Written by 夏野ゆきか

Webアプリケーション診断で指摘される
脆弱性TOP5を解説!
Webアプリのセキュリティ対策は万全ですか?
実際に診断でよく指摘される脆弱性TOP5を
原因や対策方法も含め、分かりやすく説明します。
目 次
脆弱性診断(セキュリティ診断)とは、システムやネットワーク・アプリケーションに存在する「脆弱性(セキュリティ上の欠陥)」の有無を特定し、評価するプロセスを指します。脆弱性診断の目的は、存在する脆弱性を可視化し、攻撃者に悪用される可能性のある脆弱性が発見された場合は、速やかに修正することです。
ベンダーの提供する「脆弱性診断(セキュリティ診断)」には、主に下記のような種類があります。
- Webアプリケーション診断
- ソースコード診断
- ネットワーク診断(プラットフォーム診断
- クラウドセキュリティ診断
- スマートフォンアプリケーション診断
- ゲームセキュリティ診断
- IoT診断
また脆弱性診断には「手動診断」と「ツール診断」の2種類があり、それぞれに下記のようなメリット、デメリットがあります。依頼側は目的と自社のリソースを踏まえて、最適な診断を選択すると良いでしょう。
手動診断 | ツール診断 | |
---|---|---|
診断方法 | セキュリティ専門家が、「手作業」で脆弱性を検査する方法 | 専用のソフトウェアツールを使用して、自動的に脆弱性を検査する方法 |
メリット | ・ツールでは見つけにくい「複雑な脆弱性」や「ビジネスロジックの問題を突いた攻撃」を発見しやすい ・特定のニーズや状況に応じて診断方法を柔軟に変更できる ・誤検知が少ない |
・短時間で広範囲のチェックができる ・手軽に利用でき、診断のコストが低い ・検査手法が確立している一般に認知されている脆弱性の検出精度が高い |
デメリット | ・診断する担当者のスキルに依存する ・実施に時間がかかり、コストが高くなる場合がある |
・複雑な脆弱性、ビジネスロジックの問題を突いた攻撃等を見逃しやすい ・誤検知の可能性がある ・ツールによっては、大量の指摘事項が検知され、対応の優先度決めや脆弱性管理工数にコストがかかる ・ツールの設定に不備があり、適切な診断ができない可能性がある ・新しい脆弱性に対応できない場合がある |
サイバー攻撃者は、放置されたシステムやネットワーク上の「脆弱性」を悪用し、不正アクセスや機密情報の窃取といった犯罪を行います。
こういったサイバー攻撃を回避するためにも、企業のセキュリティ担当者はシステムの公開・リリース前、およびリリース後にも定期的な「脆弱性診断」を実施し、明らかになった脆弱性から修正すべきものを確認し、必要なものは迅速に修正する必要があります。
この記事では、「脆弱性診断(セキュリティ診断)」をテーマに、診断の種類やペネトレーションテストとの違い、サービスの選び方などを解説します。「脆弱性診断を検討中」「今後、検討の機会があるかもしれない」担当者様は、ぜひご一読ください。
▼この記事でわかること
- 脆弱性診断(セキュリティ診断)とは、ネットワークやWebアプリケーションに潜む「脆弱性(セキュリティ上の欠陥)」の有無と、その種類や脅威度を診断するプロセス
- サイバー攻撃では脆弱性を悪用されるケースが多いことから、システムの公開・リリース前およびリリース後にも定期的な脆弱性診断を行い、攻撃者に悪用される前に脆弱性を見つけて解消することが重要
- ペネトレーションテストとの違いは、脆弱性診断が脆弱性を洗い出すことが目的なのに対し、ペネトレーションテストは攻撃者の視点からシステムを評価し、脆弱性がどのように悪用され得るかを確認するサービス
- 脆弱性診断には、「Webアプリケーション診断」「ネットワーク診断」「クラウドセキュリティ診断」「スマートフォンアプリケーション診断」「IoT診断」などの種類がある
- 脆弱性診断には高精度の診断が可能な「手動診断」と、低コストで手軽に利用できる「ツール診断」の2つの手法がある
- 脆弱性診断を選ぶ際には、「診断範囲」「診断の深さ」 「報告書の内容と質(求める情報の記載があるか)」「費用」「専門家の経験と資格」「カスタマイズ可能性」などを確認しておく
