅勤務制度を導入するうえでも、不安を抱えている企業は多い。KCCSでも、大半の社員が真面目に働く中で、一部の社員による「合法的サボタージュ」が起こり得ることは大きな課題と捉えていた。
「LanScope Catを日頃の監視ツールとして使うのではなく、勤怠情報にパソコンのログオン・ログオフ情報を並べて表示することで、勤怠不正の抑止になる。」
この予測はピタリとあたり、従業員が申告(打刻)した勤怠情報と、LanScope CatのPC操作ログデータとの乖離は、ほとんどなくなったという。

「ただ、LanScope Catでは全く罪のない社員のログも集めるため、社員のプライバシーを調査できてしまうことにもなる。それを防止するため、ログ情報にアクセスできる人間には道徳と倫理感が必要だし、制限をかけ、誓約書を求めて確認しない限り、ログ情報へのアクセスを認めないルールにして、厳密に運用している」(花田氏)

業務上、ログデータの提供を希望されることもあるが、ただ申請書に上司が押印すれば許可するのではなく、ログ調査を必要とする依頼の背景をきちんと聞き取り、妥当性があると判断しない限り許可しない形だ。「きちんとルールを設け、利用に制限を設けることで、安易なデータ提供・利用を防いでいる」と花田氏は述べた。

勤怠システムとの連携でサービス残業の実態を把握、
適正な就業管理に

今、KCCSでは働き方改革の取り組みを進めている。おそらく他の大多数の企業と同様、これまでの歴史で染み込んできた、製造業を中心とする日本企業的な文化や価値観、考え方とせめぎ合いながら、少しずつ在宅勤務制度などに取り組み始めた。

その中で「LanScope Catのログ情報を積極的に活用することで、働き方改革を支えられるのではないか」と感じるようになったという。前述の通りLanScope Catは、現場で発生する勤怠不正の防止に役立つが、これはまた働き方改革の中で課題の1つとなっている残業時間削減にも活用できるのではないかというわけだ。

京セラ創業者である稲盛和夫氏が考案した「アメーバ経営」では、小集団(アメーバ)別の採算管理が柱の1つになっている。アメーバごとに「時間当たり採算」を算出し、その最大化を目指すことで目標達成を目指すアプローチで、「正しく機能すれば生産性向上の指標になるが、自部門の業績が低下している時には、安易に分母となる時間の削減、つまりサービス残業につなげたくなる誘惑につきまとわれる」と花田氏は述べた。

そこでKCCSでは、社員のPCのログオン・ログオフ時間のログを整理し、勤怠管理の打刻データと突き合わせて不整合がないかを抽出するツールを開発し、労務部門に展開していった。その後も改良を重ね、PCの操作情報を勤怠システムに取り組み、労務部門だけでなく本人と上司も確認できる仕組みを整えたという。

「勤怠管理の打刻時間や入退室管理の時間、それにPCのログオン、ログオフの時間といった、これまでさまざまな形でバラバラに散らばっていたデータを1つに集め、1人の従業員の行動をトータルで見られるようにした。これにより、なかなか掴めなかったサービス残業の実態も含めて、時間管理がガラス張りになった」(花田氏)

例えば、どうみても労働時間が長すぎる従業員がいれば、労務部門が「なぜこうなっているのか」をヒアリングし、根本的な原因を探る手助けとして活用している。また就業時間が見える化し、第三者にみられることを社員自身、そして現場責任者も意識することにより、無駄な残業、勝手な残業が激減するという効果が得られた。

こうして労務管理や働きすぎの抑制という観点で取り組みを進めているKCCS。これからは、LanScope Catで集めたログデータを成果測定に取り組み、さらなる業務改善につなげたいとしている。