脆弱性診断(セキュリティ診断)とは
脆弱性診断(セキュリティ診断)とは、システムやネットワーク・Webアプリケーションに存在する、セキュリティ的な弱点や欠陥(脆弱性)を特定し、修正やリスク評価を行うプロセスのことを指します。
脆弱性診断を定期的に実施することで、攻撃者に悪用されるリスクのあるセキュリティホールを事前に洗い出し、先んじて対策を講じることが可能です。
また診断で発見された脆弱性は「共通脆弱性評価システム(CVSS)」に基づいて、その危険度を評価することが可能です。脆弱性の危険度を明らかにすることで、対策すべき脅威の優先順位がつけられるため、限られたリソースの中で効率的に脅威へと対処できます。
※CVSS…情報システムやソフトウェアの脆弱性の深刻度を示す国際的な評価指標
「脆弱性」の意味と、脆弱性を悪用したサイバー攻撃
脆弱性とは、システムやネットワークに生じる、設計ミスやプログラムの不備から生じた「セキュリティ上の欠陥」のことです。攻撃者はこの脆弱性を悪用してシステムに不正アクセスし、データの窃取や改ざん、破壊といった不正行為を引き起こす可能性があります。
「サイバー攻撃で悪用される脆弱性の例」として、以下のような攻撃があります。
▼サイバー攻撃で悪用される脆弱性の例
- SQLインジェクション: 攻撃者がWebアプリケーションの入力フィールドに悪意のあるSQLクエリを挿入し、データベースの情報を取得、変更、または削除する攻撃
- クロスサイトスクリプティング(XSS): 攻撃者がWebページに悪意のあるスクリプトを埋め込み、訪問者のブラウザ上で実行させる攻撃
- クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF):ユーザーが認証済みのセッションを持っていることを利用し、ユーザーの意図しないリクエストを発行させる攻撃
- セッションハイジャック:攻撃者がユーザーのセッションIDを盗み、そのユーザーになりすましてシステムにアクセスする攻撃
- ディレクトリトラバーサル:攻撃者がWebサーバーのディレクトリ構造を不正にアクセスし、機密ファイルを取得する攻撃
- バッファオーバーフロー:プログラムのメモリ管理における脆弱性を悪用し、攻撃者がメモリ内のデータを上書きすることで、任意のコードを実行する攻撃
システムやアプリケーションの脆弱性を解消せずに放置すると、悪意ある攻撃者に狙われ、情報漏洩やサイトの改ざん、マルウェア感染などの深刻なリスクが生じる恐れがあります。
脆弱性診断(セキュリティ診断)はなぜ必要?
企業にとって定期的な脆弱性診断を実施すべき理由は、システムやアプリケーションに存在する脆弱性を診断によって早期に発見し、攻撃者に狙われる前に修正するためです。
また、単純に「脆弱性を発見する」だけでなく、脆弱性によるリスクの影響度を評価・優先順位付けをし、限られたリソースの中で着実に脆弱性を修正するためにも、脆弱性診断は重要なプロセスといえます。
さらにサイバー攻撃における手口の多くは放置された脆弱性を攻撃者が悪用し、システムやネットワークに不正アクセス・マルウェア感染などを仕掛けるものです。脆弱性を放置することは「自らサイバー攻撃の原因を攻撃者に提供していること」と同義であり、企業はセキュリティ強化の一環として、定期的に脆弱性診断と脆弱性の修正を行う必要があります。
脆弱性診断(セキュリティ診断)とペネトレーションテストの違い
ペネトレーションテスト(侵入テスト)とは、システムやネットワーク、アプリケーション、その他のITインフラに対して、攻撃者の視点からセキュリティ評価を行うプロセスです。
ペネトレーションテストの目的は、セキュリティ上の弱点や脆弱性を発見し、それらがどのように悪用されるかを評価することで、実際の攻撃に対する防御力を強化することです。脆弱性診断とペネトレーションテストは、どちらもシステムやネットワークの脆弱性を発見し、セキュリティ対策を強化するための手法ですが、下記のような違いがあります。
▼脆弱性診断とペネトレーションテストの違い
項目 | 脆弱性診断 (Vulnerability Assessment) |
ペネトレーションテスト (Penetration Testing) |
---|---|---|
目的 | 既知の脆弱性を特定し、リスクを評価する | 実際の攻撃者の視点から脆弱性を悪用し、防御力を評価する |
期間 | 比較的短期間で完了 (1〜数週間程度) |
システムによっては、テスト実施のための準備や体制構築にも時間を要するため、長期間かかることがある(数週間から数ヶ月) |
頻度 | ・定期的に実施することが多い(例:半期ごと、1年ごと、2年ごとなど)。 ・システム開発時 ・重大な脆弱性が公表されたタイミング |
・同業他社がサイバー攻撃を受けたタイミング ・必要に応じて実施されることが多い ※業界によっては定期的な実施を求められる |
結果 | 脆弱性のリスト、それぞれのリスクレベル、修正方法の提案 | 攻撃シナリオと結果、具体的な脆弱性の悪用方法、潜在的な被害の詳細 |
対象 | 特定の対象(ネットワークセグメント、サーバー、アプリケーションなど) | システム全体やネットワーク全体を広範囲にカバー |
コスト | 通常、ペネトレーションテストよりも低コスト | 通常、脆弱性診断よりも高コスト |
ペネトレーションテストは、実際のサイバー攻撃と同じ手法でシステムに侵入し、既存の対策の有効性や攻撃された場合の被害規模などを調査し、結果を実際の攻撃に対する防御力強化に活用することが目的です。
また、脆弱性診断がWebアプリケーションやネットワークなど特定の領域に対して行われるのに対し、ペネトレーションテストは対象を限定せず、システムやネットワーク全体を対象とします。脆弱性診断とペネトレーションテストは、相互補完の関係にあると言えるでしょう。
Webアプリケーション診断で指摘される
脆弱性TOP5を解説!
Webアプリのセキュリティ対策は万全ですか?
実際に診断でよく指摘される脆弱性TOP5を
原因や対策方法も含め、分かりやすく説明します。
脆弱性診断(セキュリティ診断)の主な種類と対策できるリスク
脆弱性診断には企業によって様々な種類・メニューがあります。
ここではLANSCOPEが提供する、主たる脆弱性診断の種類についてご説明します。
- Webアプリケーション診断
- ソースコード診断
- ネットワーク診断(プラットフォーム診断)
- クラウドセキュリティ診断
- スマートフォンアプリケーション診断
- ゲームセキュリティ診断
- IoT診断
Webアプリケーション診断
「Webアプリケーション診断」は、インターネットやローカルネットワークに接続されたサーバー上のWebアプリケーションにおいて、脆弱性を検出するための診断です。弊社が脆弱性診断を提供していて、最もお客様からの問い合わせが多いのが、Webアプリケーション診断に関するご相談です。
▼Webアプリケーション診断における主な診断内容
- サーバ設定:プラットフォームの設定や実装方法に不備が存在しないか検査します。
- アプリケーション:Webアプリケーションの実装方法に不備が存在しないか検査します。
- 通信:Webアプリケーションとサーバ間の通信に関して不備が存在しないか検査します。
- セッション管理:セッションIDの取り扱いに不備が存在しないか検査します。
- 認証:ログインなどの認証時に不備が存在しないか検査します。
- アカウント管理:ログインアカウントの取り扱いに不備が存在しないか検査します。
- パラメータ操作:Webアプリケーションから送信されるパラメータを改変することで脆弱性が発生しないか検査します。
- クライアント側スクリプト:Webアプリケーションで使用されているスクリプトに不備が存在しないか検査します。
- モバイル固有の問題:モバイル端末に起因する脆弱性が存在しないか検査します。
- その他:上記以外に脆弱性が存在しないか検査します。
「認証」を例に話すと、ECサイトのログインする際、「認証機能」に脆弱性があると、エラーメッセージからIDやパスワードのパターンが絞り込むことができてしまい、ブルートフォース攻撃やパスワードリスト攻撃によって、不正アクセスを招く可能性があります。
※ブルートフォース攻撃…想定される全てのパスワードのパターンを総当たりで入力し、認証の突破を試みるサイバー攻撃手法
Webアプリケーションは攻撃を仕掛けられる範囲や手法の幅が広く、攻撃者に狙われやすいという特性を持つことから、今やアプリケーションを所持する企業にとって、不可欠な診断プロセスと言えます。
ソースコード診断(ホワイトボックス診断)
ソースコード診断とは、ソフトウェアのソースコードを解析し、セキュリティの脆弱性、潜在的な問題やバグなどを明らかにするプロセスを指します。
広く提供されるセキュリティ診断は、通常「ブラックボックス診断」と呼ばれる、外部からのみ得られる情報を用いて診断を行います。 一方、ソースコードやシステムの設計、仕様書などをを通じて、網羅的な分析をもとに実施する診断を「ホワイトボックス診断」と呼びます。
Webアプリケーションのソースコードそのものを調査することで、ブラックボックス診断だけでは検出できない脆弱性を洗い出し、対策することが可能となります。弊社では「Webアプリケーション診断」とセットで受けていただくことを推奨してます
ネットワーク診断(プラットフォーム診断)
ネットワーク診断とは、サーバーやネットワーク機器・OSにおけるセキュリティ上のリスクを洗い出し、修正するプロセスを指します。社内外ネットワークを問わず脆弱性・設定ミスを診断し、不正侵入やマルウェア感染などのリスクに繋がる脆弱性を特定し、対策を講じることが可能です。
ネットワーク診断には、リモート診断とローカル診断の2種類があります。
リモート診断 | インターネットを経由して、リモート環境からネットワーク機器やサーバーに対して脆弱性診断を行う。 |
---|---|
ローカル診断 | 実際に顧客のオフィスやデータセンターにエンジニアが訪問し、内部ネットワークから脆弱性診断を行う。 |
リモート診断では、インターネットから対象の機器にアクセス可能な、不特定多数からの脅威に対するリスクを調査することができ、ローカル診断では、内部犯や組織内に侵入したランサムウェアなど、内部からの脅威に対する潜在的なリスクを調査することが可能です。
クラウドセキュリティ診断
クラウドセキュリティ診断は、お客様が利用中のクラウドプラットフォームにおいて、設定や運用におけるセキュリティ上の不備を検出し、リスクに対する対策を提供するサービスです。
クラウドセキュリティ診断を行うことで、クラウドサービスの認証や管理関連の設定ミスを改善し、不正アクセスや情報漏洩などのリスクを低減することが可能です。
LANSCOPE プロフェッショナルサービスの対応する、クラウドサービスは以下の通りです。
SaaS セキュリティ診断 | Microsoft 365 診断 Google Workspace 診断 Zoom 診断 Box 診断 Salesforce診断 Slack診断 |
---|---|
IaaS セキュリティ診断 | Amazon Web Services(AWS)診断 Microsoft Azure 診断 Google Cloud Platform(GCP)診断 |
この数年間で企業のクラウド導入が一般化し、それに伴いクラウドサービスの脆弱性を狙ったサイバー犯罪件数も増加しています。クラウドサービスは日々、ベンダーより新機能が追加・変更されるため、利用者側の気づかぬうちに仕様変更や設定漏れが生まれる可能性があります。
積極的にクラウドサービスを活用している企業であれば、クラウドセキュリティ診断の定期的な実施がおすすめです。
「他社のクラウドセキュリティ対策」の状況把握にお使いいただける、以下資料もぜひご活用ください。
情シス1,000人に聞いた!
「クラウドサービスのセキュリティ対策」実態調査
情シス1,000人に「自社のクラウドサービスのセキュリティ対策」
についてお聞きしました。
クラウドを運用中・導入予定の情シス様は、必見のデータです!
スマートフォンアプリケーション診断
スマートフォンアプリケーション診断は
1.スマートフォンやタブレットなどのクライアント端末にインストールされたアプリケーション
2.通信先となるサーバー上のアプリケーションのサーバー上のアプリケーション
の両方で、セキュリティリスクの検出・対策を提案するプロセスです。
スマートフォンアプリケーション診断(クライアント) | スマホ/タブレット端末にインストールされたアプリケーションが、個人情報など重要情報を保持している場合の、情報漏洩リスク確認・root権限の奪取/脱獄(Jailbreak)された場合のリスク確認を行います。 |
---|---|
スマートフォンアプリケーション診断(サーバ) | スマホ/タブレット端末にインストールされたアプリケーションと、サーバ上のアプリケーションが連携されており、動的な機能(データの入力チェック処理やデータベースの更新処理など)を有している場合に、サーバ上のアプリケーションのリスクを確認します。 |
スマホアプリケーションにおける、高度なセキュリティ確保をトータルで支援するサービスです。

ゲームセキュリティ診断
ゲームセキュリティ診断では、実際に攻撃者(チーター)の視点でゲームアプリケーションの脆弱性を診断し、それらのチート行為リスクを可視化します。ゲームアプリにおける「チート行為」の例としては、「ステージの不正開放」「アイテムの無限増殖」「課金処理の回避」「キャラクターの不正強化」などがあります。
ゲームセキュリティ診断では、サーバ、クライアントアプリに対して、攻撃者の視点でチートによるリスクを確認するブラックボックス診断と、ソースコードの解析によりチート行為の可能性をプログラムレベルで深く検査するソースコード診断の2種類を用いて、チート行為を可能にする脆弱性を洗い出します。
▼ゲームセキュリティ診断(サーバ)
ブラックボックス診断 | 対象ゲームを攻撃者(チーター)視点でプレイします。実施の操作から発生する通信を改ざんしチート行為の可否およびリスクを評価します。 |
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ソースコード診断
※オプション |
対象ゲームのソースコードを攻撃者(チーター)視点で解析します。チートができる可能性のある箇所を特定したうえで、対象ゲームが実際にチート可能かどうかの検証を行います。 |
▼ゲームセキュリティ診断(クライアント)
ブラックボックス診断 | 対象ゲームのクライアントアプリに対して、保持データや振る舞いを分析・改ざんし、チート行為の可否およびリスクを評価します。 |
---|
IoT診断
IoT診断は、インターネットやローカルネットワークに接続した「IoTシステム」の各レイヤーにおいて、セキュリティリスクを検出し対策を提案するプロセスです。
IoTとは、従来インターネットに接続されていなかった様々な「モノ」が、ネットワークに通信する技術を指します。身近な例をあげれば、カーナビやスマートスピーカー等が該当します。
近年、各企業でIoTシステムの開発や導入が進んでいますが、仮にIoTシステムがサイバー攻撃にあった場合、情報の窃取・盗聴だけでなく、利用者に対する直接的な被害や、サービスの停止によって社会的混乱に発展するリスクなども孕んでいます。
IoT診断によって、IoTシステムを構成するアプリケーション、デバイス、プラットフォームに対し、セキュリティリスクを総合的に見える化することが可能となります。
脆弱性診断(セキュリティ診断)の手法
脆弱性診断には、主に「手動診断」と「ツール診断」の2つの手法があります。
▼手動診断・ツール診断の違い
手動診断 | ツール診断 | |
---|---|---|
診断方法 | セキュリティ専門家が、「手作業」で脆弱性を検査する方法 | 専用のソフトウェアツールを使用して、自動的に脆弱性を検査する方法 |
メリット | ・ツールでは見つけにくい「複雑な脆弱性」や「ビジネスロジックの問題を突いた攻撃」を発見しやすい ・特定のニーズや状況に応じて診断方法を柔軟に変更できる ・誤検知が少ない |
・短時間で広範囲のチェックができる ・手軽に利用でき、診断のコストが低い ・検査手法が確立している一般に認知されている脆弱性の検出精度が高い |
デメリット | ・診断する担当者のスキルに依存する ・実施に時間がかかり、コストが高くなる場合がある |
・複雑な脆弱性、ビジネスロジックの問題を突いた攻撃等を見逃しやすい ・誤検知の可能性がある ・ツールによっては、大量の指摘事項が検知され、対応の優先度決めや脆弱性管理工数にコストがかかる ・ツールの設定に不備があり、適切な診断ができない可能性がある ・新しい脆弱性に対応できない場合がある |
手動診断
手動診断は、サイバーセキュリティの専門家が対象システムを検査する方式です。専門家の経験と知見を活かすことで、設計上の問題など機械的には検出が難しい脆弱性も発見できます。
一方で、専門家の関与が必要なため、コストが高くなる傾向にあります。
ツール診断
ツール診断は自動化ツールを使った脆弱性検査です。ブラウザ上から比較的簡単に実行でき、短時間で結果が得られる、コストが抑えやすいといった点が特徴です。
ただし検出精度がツールの能力に依存するため、手動診断ほど網羅的・精密な検査は行えない点や、最新の脆弱性への対応がツールベンダーに依存する点がデメリットです。また、サイトの仕様によってはツールの設定が複雑になり、適切に診断ができない可能性もあります。
このように「手動診断」と「ツール診断」は、それぞれにメリット・デメリットを持ち合わせています。
例えば、日常の簡易的な検査であれば「ツール診断」を、年に数回の厳密な調査、サービスリリース前の調査などは「手動診断」の観点を含むシステム仕様を考慮した診断を行うなど、目的や社内のリソースに応じて、両者をうまく使い分けることをおすすめします。

脆弱性診断(セキュリティ診断)サービスの選び方
脆弱性診断サービスを選ぶ際には、以下のポイントを意識するようにしましょう。
- 診断できる範囲
- 診断の深さ
- 報告書の内容と質
- 費用
- 専門家の経験と資格
- カスタマイズ可能性
1.診断できる範囲
サービスの提供する診断範囲が、自社のアプリケーション、ネットワークなどの診断を希望するシステムの仕様に対応しているか、サービスの診断項目が希望する診断項目や脆弱性診断のガイドラインをカバーしているかを確認します。
2.診断の深さ(手法)
自動診断ツールに加え、専門家による手動診断の可否を確認します。手動診断では先述の通り、自動ツールでは見つけにくい脆弱性を発見するのに有効であるためです。
ただし「手動診断」の場合であっても、対応範囲はベンダーにより異なるので、「手動でどのような検査を行うのか」「どこまで深掘りしてくれるのか」は、予めよく確認しておきましょう。
3.報告書の内容と質
診断結果の報告書が、どのような形式で提供されるか、内容の詳細さや分かりやすさも1つの判断基準となります。発注担当者(お客様)が理解しやすいことは勿論、「その資料を使って上司や経営層に説明できそうか」という点も、診断サービスを選定する上で重要な判断ポイントになります。
実際の現場感で言うと、
・社内資料に簡単に転記できるか
・会社の持っている脆弱性管理ツールに入力できるか
を気にされるお客様が多い印象です。
事前に閲覧可能な「診断書サンプル」等で、脆弱性の具体的な説明、影響度、修正方法の提案が含まれているかを確認します。
4.費用
他社の同サービスとも比較検討し、 診断の範囲や深度に応じた適正な価格設定かを確認します。
単発で利用するのか、年間で複数回の診断を想定するのかによっても、最適なプランは変動します。
5.専門家の経験や資格
診断を実施する専門家の実務経験や過去の実績、認定資格の有無などは、信頼できるベンター選びの1判断基準となります。
6.カスタマイズ可能性
診断の内容や方法、あるいは報告書に必要な情報を、自社のニーズに合わせてカスタマイズできるかも重要な要素です。
特定の脆弱性やシステムに対する診断、サービスのリリースに対し臨機応変なスケジュールの相談などが柔軟に対応できる診断サービスは、セキュリティ担当者が長く付き合いを続ける上で心強い存在となります。
脆弱性診断・セキュリティ診断なら、LANSCOPEプロフェッショナルサービスにお任せください
「LANSCOPE プロフェッショナルサービス」では、定期的にインシデント情報や脆弱性情報などを収集・解析し、適宜診断ルールに反映することで、常に最新のセキュリティ基準による脆弱性診断サービスを提供します。
事業会社・開発企業・官公庁などのお客様より、リピート率”90%”を誇る高品質な診断が特徴です。
また国家資格をもつ経験豊富なスペシャリストが、お客様の利用環境に潜む脆弱性・セキュリティリスクを網羅的に洗い出し、効率的な脆弱性対策をサポートします。
診断後のレポートでは、各脅威の種類やリスクレベルだけでなく、「適切な対策内容」もあわせてお伝えするため、着実な脆弱性の修正とセキュリティレベル向上を目指していただけます。
▼脆弱性診断サービス 一覧
- Webアプリケーション診断
- ソースコード診断
- ネットワーク診断
- スマートフォンアプリケーション診断
- ゲームセキュリティ診断
- IoT 脆弱性診断
- ペネトレーションテスト
- サイバーリスク健康診断
「自社環境やサービスの脆弱性に懸念がある」
「診断ツールではなく、プロの目による診断を受けたい」
そういった担当者様は、ぜひ一度、LANSCOPE プロフェッショナルサービスへお問い合わせください。お客様のご都合・予算等に応じて、最適なプランをご紹介させていただきます。
また「まずは簡易的に脆弱性診断を行いたい」というお客様向けに、低コスト・短期で診断が実施できる「セキュリティ健康診断パッケージ」も提供しています。
ご利用中のクラウドサービスの設定を見直す、クラウドセキュリティ診断
弊社では脆弱性診断に加え、ご利用中のクラウドサービス(AWS、Microsoft 365、Azure等)の設定ミスをプロが診断し、セキュリティ事故の要因を根本から改善する「クラウドセキュリティ診断」を提供しています。
「多要素認証」をはじめ、アクセス権限の見直しや認証方法の設定など、不正ログインの火種となる設定不備を洗い出し、専門のベンダーが正しい対策をご提案。攻撃者による従業員アカウントへの不正アクセス、あるいは内部不正による情報漏洩などを未然に防ぎます。
「クラウドセキュリティ診断」の詳細は、以下よりご覧ください。
脆弱性診断に関する、よくある質問
最後に「脆弱性診断」に関して、お客様からいただく「よくある質問」に回答します。
脆弱性診断の頻度はどれくらいが適切ですか?
定期的な脆弱性診断が推奨されます。一般的には最低でも年に一回の実施が望ましく、システムの変更や新しい脆弱性の発見に応じて、都度追加の診断を行うことが推奨されます。
脆弱性診断の結果には何が含まれますか?
脆弱性診断の結果には、発見された脆弱性のリスト、各脆弱性のリスクレベル、影響の評価、および推奨される修正方法が含まれます。
また経営者層向けには、発見された脆弱性から想定される「ビジネスリスク」や「推奨される今後の対応方針」などを。システム管理者や開発者向けには「脆弱性の技術的な詳細レポート」を提供しております。
脆弱性診断の費用はどれくらいですか?
費用は診断の範囲、システムの規模、使用するツール、提供されるサービスのレベルによって異なります。一般的には数十万~数百万「以上」までと、幅広く提供されています。
脆弱性診断の結果をどのように活用すれば良いですか?
脆弱性診断の結果を基に、修正すべきもの・リスクを許容するものなどを検討し、適切にリスクを管理に取り組むことが重要です。また、継続的なモニタリングと診断を行い、セキュリティ対策の効果を確認し続けることも大切です。
まとめ
本記事では「脆弱性診断(セキュリティ診断)」をテーマに、種類や必要性、選び方などを解説しました。
▼本記事のまとめ
- 脆弱性診断(セキュリティ診断)とは、ネットワークやWebアプリケーションに潜む「脆弱性(セキュリティ上の欠陥)」の有無と、その種類や脅威度を診断するプロセス
- サイバー攻撃では脆弱性を悪用されるケースが多いことから、システムの公開・リリース前およびリリース後にも定期的な脆弱性診断を行い、攻撃者に悪用される前に脆弱性を見つけて解消することが重要
- ペネトレーションテストとの違いは、脆弱性診断が脆弱性を洗い出すことが目的なのに対し、ペネトレーションテストは攻撃者の視点からシステムを評価し、脆弱性がどのように悪用され得るかを確認するサービス
- 脆弱性診断には、「Webアプリケーション診断」「ネットワーク診断」「クラウドセキュリティ診断」「スマートフォンアプリケーション診断」「IoT診断」などの種類がある
- 脆弱性診断には高精度の診断が可能な「手動診断」と、低コストで手軽に利用できる「ツール診断」の2つの手法がある
- 脆弱性診断を選ぶ際には、「診断範囲」「診断の深さ」 「報告書の内容と質(求める情報の記載があるか)」「費用」「専門家の経験と資格」「カスタマイズ可能性」などを確認しておく
脆弱性診断は、システムやアプリケーションのセキュリティを確保し、企業・組織が安全で信頼性の高いサービスを提供し続ける上で必要不可欠です。本記事が皆さまの「脆弱性診断」に関する理解に、少しでもお役に立てましたら幸いです。
脆弱性診断に関する、以下の資料もぜひご活用ください。

Webアプリケーション診断で指摘される
脆弱性TOP5を解説!
Webアプリのセキュリティ対策は万全ですか?
実際に診断でよく指摘される脆弱性TOP5を
原因や対策方法も含め、分かりやすく説明します。
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